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初個展直前に脳梗塞になった話 : 入院31~35日目

31日目:久々の外で暑さを感じる

午後OT(作業療法士)朗らかさん。久々に外へ出た。まだ夏だ。チューブが聞きたくなる天気ですね、あれ?聞こえなかったのかな?無反応だった。サザンを挟んでからのTUBEで、朗らかさんはあぁ~と反応した。なるほどそういう世代なのだなと。

肌をさす日差しが暑いのは判る。でも汗は感じない。そうなんだよなぁと気付く。1ヶ月以上室内に居たから身体が夏仕様になってない。朗らかさんから『暑くないですか?』と聞かれ『大丈夫です汗かく機能が眠ってますから』と答えた。朗らかさんは朗らかに笑ってくれた。

ちなみに検査浴なるものがあるとの事。一人でユニットバスを使えるかを確認するもの。以前 ( 19~21日目:OT入浴判定=お風呂診断 ) の時の天パ同士で好印象だった方をお願いした。

32日目:病院ならではの髭剃り

無駄の無い丸みあるデザイン。剃るだけに特化した製品。掃除は面倒なので2日に一回にする。am6:00には明かりが着くが周りの迷惑を考え7:00過ぎに心がけてる。病室内で誰かの電気髭剃りの音が聞こえるとそれが終わるのを待つ。終わって数分経ってからこちらも行う。これは『おたくの音を聞いて気付いたんじゃないぞ』というサインである。見栄ともいう。なんの見栄なのか判らないが。トイレに行くのもずらす。大なら匂いの問題がある。前の人が臭いならこちらも嫌だし、前の人にも臭いかなぁと気を使わせたくないのだ。駅やデパートなどのトイレは気にしないのだが顔を合わせる場面では気になる。

日常全般の動作に向けて

これらも朗らかさん(OT作業療法士)の担当領域となる。掃除機をかける練習。意外に全身を使ってる事を知る。床に座りそこから立つ練習。実生活ではこれまた必須だし案外やってみると出来ない動作も解る。段差の昇降。これはちょっと早かったかもしれない。その後昨日に続いて外に出て病院の周囲を歩く。ヒョコヒョコだが歩く。

免許チームのモデルさん

今日初めましてのOTさん。スラッとスタイルも良くてモデルと言われても納得の雰囲気の方なのでモデルさんと呼ばせて頂きます。退院日決まったらその前に2週間程度を、運転評価テストやシミュレーションにあてるとの事。モデルさんが実習生の時に先生が参考資料として映画のメメントを挙げていたらしい。脳の障害、記憶に及ぶ内容。心理学的な要素もあると思う。僕も好きな映画である。殺人事件に巻き込まれた主人公が直前を忘れる健忘症になり、どうにか思い出す様に身体に刺青でヒントを刻んでいくといった話。内容が恐かったのに2回見たらしい。モデルさんは僕の発症当時のうんともすんとも言わなかった右足という話で涙ぐんでくれた。良い人だなと思った。

33日目 : 検査浴一人でユニットバス

先日朗らかさんから聞いた検査浴。指名した天パロン毛さんに見守ってもらいながらのユニットバスの判定をしてもらう。左足でバランス取りながら、補助バーを掴みながら、なんとか乗り切る。久々に全身を泡で洗う。気持ち良い。出てからドライヤーで乾かす。髪伸びましたよね?と聞かれる。ちょうど切ろうかどうかって考えてた矢先に発症したんですよと話したら、そういう患者さんは多いそうだ。それを聞いて【後回し】は良くないなぁと思った。

2ヶ月程度に1回行く馴染みの床屋の担当さんとは毎回天パ談義になった。僕が宮城リョータみたいにしたいんですよねぇと言ったら『この髪質ならなりますよ、羨ましいです』と言ってくれてた。どうしよう、もう行かなくなって4ヶ月目に入るなぁ。電話しようかなぁ。

