清水正浩

ポンコツにしてボンクラノート、略してP.B.N

清水正浩

ポンコツにしてボンクラノート、略してP.B.N

記事一覧

読書録131 ティムラズ・レジャバ著 「日本再発見」

本作の著者であるティムラズ大使を知ったのは、グルジア改めてジョージアが耳に慣れたあたり、ジョージア料理の「シュクメルリ」が「松屋」で販売された事を喜ぶ呟きだった…

清水正浩
6日前
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読書録130 髙橋安幸著「暗躍の球史 根本陸夫が動いた時代」

著者の「伝説の野球選手に会いに行く」シリーズとか、「根本陸夫伝 プロ野球のすべてを知っていた男」は、愛読していて、特に「根本陸夫伝」は文庫化記念のイベントに参加…

清水正浩
9日前
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読書録129 高鳥都著「あぶない刑事インタビューズ「核心」

小学生の頃、日曜の夜といえば「西部警察」だった。多士済々の刑事達の中で、俺のご贔屓は舘ひろしさん演ずるポッポこと鳩村刑事だった。アメリカ帰りでダンディかつスマー…

清水正浩
12日前
3

読書録128 清武英利著「アトムの心臓」

著者の清武氏といえば、読売巨人軍のGMとかフロントの人という印象が最初にくる。 キレ者のGMで、革新的なチーム改革を情熱的にしようとする姿には他チームファンから見て…

清水正浩
1か月前
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読書録127 中川裕著「ゴールデンカムイ 絵から学ぶアイヌ文化」

基本的に、「フィクションは上手くだましてくれれば良い」と考えている。 「ゴールデンカムイ」という作品は、知ってる「史実」に知らなかった「知識」や「文化」を織り込…

清水正浩
1か月前
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読書録126 樋口季一郎著「陸軍中将樋口季一郎回想録」

樋口中将といえば「オトポール事件」とか「アッツ島玉砕・キスカ島撤退」「樺太・占守島の戦い」と、帝国陸軍の将軍には珍しいタイプのエピソードを持つ人で、以前から興味…

清水正浩
1か月前
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読書録125 丹波哲郎・ダーティ工藤著「大俳優 丹波哲郎」

のっけから濃厚な「丹波哲郎節」が全開で最高なのである。 サービス過剰かつ、あちこちに話が飛んだり跳ねたり暴走しかけたりするのだけれど、ダーティ氏が絶妙にツッコん…

清水正浩
2か月前
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読書録124 野村進著「丹波哲郎 見事な生涯」

圧巻の取材力と読ませる文章で、結構ぶ厚い本なのにあっという間に読み切ってしまった。 取材対象である「丹波哲郎」自体が、おそろしく魅力的である事に加えて、あまり深…

清水正浩
2か月前
1

ゴールデンウィークに観た映画達

とはいえ、家で配信で観たんだけれど、観た順に感想なぞ。 ①柳生一族の陰謀 ただただ萬屋の錦ちゃんが素晴らしすぎるし、千葉ちゃん率いるJACのアクションも圧巻! ②…

清水正浩
2か月前
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読書録123 鈴木理生著 「江戸の都市計画」

タイトルは「都市計画」とは言うものの、水運を中心にした「港湾史」と言った方が正確かなと思う。 予想とはちょっと趣きが違う内容ではあったが、港湾系の短大を出て、港…

清水正浩
3か月前
5

読書録122 喜瀬雅則著「中日ドラゴンズが優勝できなくても愛される理由」

待ちに待った本作なのである。 https://note.com/jrc43z/n/n1e859f34c495 https://note.com/jrc43z/n/nbad207cdcb77 阪神タイガース、オリックスバファローズ、福岡ソフ…

清水正浩
3か月前
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読書録121 井端弘和・西尾典文著「日本野球の現在地、そして未来」

落合博満さんの講演会に行くと必ず名前が挙がるのが「井端、荒木、森野」の3選手で、彼等は「地獄の落合ノック」をクリアし、ドラゴンズ黄金期を象徴する選手達なのである…

清水正浩
3か月前
3

読書録120 高鳥都著「必殺シリーズ始末 最後の大仕事」

大好きな「必殺シリーズ」を深掘りする素晴らしいシリーズの3作目(別出版社の仕置人大全も入れたら4作目)なのである。 「最後の大仕事」とサブタイトルにあるのが寂しく…

清水正浩
3か月前
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読書録119 森功著「鬼才 伝説の編集人 齋藤十一」

生来の活字中毒だから、廉価かつ種類が豊富で持ち運びの楽な文庫本には随分と世話になってきた。 中でも新潮文庫のレトロなデザインと、栞のいらない紐付きの仕様はとても…

清水正浩
4か月前
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読書録118 三浦英之著「涙にも国籍はあるのでしょうか」

東日本大震災が起こる2年前に亡くなった父は、生前いつか関東にも大きい地震がくるからと、地震の際に気をつけるべき事について俺や弟にうるさく言っていたのだけれど、そ…

