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初個展直前に脳梗塞になった話:入院19~21日目(リハビリ病院2~4日目)

19日目 : 色眼鏡

am6時。室内の蛍光灯がつく。体温を測る。昨日のトイレ回数を報告。朝はトイレが争奪戦。今日はPT=理学療法士さん、ST=言語療法士さん、OT=作業療法士さんのリハビリがある。事前にクチコミを見てしまったためにどうにも色眼鏡で見てしまう。判断を邪魔してくる。印象が悪い方になりがちである。昨日も受付の人の笑顔から嘘っぽく見えてしまったものなぁ。受付の人もクチコミ見てて、仮面被ってるのかなぁ?とか。看護士がトイレの使用中となっていてもノックして返事もないまま無断で開けたり、食事中の人にパンを突っ込んでたり、お茶配りしてて乱暴に置いたりどうにも印象が悪い。
(※しかしこの違和感は後々解消されます。無断なんかではなく御自分で開け締め出来ない患者さんが車椅子用トイレに入るし、口元にも運べない患者さんのために口元に持っていったりしてただけです。乱暴なんてのは僕の色眼鏡の影響でした。看護士さんやスタッフさんはキチンと誠実に対応されてました。)

さて、目の前に運ばれてきたお茶で気付いた。食事10分程前に持ってくるのは食前の薬を飲むためか。で食後の薬を飲むためにお茶は残しておく。丁度良いタイミングだ。そうだここは病院なんだ。

リハビリPT小鳥さん

僕の担当PT(理学療法士)は若く細い女性。本日初回。呼び名を【小鳥さん】とします。細いというのもなんとも非力に見える細さ。そして小鳥さんの言葉使いや接し方や雰囲気がいかにも若い。まあこちらも脳梗塞にしては若い方だからしょうがないのかもしれない。それに僕は初対面の人だとどうやら風貌や雰囲気から"フランクでもいいすか?"と思われがちの様です。なので小鳥さんは親しみを出してから壁を無くすタイプなのかな?と思った。とはいえ態度が少しフランク過ぎる。そして小鳥さんのリハビリメニューは装具つけながらとはいえなかなかハードで初日からこれは結構スパルタだなと。(※これも紛れもなく色眼鏡の影響でした。後々、とても感謝する事になります)

リハビリも終わり病室に戻ると昼食の時間。4人の病室。隣の人は魚を見るだけで気持ち悪くなるらしく、献立のサバ味噌のビジュアルで嘔吐した。これは茶化す意味ではなく本当に色々な人がいる。

リハビリSTノッポさん

僕の担当ST(言語聴覚士)。本日初回。【ノッポさん】と呼びます。第一印象がスラッとしている人だったのでノッポさん。しかし、なかなか下手(シタテ)というかおべっかを使ってくるぞと思った。さてはクチコミを気にしてるんだなとさえ勘繰った。(※これまた色眼鏡)そして初っぱなの回から見学の学生さんが同席した。学生さんの前だから愛想良くしてるのかなとさえ思った。(※安定の色眼鏡)
こういうのが毎回続くのかと緊張した。今思えば特定の期間だけだったけど。さて、転院してきたこの時点の初期能力を測るためのテストを行う。これも後々回復を知る指標となるとの事。内容はちょっと覚えてない。とはいえ科学と学問は否定出来ない。

OT入浴判定=お風呂診断

OT(作業療法士)。これは脱衣、洗体・洗身、手すりを使ったりどこまで介助が必要かを見定める訓練。手すりに捕まりながらなんとか1人で何日ぶりだかの湯船に浸かった。今回のOTさんは本来の担当ではなくて、今回だけのお風呂担当の男性。ロン毛の緩いパーマ。第一印象は軽~い感じの人かと思っていた。しかし全くの想定外。丁寧で誠実で紳士的な人だった。パーマも天然で『同じ天然ですね』なんて盛り上がったり、若いのに話も色々と合うので好印象だった。本当にこういうギャップは嬉しい。

20日目 : コミュニケーション

1コマ目STノッポさん。『お父さんが』『お母さんに』『花を』といった言葉使いの検査。どういう風に言葉を理解してるか、正しく使えるか、正確かつ早くの検査。これはマズイ。かなり頭がついていかない。

