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███の配布を政府が禁止。「教育に悪影響の可能性」専門家からは批判の声も。

2xxx年3月1日、日本政府は子供の教育に悪影響をもたらす可能性があるとして、全国的に███の配布を禁止する方針を発表しました。
1日に行われた○○首相の会見によると、禁止の措置が始まる時期については、「なるべく早い時期に適用する」としています。

‪専門家からは「███が無くなった場合、人々はどのようにストレスを発散すれば良いのか。行き場を失った負の感情による犯罪の発生は容易に想像できる。そもそ

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今すぐその辞書を捨てて

綺麗で正しくて「、と。」がキチンと使われている文章なんてひとつも信用できない。小難しい漢字と長ったらしい比喩に隠してる(つもりの)あなたのその浅はかさは、頭隠して尻隠さずどころか全裸でコサックダンスを踊ってますよ本当。

あなたがその文をしたためる時、まず部屋の電気は薄暗いはず。季節は冬。廊下はひんやりと冷たければ冷たいほど良い。あなたが書斎と呼んでいる4畳の小部屋は部屋探しの絶対条件だったと聞い

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ひつじのおとしもの

ある日、仕事から帰ると玄関の前に巨大な黒い塊が落ちている。
私は半額シールの付いた寿司が偏らないよう、慎重にビニール袋を地面に置くと、右ポケットからiPhoneを取りだしてそれに光をあててみる。
画面を開くと恋人からのLINEの通知が目に入ったが、取り急ぎ後回しにする。
そのくらいは、私にもできる。
黒い塊は光にあたっても黒いままだが、よく見ると僅かに、しかし確かに動いている。
足元を照らす。

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この町と妹のこと

私、妹のことが好きなんです。昔からお姉ちゃんお姉ちゃんって私の後をついてきて。振り返ってやると一瞬驚いた顔をした後ニコッと笑って、一直線に私のもとに走ってくるんです。それがもう可愛くて。

私たち双子は田舎の港町に産まれました。それはそれは小さな町ですから、今日はお隣の旦那さんがいつもの時間に帰らなかったとか、3つ先のお家の坊やが夜中に軒先でこっそり誰かと電話をしていたとか、そんなことが直ぐに噂に

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不確かな存在

微かに鼻をすする様な音で目が覚めたのはある寒い冬のことであった。部屋の隅で肩を震わせて泣く女が、橙色の豆電球に照らされて壁に黒く巨大な影をつくっていた。

なるほどこれは厄介な事に巻き込まれた。

男は手探りで枕元に置かれた眼鏡をかけると、眉間に深いしわを寄せながらもう一度部屋の隅に目を向けた。

女だ、女がいる。

ここで問題なのは男が長年一人暮らしであり、同棲などは以ての外、恋人すらいない身で

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今日も

彼女が死ぬ2日前にくれたやけにまんまるのサボテンは、それから半年経っても何も変わらなくて、どうせならすぐに枯れて無くなっちゃう花にして欲しかったな。そしたらあたしは枯れた花に向かってわんわん泣いて、大好きだったカレーも4日は食べられない。ふとした拍子に栞にすれば良かった、なんて気づいて、後悔して、それからまた泣いて、バカなあたしの嗚咽が萎れてカサカサになった花びらを1枚吹き飛ばしたりなんかしたら、

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