ユニットバスなら週6は入れるとの事。でもそれはしんどいな。しかし週に2,3回は入りたい。週に4日でお願いする。予定はホワイトボードに張り出されるので入らない日は看護士かスタッフに言えば良いとの事。

再発の恐怖

病室に戻り椅子に腰かける。冷蔵庫に飲み物を取ろうとかがんだらクラッとする。いかん。おかしい。ベッドに横になる。怖い。どうしよう。無理をしたのか?再発なのか?入院伸びるのか?お母さん哀しむなぁ。転院前のICUを思い出す。笑顔PTさん悔しがるだろうなぁ。気合いSTさん心配するだろうなぁ。免許証の裏の臓器提供書いとこうかな。復活しないのに延命させられるなんてごめんだ。家族にも負担かけたくない。いやいやそんな事じゃない。ナースコール。男性の看護士がくる。症状を伝える。体温、血圧は正常。医師を呼んでくると。医師が来る。改めて血圧と体温。そして酸素濃度も正常。めまいは中枢系と抹消系に分かれるとの事。

中枢系は脳や命に関わるので迅速に病院へ行くべき。吐き気や手足の麻痺、痺れを引きおこす可能性がある。抹消系は様々な要因もありよく起きるとの事。今回は吐き気や痺れという程ひどくないと自分でも判断してとりあえず安静にする。横になり十数分経過。落ち着いてきた。上記の情報もスマホで検索したら心理的に楽にはなった。手足も動くし。でも横になっておこう。無理しすぎたのかもしれない。夕方ST(言語聴覚士)が入っていたのでノッポさんには大事をとって安静にしたいと申し出た。5,6年前の発症の時と似てたから怖いと伝えた。今思えばそれも大袈裟だったけどやはり怖いのだ。

34日目:母

恐怖から一夜あけて朝を迎える。数値では安心とはいえ、クラッと来たらもう起き上がれないのではという恐怖。家族への負担。心配をかける事。生きた心地のしないであろう母。お母さんこんなに心配かけてワガママでごめんなさい。首にへその緒がからんで難産だったって。公園の池で鴨の遺骸を枝でつついてそのまま池に落ちた。命からがら兄が差し出した細い枝で奇跡的に助かった。小学校で忘れ物ばかりして家から持ってきてもらっていた。高校はサッカー部の朝練でam5:00起きで夜遅く帰る。大学も1年で中退。バイトバイトバイト。お母さんとお父さんが同時に入院してた時も自転車で転んで前歯を折った。お見舞いして笑わせた。でも心配をかけた。肋骨10本折った時も救急病院にお父さんとしんどそうに支えあいながら駆けつけてくれたって兄ちゃんに聞いたよ。それでも僕は生きてた。僕は生かせてもらった。

そんなお母さんを思うとこの状況は本当に辛い。辛くて悲しくて恥ずかしい。だからこんな状態で気付いた。脳がやられて迷惑かけたくないって。脳がやられたら終わりなんだって。そんな状態で迷惑かけるより臓器提供して、どこかの誰かに俺の一部が生きてるって、そう思って欲しいなって。だから衝動的に免許証の裏に◯をつけた。前々から気になっていたのを思い出したからだ。

談話室のテレビで【生物はなぜ死ぬのか】をやってる。これを見て思う。永遠とか神秘とか、どうでもよくて、エゴで、さだめで、そんなものにゴテゴテと理由づけてる人間もただただそういう存在。でもこの地球においての生物は進化のために死んでるとの説。そして今後の進化はサルから派生した今までとも比較はできなくて【人の意志】でどういう生物になりたいか、どういう人が好まれるかなんだと思うってのに共感はした。

35日目 : 健康を知る

つくづく健康が大事だと思う。
生きたいのか。
死にたいのか。
自分の思い通りに動けないなら
生きていたくない。
自殺願望とかじゃない。
安楽死を考える。
若くして、、、いや若くもないがこうして考えられている歳で介護うけるなんて。。。

介護をしてる人や受けてる人やそれらの人々を馬鹿になんかしていない。脳がやられたら終わりだなんて言ってはいけない事もわかっている。  

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