ひつじのおとしもの
ある日、仕事から帰ると玄関の前に巨大な黒い塊が落ちている。
私は半額シールの付いた寿司が偏らないよう、慎重にビニール袋を地面に置くと、右ポケットからiPhoneを取りだしてそれに光をあててみる。
画面を開くと恋人からのLINEの通知が目に入ったが、取り急ぎ後回しにする。
そのくらいは、私にもできる。
黒い塊は光にあたっても黒いままだが、よく見ると僅かに、しかし確かに動いている。
足元を照らす。
四足歩行だと分かる。
生きているらしいそれは私が先日植えた玄関先の花を食べている。