また間違えた

「帰り、絶対忘れるから私、教えてね」
そう指さした傘立てが
大きな雨粒にネオンを反射させて
キラキラ
キラキラ光るから
その美しさは
滑稽な私をまるっきり見透かしているようで
その瞬間
喧騒が消えて
私はまた泣いてしまわないように
ヘラヘラ
ヘラヘラ笑うから
昨晩何度も練習したはずの台詞は
やっぱり上滑りして
思わず逸らした視線の先で
もうこちらに背を向けている貴方の冷たさに
卑しい私は
酷く安心したのでした

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