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初個展直前に脳梗塞になった話:入院4~5日目:ICU4~5日目


動かない右足を左足で移動

朝食の動画を撮ろうと思ってたのに、またも蓋を取ってもらった途端に食指が動いて食べてしまった。朝食は米飯とスクランブルエッグケチャップとブロッコリーとインゲンのゴマ和えと海苔と牛乳。

お通じの出る薬

今日の午後から処方される。高血圧や脳梗塞では便秘が大敵だと知る。イキムと言うのか力むと言うのかは地域差があると思うが、それが血管=血圧に負荷をかけてしまうから。

看護婦さんに簡易トイレ持ってきてもらう。当然恥ずかしい等はない。相手にも失礼である。イチっニーっノセっで乗移りお尻を晒す。用をたし、渡された【出たら押して下さいね呼び鈴】を鳴らす。ベッドサイドのスピーカーから『十骨さん大丈夫ですか?』の声。はいと答える。『拭ける?』の声。いいえと答える。すかさず現れ拭いてもらいパンツを履かせてもらう。一段落。思わずホェ~と声が出た。その声に看護婦さんが笑う。

風呂に1週間近く入れてなかった。汗で不快なので身体を拭いてもらいたく、下の洗浄と合わせて拭いてもらう。どうやるかというととても便利な形状のハンドシャワー・ポンプがある。ご不明な方は【病院 陰部 股関 洗浄 道具】で検索して見てほしい。●●袋の裏から尿道。尿道からオムツ。すっぽり収まった。ここでも当然恥ずかしいなんて事は無いと思いきや、本音では少し恥ずかしかった。

主治医による当初の見解  

結局、総じて。。。治らない可能性も高いだろうとの事。障害者関連の書類も書くよと。その発症した時に119番呼べば投薬して80%治ったかもしれないけど夜通し時間も経ってしまってるので治らない可能性も高いと。医療的な見解は真摯に従う。ただ物事はマイナスに考えればそれに敏感に反応する。ネガティブに思考してしまうとトコトン深みにはまる。プラス思考になればいい。元気があれば何でも出来る。救急隊長の言葉を思いだす。リハビリを頑張ろう。
(↓手配先を探している 『短期は損気だよ』参照)
https://note.com/jukkotsu/n/n4b5b3ef15c17

PT・ST・OT とは

勇気づけられる笑顔の理学療法士さん。以後は笑顔PTさんと表記させて頂きます。
どうやら理学療法士さんをPTと呼ぶそうです。Physical Therapistで略してPT。言語聴覚士さんもSpeech-Language-Hearing Therapist 略してSTと言うそうです。また、作業療法士さんはOccupational Therapistで略してOT。これを書いてる時に入院していた、転院先のリハビリ病院で僕も初めて知りました。

さて今日は笑顔PTさんに支えられての立つリハビリ。最初に左足で支える。次に右足で支える。膝を曲げない感覚を覚える。足の裏。いい感じだ。

気の合うSTさん。こちらも気合いSTさんと表記させて頂きます。いつもの笑顔。左脳が言語野。しどろもどろになり説明がまとまらない。右脳は図形やデザイン。IQも養える。積み木のリハビリ。全面同じ柄。見本帳と同じ様に並べる。集中力。顔の右側が下がってくる様に感じる。左脳の影響だろうか。

身体は拭いてもらったが洗髪はまだである。頭が痒い。ボリボリ掻く。左手カテーテル。閉塞。ブザー。手首の曲げで閉塞になる。ずっと閉塞にならない方向を開けてればいい。

看護婦の夜間交代の挨拶の時に『喋りづらさはなおりましたか?』と問われる。説明が回りくどくなるんですよねと答える。

5日目am6:30

看護婦の掛け声で起床。目覚めの体温計、血圧、SUP、手の運動、足の運動。便意を催す。ナースコール。昨日と同じ時間帯にお通じ。鉄の腐った様な匂い。

髭剃り、氷枕、バッテリー、洗髪、左脳の痺れ。どれから言おう。とりあえず全て言おう。まず1つずつ。髭剃りは充電から外す。
バッテリーは手渡ししてスマホにハメル。氷枕は持ってきてもらう。洗髪を看護婦に依頼する。左脳の痺れ。機微な詳細を報告して待つ。