2コマ目PT小鳥さん。昨日から感じてたがなんとなく苦手。(※これまた安定の色眼鏡) こちらのその感じ伝わっただろうか?よそよそしいのを出してみる。僕からはタメ口にはしない。伝わったかな?しかしちょいちょいタメ口になってくる。坊主憎けりゃ袈裟まで憎いとは良く言ったもの。そこまで憎くはないが『せーの』とか『1,2,3!』とか独特の間合いの掛け声までおかしく聞こえてくる。でもエアロバイクの電源や使い方のメモを渡してくれた。これは優しいと感じた。(※後々判明するがこれが本来の姿だった)

カルテを見たのだろう小鳥さんが『あぁ~十骨さんの誕生日、私の旦那も同じ日ですね』と共通点を言ってきた。僕はそこで『へぇ~運命かもしれないですね』というお決まりの軽い冗談は飲み込んだ。それまでの苛立ちを感じてないと思われたりイライラが帳消しにされてもかなわない。まして気があるのかと勘違いされてセクハラと捉えられても堪らないし、とにかく諸々の危険をさけて口元まででかかった冗談癖は飲み込んでおいた。

その後、電気刺激でのリハビリ。刺激で動かない筋肉や神経を呼び覚ます。脛に電気パッドを当てる。刺激数25?。良いなぁと実感出来た。脛の外側が刺激され足首から先の外側が注意がいく。装具を着けながら。爪先は下を向かない。ここで自立杖を支給された。看護士見守りだけども。この時点でジンワリなんとなく小鳥さんはなかなか出来る理学療法士さんなのかもと思っていたのが、今思えば正直で的を得た感想でした。(※当然です。なんせ色眼鏡なのですから)

21日目 : ジャニ系看護士さん

担当看護士は若く茶髪でスリムで顔もジャニ系。しかし愛想も無いし、僕が薬を飲むのを横に立って見おろしてた様に感じたし、なんとも失礼だなぁと思った。(もう、とにかく、序盤は色眼鏡の連続でした)

ノッポさん代行のリスさん 

ノッポさんがお休みらしく代行で入ったリスさん。九州出身。可愛らしい人。学生時代は九州に居た。ハキハキしてて、そうは見えないが東京に来た当初は怖い話とかは『やめてぇ~』と心の中で願う派だったらしい。ノッポさんからのプリント課題を持ってきましたと。判定トレーニング。数字を繋いで絵が出来る。文章記憶。30以下の奇数に○を付ける等々。

初の売店に向かう

売店は看護士さんに付き添ってもらわないと行けない。ジャニ系看護士さんに押して連れていってもらう。衣類洗剤、柔軟剤。他にシャンプーとリンス。入院セットというものをお願いしてる場合はお風呂場のシャンプー類の備品を使える。その入院セットは数百円。風呂場に持っていく手間だとか、万が一移動中に落とした時の苦労だとか、その他の影響も検討した。まぁ、それでも入院セットは選ばずにここで個人的に購入した。

リハビリOT朗らかさん

日程の都合もあって本日が初リハビリのOT(作業療法士) 。よく笑ってくれるので【朗らかさん】とします。というより笑い上戸です。笑って誤魔化してるのかと思う位よく笑います。(※色眼鏡発言です。後々普通に相性も良く優しい人だと解ります) 検査をしました。内容は当時のメモが残ってないのですが転院してきた当初の数値を測るための検査だったと思います。

夕方母と電話

色々ある。沢山ある。ただゴチャゴチャしててまとまらない。脳梗塞の影響は凄まじい。もうとにかく細かい事が考えられない。集中が出来ない。細かい段取りが出来ない。今さっきの事さえ覚えられない。抽象的に例えるんですが、"ほんの手前とか隣の事"とかさえ維持出来ない。ほんとに手が届きそうな所にあった事なのに。手のひらを、指の間からサラサラと砂がこぼれていく様な。水蒸気を掴もうとする様な。

そういえばなんかトム・クルーズもそうらしいと聞いたなぁ。今なら判るなぁ。こういう事かぁ。想像つかないってこういう事だろうなぁ。説明も出来ないし、説明さえ判らなくなるし。

その後はビデオ通話で久々に兄弟で話した。顔を見て話した。唯一心を開ける。そしてこぼした。『まぁ~疲れた。もうぉぅとにかく疲れた』

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