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異語り 夏瓜(かか)
2021年12月29日 23:32
コトガタリ 072 ゴセンゾサマ今年は久しぶりにととサンの実家へ帰省することができる。(自分の実家は関西のため、もともと数年に一度くらいしか帰れていない)ととサンの実家は同じ道内と言うこともあり、毎年 盆と正月には顔を出していた。男2人兄弟だったおかげか義両親には義姉共々とてもかわいがっていただいている。ネットでよく聞く嫁姑バトルなんてモノは都市伝説か? と思う程居心地がいい。それ
2021年12月23日 22:31
コトガタリ 071 ウンノイイリユウヒロおじさんには2回しか会ったことがない。祖父のいとこの子どもだそうで、自分にとってはほぼ他人のような人だ。最初に会ったのは曾祖父の法事の時。おじさんは宴会には加わらず1人で庭をなどを散策していた。当時はまだ中学生くらいだった自分も手持ち無沙汰でフラフラしていたところで、少しばかり話をした。「僕、お酒はあんまり強くないから、いっつも逃げてんねん」
2021年12月17日 21:50
コトガタリ 070 アキチャン中学生の時、初めて人が倒れる瞬間を見た。同じクラスの友人で、亜紀ちゃんという女の子。すらっとしてて足が速かった。体育祭の練習中の事それぞれ出る種目や委員の仕事があり、クラス全員が揃うことはほとんどない。全員参加種目の選手だまりで久々に亜紀ちゃんと顔を合わせた。「おつかれ~」「おつかれ~」声をかけ合い、亜紀ちゃんがこちらに手を伸ばしてきた。自分
2021年12月9日 22:01
コトガタリ 069 サンタクロース昔、アルバイト先でパートの田村さんが聞かせてくれた話クリスマスが近くなったある日「住んでるのは2階? ちゃんと戸締りしなきゃダメよ、5階でも入ってこようとする奴はいるんだから」いきなり話を振られ、はてなマークを浮かべながら頷いた。いつもこの時期になると怪しい人影を見ることが増えるそうだ数年前にね、子どもたちが「うちは煙突がないのに、サンタさんは
2021年12月2日 22:13
コトガタリ 068 ウモレタイエ閉鎖された炭鉱の街を写真に撮っていたKさん。何度か撮影に同行させてもらったことがある。廃街。廃墟のビルなどとは違い、一見ただの原野に見える。街が丸ごと廃された土地。伸び放題に伸びた草。その間にコンクリートの基礎だけが残っていた。道もアスファルト舗装がめくれ、そこから草が生えている。時折かろうじて建っている家もあるが、既に屋根が落ちていたり、壁が剥が