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【本要約】14歳から考える資本主義


2022/4/9

お金という虚構

ホモサピエンスが地球を支配できたのは、認知革命が起こったためだ。
ホモサピエンスの脳だけが、高度な言語を生み出し、その言語で虚構の物語をつくり、仲間と共有できたからだ。

人間は、お金とその使われる仕組みを、脳の中に虚構としてつくりあげた。
人間は、幸せになる道具として、お金と経済の物語をつくった。

物語となった宗教を、神を、人間が信じることで、宗教は、虚構ではなく、人間の脳が共有する現実となった。法律も国家も経済も、人間の想像力によって生み出された。

資本主義も人類の幸せのための道具であるから、間違いがあれば、作り直せばいい。

  • 「 努力すれば、努力した分だけ報われる 」ということが、資本主義の利点であった。

  • 資本主義は「 すべての人を、幸せにするシステムではない 」ことに、気付き始めた人がいる。

経済は、人間がつくった道具であり、人間全体が最も幸せに暮らせる状態に至るまで、何度も作り替えるべきものだ。

資本主義

■資本主義社会を動かす8つの歯車

① 私的所有権

財産の所有を主張できる権利

自分の財産を自由に使ったり売ったりすることが当たり前になったのは、17世紀になってからだ。

アダムスミス ( 1723 - 1790 )
(1) 人間の体は本人のもの
(2) 体を使った労働も本人のもの
(3) 自然界にあるものに労働を加えると、新しい価値が生まれる
(4) 新しい価値は、労働した人のもの
(5) 新しい価値を自由にでき、市場で貨幣と交換できる
(6) 私有財産ができる

  1. 太古から共同体による、共同所有の様々な形態があった。

  2. 私的所有するには、所属する共同体から個人の独立が必要だった。

  3. 個人の独立を果たして初めて私的所有権が確立された。

一方で、私有権には社会的合意が必要であるから、無制限の私的所有はない。川を個人が所有すると、他の人が水を飲めなくなる。

② 見えざる手

市場に任せておけば、社会の利益は増大する。

・人々は利益を求めて、合理的に自由な行動を取る。
・自由な行動が集積されて、市場経済は自然な均衡をつくり上げる。

アダムスミスにとって、資本主義の前提が自由である。

封建制度下では、人民は王の臣民で自由がない。臣民は自由を獲得して、市民になって初めて自由市場へ参加できる。

奴隷貿易:人間は商品
資本主義:人間の時間は商品

③ 資本主義

資本家がお金を出して労働者が生み出した利益を配分する。

④ 労働の精神

  • 神から与えられた仕事は天職である。

  • 人の役に立った結果、お金が貯まるのは、神の意志である。
    だから、貪欲という罪ではない。

労働に対しての資本主義の根本精神がつくられた。

⑤ 金融の信用創造

銀行は、無限に増殖するお金「 信用創造と金利 」をつくった。

金利とは、お金の賃貸料のことで、利息・利子という。

⑥ 金利と持続的成長

資本主義にとって、金利は生きるための空気のようなものだ。

資本主義は、持続できるに成長していくことが、前提として義務付けられている。

⑦ 法人・株式会社

株式会社は、資本主義経済の原動力である。

⑧ イノベーション

資本主義経済を発展させるのは、創造的破壊であり、イノベーションである。

【 5つのイノベーション 】

  1. プロダクト:商品
    それまでなかった新しい価値を持つ商品の開発

  2. プロセス:生産方法
    新しい生産方式の創出・導入

  3. マーケット:販路
    新しい販路の開発・整備
    Ex. Amazon

  4. サプライチェーン:原料
    原料や部品など半製品の供給の新しいシステム

  5. オーガニゼーション:組織
    新しい企業組織の創出と組織化

宇沢弘文による宇沢経済学

社会的共通資本
人々が、豊かな経済生活を営み、優れた文化を展開し、人間的に魅力のある社会を持続的・安定的に維持することを可能にするような社会的装置
① 自然環境資本
② 社会インフラ資本
③ 社会制度資本

資本主義は、自然環境を自由財として損なってきた。
その結果、社会的共通資本が棄損されて地球の気候にも変動をきたした。

企業活動が社会全体に対して、直接・間接に被害を与えたとき、そこに、外部不経済が存在する。
※外部不経済:経済活動の外側で発生する不利益

企業が負担すべき費用を無視して成立する資本主義は、本来は間違いである。

  • 外部不経済を無視して、日本の車社会は暴走した。

  • 畜産業・林業・水産業・農業など、自然から直接資源を得る産業を、工業と同じように扱うのはおかしい。

  • 教育が、利益追求の手段になった。

【 学校教育に求められる機能 】
① 社会的統合
 学校という場で、他の子どもと交わることで、社会人として成長できるように促す。
② 平等
 育った環境に関わらず、最高の教育が受けられるようにする。
③ 人格的発達
 それぞれの子どもが持つ能力や資質を伸ばす。
アメリカ哲学デューイ

この三大原則は、戦後、日本の義務教育の基本理念となった。

大学論
大学は純粋に知識を求める場であり、経済活動から独立した存在であるべき
アメリカ経済学者ヴェブレン

デューイとヴェブレンに共通するのは、リベラリズムの思想の元に、社会的共通資本としての教育を求めた。しかし、1960年以降、学校教育に本来求められていた機能が働かなくなり、格差を広げる要因となった。

●医療が財政の重荷とされ、人命より経済が優先された。

●フリードマンの市場原理主義がアメリカ系経済学を支配した。
市場原理主義:この世界のすべては、市場を通して取引できる。
・資本主義とは自由だ。
・市場価格こそが正義だ。

●アリメカの特殊な歴史が、新自由主義を生んだ。
「 市場の自由 」という経済理論が誕生し、時代を席巻した。

自由とは、強い者・富める者が、自分の利益のために自由に行動するためのモノである。

アメリカは、移民のピューリタンが、自由を求めて建国された国である。その歴史は、戦争に彩られていた。アメリカの憲法では、人民が武器を保有することを基本的権利としている。

アメリカでは、国家にすべてを委ねてしまわない。国家だけが、暴力を独占してしまうことは、自由とは言えない。人民と国家が対等であるためには、人民にも武器が必要である。国家と人民が対等の権利を持って初めて、自由といえる。

●東西冷戦の後、ソ連が崩壊し、新自由主義が絶対視され、グローバル化した。

●レントシーキング
市場の競争ルールを様々な政治的・経済的圧力によって、自分に有利に変更・無効化し独占的な利益を得ること
ex.サブプライムローン問題


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