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【本要約】それをお金で買いますか〜市場主義の限界

2021/4/16

要約

世の中にある大体のモノはお金で買える。
便利だけど、それっていいんだっけ?
何でもかんでも、値段付けた方がいいんだっけ?
お金で買えないモノもあるのに、便利だからって、値段付けていいんだっけ?
今って、値段付けたらいけないものにまで、値段付けてない?

市場主義

世の中にはお金で買えないものがある。だが、最近ではそれも多くない。

市場、及び、市場価値が、かつてないほど生活を支配するようになってきた。冷戦によって、資本主義が評価され、市場と市場的思考が拡散した。富と繁栄を築くことにかけては、物の生産と分配を調整するメカニズムでは、市場が最適であった。

売買の論理は、もはや物的財貨だけではなく、生活全体を支配している。

1980年初頭、政府ではなく市場こそが、" 自由 " と " 繁栄 " の鍵を握っていると、政治家が言った。市場に好意的な自由主義に支えられ、1990年代まで続いた。

「市場主義の時代は終焉を迎えつつあるのではないか?」

2008年の金融危機は、リスクを効率的に配分する市場の能力に疑問を投げかけた。市場は道徳から遊離した。市場主義の道徳的欠陥は強欲さであり、それが無責任な金融危機を招いた。

そして、もっと大きな変化は、市場と市場価値が、生活領域まで拡大した。

市場主義の限界

市場の役割を考え、市場をあるべき場所に留めておく意味を考える必要がある。そのために、市場の道徳的限界を考え、「" お金で買うべきではないモノ " が存在するかどうか」を問う必要がある。

全てが売り物となる社会では、" 不平等 " と " 腐敗 " について思考する必要がある。

政治的影響力、医療、安全な住居、安全な学校が、お金で買えるようになるにつれ、格差はより大きくなる。価値あるものが全て売買の対象となれば、お金を持っていることが、世界における、全ての差異の源となる。

市場には、" 腐敗 " を招く傾向がある。

子どもが本を読むためにお金を払えば、子どもは本をもっと読むかもしれない。だが、これでは、読書は、" 教養の獲得 " ではなく、" 面倒な仕事 " になる。

生きていく上で、大切なものに値段を付けると、それが腐敗してしまう恐れがある。市場はモノを分配するだけでなく、取引されるものに対する特定の態度を表現し、それを促進する。

モノを売買する時、モノを商品として、利益を得る道具として扱うのが妥当だと判断している。しかし、この方法で、あらゆるモノの価値が適切に測れるわけではない。

最もわかりやすい例が、人間である。
奴隷は、人間を商品として扱う。
商品として、人間の価値を適切に評価できる訳がない。
人間は尊厳と尊敬に値する人格として評価すべきであり、商品としてみなしてはならない。
選挙の投票権や、納税は、市民の義務ではなく、公的責任と考える。
それらを商品として扱うと、公的責任を他人に委託すると、社会が毀損してしまう。

これらの例から、商品になると堕落したり腐敗したりするものがある。

だから、適切な市場を決めるには、健康、教育、家庭生活、自然、芸術の価値の測り方を決めなければならない。

道徳的な問題であり、経済的な問題ではない。問題を解決するには、道徳的な意味と、その価値を測る方を、問題ごとに考えなければならない。

しかし、気づかないうちに、" 市場経済を持つ状態 " から、" 市場社会である状態 " へ陥ってしまった。

市場経済 … 生産活動を統制するための道具
市場社会 … 人間の営みのあらゆる側面に価格が浸透している生活様式

2008年の金融危機で、自由市場の自動修正力を信じたのは誤りだと証明された。しかし、市場への信頼はほとんど損なわれなかった。

もう少し具体的に噛み砕いた↓


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