在留資格申請の審査遅れについて~2024総括~
はじめに
昨年の今頃、年明けからの在留資格申請の審査遅れが深刻な国際的な社会問題となっていました。
今年も3月から同様の傾向が続いており、申請から許可までの期間が平均して3か月かかる状況が続いています。
この問題に対処するためには、様々なアプローチが必要です。以下に、審査遅延の現状と原因、そして具体的な解決策を詳しく分析します。
1.現状の問題
平均審査期間
日本では、在留資格申請の審査に平均して3か月以上かかることが一般的です。これは特に東京、横浜、大阪などの大都市において顕著であり、これらの地域では多くの申請が集中しています。また、今年の傾向は札幌入管でも審査遅れが目立っていると思います。
全国平均の在留資格ごとの具体的な審査期間については、法務省の出入国在留管理庁のウェブサイトで公開されています。
ただ、今年も各都道府県ごとの具体的な審査期間について公表されておらず、闇の中のままです。
ベトナム国内の報道
ベトナムの国策としての労働力輸出において、日本は主要な受け入れ国の一つです。
しかし、日本国内の審査遅れが続く中で、韓国や台湾、オーストラリア、ドイツなどの他国ではビザ発行手続きの簡素化と迅速化が進んでおり、外国人労働者を積極的に受け入れる姿勢を示しています。日本の水準が国際化出来ていない状態です。
在留資格の種類別状況
○特定活動ビザ
特定活動ビザは、特定技能への変更を前提とした事務準備期間を含むもので、審査の遅れが続いています。これにより、外国人労働者は就労ができず、経済的困難に直面してしまいます。
○特定技能ビザ
特定技能ビザの申請者も同様に、審査の遅れにより日本での就労が遅れ、経済的に困窮しています。これにより、日本国内での労働力不足がさらに深刻化し、企業の生産性にも悪影響を及ぼしています。
○技能実習ビザ
技能実習生も、在留資格の変更や新規申請が遅れており、母国での就業予定を止めて日本入国を待つ状況が続いています。
技能実習生は経済的に困窮し、日本の企業も必要な労働力を確保できずに困る要因となります。
問題の原因
1. 担当業務量の違い
各入国管理局の所轄地域や管轄範囲によって、申請の数や担当業務量に差が生じます。人口密度の高い地域や国際的な交通の発着が多い地域では、多くの申請があるため、対応に時間がかかることが多いのです。
担当部署ごとの予測できる業務量の分析が科学的に出来ていないのだと思います。
2. 人員の配置と能力
各入国管理局の人員配置や能力によっても、申請の処理スピードに違いが生じます。人員不足や繁忙期の集中など、人的リソースの制約がある場合、申請の審査に時間がかかる原因となります。
審査担当者は外勤も窓口業務も掛け持ちする場合が多く、有給休暇も以前より日数が多いのだから、人員の配置に昨年を学習してさらに今年が業務過密になる計画的な配慮と実行力が足りないのだと思います。
これは明らかに、日本政府からの人頭指揮が弱いためだと思います。
3. 内部の組織文化やプロセスの違い
各入国管理局は独自の組織文化やプロセスを持っているため、申請の処理手順や審査基準に違いが生じます。これにより、申請の処理にかかる期間が異なり過ぎてあます。
4. システムや情報技術の違い
入国管理局のシステムや情報技術の整備状況によっても、申請の処理スピードに違いが生じます。デジタル化の度合いや情報共有システムの有無によって、申請の審査やデータ処理に時間がかかり、明らかだと思います。
ここで、私が指摘したいことは、このデータ共有によって管理する担当部署が進捗管理をしっかりやっていないことです。
私たちは当事者ですから、現場を入管で問いただしたこともあります。
2.解決策の提案
統一された基準とプロセスの確立
各入国管理局における審査基準とプロセスを統一し、処理の透明性と効率性を向上させることが重要です。進捗の管理と改善の部署の権限を厚くして、長官に報告する仕組みを新たな監理部署のラインとして、監査部署のような内部統制の仕組みを民間企業のように作り上げることです。
申請者が公平な待遇を受けることができます。また、標準化された手順と監査手法は、審査の迅速化にも大幅に改善出来ると思います。
人員やシステムの適切な配置
繁忙期には追加の人員配置を行い、最新の情報技術を導入することで、審査速度を改善することが可能です。特に、デジタル化された情報共有システムの導入は、迅速かつ正確なデータ処理を可能にし、審査時間の短縮につながると思います。
情報共有の強化
入国管理局間での情報共有を強化し、リアルタイムでのデータアクセスを可能にすることで、処理時間の短縮を図ります。これにより、各局が最新の情報をもとに迅速に対応することができます。
監査制度の導入
トランスペアレンシーを確保するため、定期的な監査制度を導入し、各局の処理時間を公開することが推奨されます。
審査の遅延が発生した場合の原因究明と対策を具体的に実行可能にしていきます。
3.実際の影響と対策の実施例
審査遅延による影響は、多くの外国人労働者と受け入れ企業に及びます。審査が遅れることで、日本に入国できずに待機する外国人就労者や、国内で在留資格の変更を待っている労働者にとって、経済的損失が発生します。
また、受け入れ企業にとっても生産性の低下することも明らかです。
例えば、ある企業では、外国人労働者の入国が遅れることで、予定されていたプロジェクトの開始が遅れ、結果として顧客からの信頼を失うケースが報告されています。
これに対処するために、企業は臨時スタッフの雇用や業務プロセスの見直しを行い、影響を最小限に抑える努力をしています。
まとめ
在留資格申請の審査遅延問題は、日本の外国人労働者受け入れ体制における重要な課題です。統一された基準とプロセスの確立、人員やシステムの適切な配置、情報共有の強化、そして監査制度の導入が求められます。
審査の迅速化と透明性の向上が図られ、申請者と受け入れ企業の双方が公平かつ効率的に対応できる環境が整います。
【次回に続きます】
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