J@52

現在は仕事の関係でソウル在住。52歳。書く仕事に長年携わってきましたが、あくまでも個人…

J@52

現在は仕事の関係でソウル在住。52歳。書く仕事に長年携わってきましたが、あくまでも個人的に、日々感じることや純粋に書きたいことをここに綴っていきます。自分をじっくりと見つめ直すことが最大のテーマ。人生の棚卸しをすることが、新たな道につながると信じて。

最近の記事

やるべきこと、やりたいこと再確認

1年前の8月2日。52歳で個人的な文章を書き始めた。とにかく、もやもやしたものをどこかに吐き出してみたかったのだ。 ただ不思議なもので、自分の気持ちを吐露すればするほど、気持ちはどんどん楽になっていった。この間、ずっと自分の中の声に耳をそばだて、お前は一体何者なのか、何が好きで、何が嫌いで、何をやりたいのか。夜ベッドに入ってから、犬の散歩のとき、日課のジョギングで、食事をしているときも、頭の中では繰り返し繰り返し、それを問い続けた。この身動きが取れない時期はいい意味で「自分

    • 犬は嗅ぐ、私は見る

      小学校低学年の頃だったか、一匹の野良猫をみつけて、しばらく自宅で飼っていた時期があった。いつの間にかぷいっと出て行ったきりになったような気がする。猫の自由気ままなところが好きだったのかもしれない。だからいまでも、町歩きで路地裏に迷い込んだ時などは、町の風景を楽しみながら、いつも猫を探している。 犬といえば昔は、外飼いが一般的だった。田舎の一戸建てで庭がある家では、そこに犬小屋を作って飼っていた。子供たちで通りかかると必ず吠えられる。一度、弟を連れて犬を飼っている友達の家に遊

      • 私の中のアーモンド

        ソウルにある書店に行くたび、その無表情な少年の顔が気になっていた。 大手書店のランキングの上位に入っているのでさらに気になったが、当時は自分の気持ちのもやもやが解けない頃で、あまり暗い感じの本を読みたくなかったのもあり、手は出なかった。 しばらく時間が経っても、まだランキングの棚の一番高いところにある。ちょっと今の韓国で最も売れている本を読んでみようと気軽な気持ちで購入した。調べてみると、日本でも「2020年本屋大賞」の翻訳小説部門で1位になったという。せっかくなら韓国語

        • 撮れなかった家族写真

          子どもの頃の夢はプロ野球選手だった。とてもそんな素質はなかったが、あの頃はサッカーもまだ人気がなく、寝ても覚めても男は野球だった。根っからの阪神ファンだった父の影響も大きかった。初めてグローブを買ってもらった日のうれしさ。今でも父とのキャッチボールで受けたときの感触を忘れない。 が、本当の夢は「一家団欒で食卓を囲むこと」であり、「みんなが笑う家族写真を撮ること」だった。誰もが使う一家団欒という響きは、私にとって格別で甘美な響きがある。その心象風景は、叶わぬ夢として胸の奥に今

        やるべきこと、やりたいこと再確認

          楊花大橋を渡る

          今まで何回、タクシーに乗っただろうか。 韓国のタクシーは日本に比べて料金が安いこともあって頻繁に利用するが、いつも乗るたびに複雑な気持ちになる。親近感がある一方で、気持ちの中で小さな痛みというか申し訳ない気持ちというか、今日も乗せていただきます、と誰かに声を掛けたいような……。それは、父が長くタクシーに乗っていたからだろう。そしてふと思う。父はいつも、どういう気持ちでハンドルを握っていたのだろうか。 タクシーの運転手として、父は私と弟を育ててくれた。離婚した後も再婚せず、

          楊花大橋を渡る

          父の影を追う

          父はとても怖い存在だった。よく怒鳴られ、手を上げられたこともしばしばだった。怖くて言いたいことが言えず、根性がないと怒られる。逃げる。また怒られる。 実家が寿司屋ということもあって計算が得意になるよう、小学校に入って間もなく、半強制的にそろばん学校に入れられた。ねがいましては〇〇円也、〇〇円也、〇〇円で~はという先生の言い方が面白く、最初は試験にもとんとん拍子で合格して調子に乗っていた。 が、まだ遊びたい盛りで、野球もやりたい。週2回のそろばんにだんだん嫌気がさした。いか

          父の影を追う

          人生の宿題を鹿児島で終える

          どんな旅も楽しい。 子どもの頃はまともな家族旅行もできなかったせいか、はたまた乗り物にはめっぽう弱く、遠足のバスではいつも酔って、吐いて、ぐったりして、楽しみな弁当も半分味がせず……という経験をしてきたせいか、自分が長い旅に出る、というイメージができなかった。 だが、人生は分からないもの。きっかけはあのシベリア鉄道だろう。初めての海外旅行先はあまのじゃく精神を発揮してソビエト社会主義共和国連邦、いまのロシアだった。みながアメリカ、アメリカというから逆に向かいたかった。ハバ