突然ICUに変化が起きた

プルルルルと電子音『はい大丈夫/わかってるわかってるけど.../肺を..../ゴホゴホ言ってた.../PM?..../BM?..../バイタ..../蘇生を..../マスクして....』     男の先生の声で『.….しよう』賛同するような沈黙が流れた。何を言ったかは聞き取れない。でもその後の沈黙が答えの様でもあり違う様でもあった。医師の青い裾がドアの向こうに見える。靴は何らかの調子で止まる。ドアにかかり、一旦止まり、諦めたように引っ込めて消えた。朗らかな婦長が僕のベッドに現れ『歯磨きね、片付けないとね、ごめんねぇ騒がしかったわねぇ』と。いいえ、と答えた。どこからか中国人と思われる看護婦さんが甲高い声で『オカワリないないですかぁ?オシッコ?20cmくらいデテルネェ』と言うのが聞こえた。

外しちゃダメ 

どこからか『ウェェェ~…. 』と聞こえる。看護婦さんが声をかける『■■さんこれ外しちゃダメだよ?夜勤は看護士が減るから危ないんだよ?酸素不足になるんだよ?前の病院から縛ったって聞いたよ?私は■■さん嫌いじゃないけど縛らないと治療に支障がでるの』問答が続き、ね、理解してお願いします、とだけ聞こえた。しょうがないんだよね。看護婦さんも判ってるし、どうにもならないんだよね。それでもキチンと話しかけるんだよね。相手にもきっと伝わってるんだよ。

主治医が開口一番に言った

『十骨君、立てたって?よかったじゃない先は明るいよ』笑顔PTさんから連絡が入ったのだろう。僕は前向きに取り組んでる事を告げた。主治医は言う『日曜に入院したんだよねぇ?でもあの日31件の救急で最後の病床だったらしいよ、良かったね』それを聞いて僕は自分の悪運を思う。何故か最後の1席を奪う。それを狙うのだ。

思い返せば小学生の時。公園の池に鴨の遺骸が浮かんでた。ソレをつついていたら池にボチャンと落ちた。泳げなかった僕は必死でもがいた。目の前を水面が上下する。濁った水と空。その時、同じく小学生の兄が差し出した細い枝が目に入る。細く頼りない枝だったが、奇跡的に折れずに一命をとりとめた。部活で一列に並ばされ先輩からの"しごき"で一人ずつ頭を叩かれても僕の直前で止まる。忘れてたのか僕だけひっぱたかれなくてすんだ。友達にもいいよなぁとかズリーなぁ等と言われた。一人サーフィンで溺れた時もそうだった。"普通のサーファー"は溺れるはずのない海の状況だったろう。なんてことない波だったろう。ニワカの僕はまんまと溺れ"泳げないのに"必死で泳いだ。命からがら浜辺にたどり着き、端から見てたら引くだろう程に、これでもかと深呼吸した。ともあれ、僕は悪運が強いのだろう。

体が変な方向に曲がってる 

今晩のおかずは何かな?そんな事を思ってるとふと、朗らか婦長さんから声がかかる

『十骨さん、大丈夫?もうすぐ晩御飯だけど身体が変な方向よ?』

大丈夫です、と言いながらさて困ったぞ、と思案する。何せ"くの字"に曲がってる。どうにも抜け出せない。まずは右手のお小水袋から移動させなければならない。このお小水は何を隠そう僕のお小水なのだ、いや、知ってるんだぞと自分に言い聞かせる。とりあえず平にして上にずり上がる。左膝を立ててズリズリ上がる。頭の定位置がここでないのは確かだ。ひたすらずり上がる。パジャマの後ろも直して突っ張らない様にする。裾も開いてる。オムツも完ぺき。さて、くの字をまっすぐにすべく、かろうじて動く様になった右手で柵を掴む。左手でサイドテーブルを掴む。まったなし。八卦良いのこったのこったのこった。勝利した。

夕食

米飯。鮭の南部焼き。黒ゴマがまぶしてある。なんとも風情のあるビジュアルである。風情が有りすぎて南部鉄コン筋クリートだ。そして付け合わせはインゲンとコーン。ササミと梅の和え物。ヨーグルト。カブと菜っ葉の野菜スープ。健康的な夕飯。もりもり食べて歯ブラシして一段落してpm18:50。さてどうするか。夜は長い。長い夜。歌うか。松山千春。ながぁ~い夜ぅをぉ~って。今日は、日中、目を、閉じた、、ら、、意識して、、、いしきして目を開け、、てたから。。眠。。。い。。。

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