シェア
asami_kun
2021年12月31日 20:15
七「さてどうするかね。このままチカムリオまで行くかね」「いえ、すみませんが、あの公園に戻って下さい。できるならもう一度、始めからやり直したいんです」「ふむ。私もそれに賛成だ。人生はいつでも、何処からでもやり直しがきくものだ。あのときは言わなかったが、一人一人の人生は不確定要素が多くてね。実に変化に富んでいるのだ。まあ、このへんのことになると理論的には少し難しいんだが。不確定性原理という
2021年12月19日 16:04
「では、あのときどうしても見ることのできなかった、僕の未来の続きもあり得るというのですか?僕は何となく自分の未来があれ以上ないと・・・つまり、寿命があそこまでだと思っていたのですが」紳士は微笑を浮かべた。その口元がバックミラーに映っている。「ふふ、そんなことを心配していたのかね。まあ、自分の未来の一部を垣間見るという不思議な体験をすれば、誰しもそのとき見た通りの生き方をしてしまうものだろう
2021年12月11日 08:26
過去回りの旅私は車窓に顔を押し付けるようにして、外の景色が見え始めるのを待った。今はまだ深い霧のため何も見えないが、やがてそこに自分の過去の光景が映り始めることを知っていた。私は紳士に尋ねた。これから残された時間がどのくらあるのかわからないが、この人物には、いろいろと聞いておきたいことがあるのだった。「そういえば、僕たちのほかにも、これに乗った人々がいるんでしたね」紳士は私の質問に