          人生の宿題を鹿児島で終える

          降り止まぬ雨音を聴く

          ソウルはまだ雨が続いている。今年の梅雨はついに観測史上初めて50日を超え、過去最長記録を塗り替えてしまった。降り止まない雨といえば、ずっと耳から離れない歌がある。 彼女が世に出たのはまだ十代半ばの少女時代。「な、なかいめのべ、るでじゅわきをとったきみ(中略)く、ちびるからし、ぜんとこぼれおちるメロディー」という、彼女の世界観から生み出された斬新な音節を持つその歌は、日本中が歓喜をもって受け入れた。ただ、史上空前の大ヒットは副作用も生む。そこまで売れてしまうと、どこへ行っても

          降り止まぬ雨音を聴く

          セネカに学び、過去を旅せよ

          人生のなんと儚いことよ。あっという間に50を超えてしまった。これまでいったい何を成してきたのか、と思うと愕然とする。「忙しい」が口癖になったのはいつの日か。心を亡くすと書いて「忙」と書く。つくづく漢字とはうまくできていると思う。では、心を取り戻すにはどうすべきか? ゆとり。うん、誰もが余裕のある生活を望む。だが、子育てをして会社に勤めて、責任あるポジションに着けば、暇になどしてられないのだ。でも、今頑張れば老後にはきっと……。と、ふと思う。老齢期に入ってから楽しむ?とすると

          セネカに学び、過去を旅せよ

          夏の断片を拾う

          夏の断片を拾う

          自分の息の分だけ潜る

          海無し県で育ったせいか、大海原はあこがれの場所であると同時に、未知の世界としての恐ろしい存在でもあった。小さい頃は水が大の苦手で、体育の授業では25メートルを泳ぎ切れない。いつも途中で息が苦しくなって溺れかける。もがけばもがくほど体は沈み、しこたまプールの水を飲む羽目に。 思い出すだけで、鼻がツーンとする。なんとか人並みに泳げるようになり、齢50を過ぎた今でも、そのプールに引きずり込まれるような恐怖感は体の底に染みついてる――。 *** ソウルに帰る前日。ずっと曇ってい

          自分の息の分だけ潜る

          風の島で、風の詩を聴く

          済州島は「風、石、女」の三つが多いとされ、別名を「三多島」という。そういえば、済州島に来てからずっと風が吹いている。 このところの悪天候の影響もあるだろうが、昨日も夜半から風が強まり、ゴウゴウという音で目が覚めた。ただ、その音は決して不快ではない。仕事をしばし離れた今。明日が豪雨でも台風でも、それはそれ。むしろ、成り行きに任せられる心地よささえ感じている自分がいる。 強風の前では全ての正解が通用しない。そんなものは一瞬にして吹き飛ばされてしまう。だから建物は無骨でもそれに

          風の島で、風の詩を聴く

          済州島でソジュを飲む

          ソウルからわずか1時間ほどで済州島に着く。こんなに近いのか、と改めて思う。これまでずっと来たいと思いつつ、やっとのことでこの地を踏むことができた。 韓国に初めて来たのは1995年。それから行ったり来たりで長らく韓国に関わってきたが、暮らしたのはソウルだけで、済州島には一歩も足を踏み入れたことがなかった。 前職で同僚だった友が亡くなったと聞いてから10年が過ぎた。仮住まいだった京畿道の共同墓地から、生まれ故郷のこの島に移ったと聞いて以来、墓参りに行きたいと思い続けてきたのだ

          済州島でソジュを飲む

          出発の日

          2020年8月6日。 今日も朝から雨が降っている。このところずっと雨が続いており、韓国各地で浸水による被害も出ているようだ。漢江も水位が上がり、河川敷には近づけなくなった。例年にない梅雨らしい梅雨と呑気に言ってられないくらいの長雨。ニュースは来週まで続くと伝えている。 noteを始めたはいいが、肩に力が入りすぎていたようだ。忙しさにかまけて2日休む。反省。 もう少し気楽に、書ける時に書けばいい。と、自分を励ます。 今日から久しぶりの休暇だ。家族で午後から済州島に向かう予

          出発の日

          言葉は向こうからやってきた

          ずっと苦しかった。1年数か月前に韓国に来てからではなく、来る前からだ。50歳という年齢を意識し始めてからは特に。 何をしてもしっくりこない。凪の時間。凪ならまだよく、そこから沈んで、もがいても浮き上がれない感覚が絶えずつきまとう。家でも会社でも、傍からは平然として見えたかもしれないが、内心は満たされない。 そんな精神状態になると「決める」という行為が困難になる。日常生活は起きた瞬間から決断の連続だ。それができないと何も進まず、やるべきことが渋滞していく。 ある週末の朝。

          言葉は向こうからやってきた

          これからやるべきこと、やりたいこと備忘録

          昨夜、正確には今日の明け方に始めての文章をアップした。やっと第一歩を踏み出せた。 さて。本来なら、ここにはこういうテーマで一貫して書いていきますと言えればいいのだが、そうもいかず。なので手始めに、これまでぐずぐずとやり過ごしてきたこと、やれずじまいだったことから手を付けていこうと思う。自分を反省する意味も込めて、まずは「これからやるべきこと、やりたいこと」を思いつくままに羅列してみる。 これからの人生のあり方を考えぬく。 これまでの人生を振り返り、棚卸しをする。 自分

          これからやるべきこと、やりたいこと備忘録