清水正浩
4か月前
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読書録117 TAJIRI著「真・プロレスラーは観客に何を見せているのか」

令和のプロレスファンに、「ガチヤオ論争」とか「ミスター高橋本」とか「ケーフェイ」とか言ってみても、きっと通じないだろう。 「怪しく」て「卑猥」で「曖昧模糊」とし…

清水正浩
4か月前
3
読書録131 ティムラズ・レジャバ著 「日本再発見」

読書録131 ティムラズ・レジャバ著 「日本再発見」

本作の著者であるティムラズ大使を知ったのは、グルジア改めてジョージアが耳に慣れたあたり、ジョージア料理の「シュクメルリ」が「松屋」で販売された事を喜ぶ呟きだったと思う。

今回改めて著作を読んだのだけれど、日本で長く暮らされていた経験に基づいた知識の豊富さや、ジョージアの文化に根ざした視点の鋭さが楽しく、あっという間に読んでしまった。

少年時代の回想は共通する所もあって懐かしく感じたし、ラーメン

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読書録130 髙橋安幸著「暗躍の球史 根本陸夫が動いた時代」

読書録130 髙橋安幸著「暗躍の球史 根本陸夫が動いた時代」

著者の「伝説の野球選手に会いに行く」シリーズとか、「根本陸夫伝 プロ野球のすべてを知っていた男」は、愛読していて、特に「根本陸夫伝」は文庫化記念のイベントに参加し、著者の髙橋氏や「根本一家」の「必殺仕事人」大田卓司さんにお会いできたりと思い入れが強い。

本作は、待ちに待った待望の続編で、前作が「人間根本陸夫」を深掘りするような作品だったのと比べると、やや視点を俯瞰にして「組織人 根本陸夫」に注目

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読書録129 高鳥都著「あぶない刑事インタビューズ「核心」

読書録129 高鳥都著「あぶない刑事インタビューズ「核心」

小学生の頃、日曜の夜といえば「西部警察」だった。多士済々の刑事達の中で、俺のご贔屓は舘ひろしさん演ずるポッポこと鳩村刑事だった。アメリカ帰りでダンディかつスマートそしてちょっとキザ。華麗なバイクアクションに痺れまくったのである。

時は流れ、中学生の時に始まった「あぶない刑事」は、「鳩」村から「鷹」山にグレードアップした舘ひろしさんに加え、柴田恭兵さん演ずるフリーダムなユージ、トオルにカオルに中条

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読書録128 清武英利著「アトムの心臓」

読書録128 清武英利著「アトムの心臓」

著者の清武氏といえば、読売巨人軍のGMとかフロントの人という印象が最初にくる。

キレ者のGMで、革新的なチーム改革を情熱的にしようとする姿には他チームファンから見ていても好感が持てたのだけれど、「寝業師」とか「仕事師」タイプが暗躍するのを良しとする世界においては、あまりにもピュアに過ぎるかなと思ったりした。

案の定というか何というか、惜しくも志半ばにして球界を去った清武氏を再び目にしたのは「サ

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読書録127 中川裕著「ゴールデンカムイ 絵から学ぶアイヌ文化」

読書録127 中川裕著「ゴールデンカムイ 絵から学ぶアイヌ文化」

基本的に、「フィクションは上手くだましてくれれば良い」と考えている。

「ゴールデンカムイ」という作品は、知ってる「史実」に知らなかった「知識」や「文化」を織り込む事で、「上質なフィクション」かつ「優れたエンターテイメント」に昇華させた「エンタメのカムイ」が作り上げたんじゃないか?という素晴らしい作品で、というか要はめちゃくちゃ面白くてどハマりした作品なのである。

著者は、「ゴールデンカムイ」の

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読書録126 樋口季一郎著「陸軍中将樋口季一郎回想録」

読書録126 樋口季一郎著「陸軍中将樋口季一郎回想録」

樋口中将といえば「オトポール事件」とか「アッツ島玉砕・キスカ島撤退」「樺太・占守島の戦い」と、帝国陸軍の将軍には珍しいタイプのエピソードを持つ人で、以前から興味があったのだけれど、たまたま復刻版の回想録を見つけたから飛びついた次第。

かなりのボリュームで、そこそこ時間をかけて読み進めてきたのだけれども、海外赴任や地方の師団へ赴任した時のエピソードがメインで、上記の有名なエピソードに触れてる部分は

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読書録125 丹波哲郎・ダーティ工藤著「大俳優 丹波哲郎」

読書録125 丹波哲郎・ダーティ工藤著「大俳優 丹波哲郎」

のっけから濃厚な「丹波哲郎節」が全開で最高なのである。

サービス過剰かつ、あちこちに話が飛んだり跳ねたり暴走しかけたりするのだけれど、ダーティ氏が絶妙にツッコんだり、合いの手を入れたり、事実関係を補足していきつつ、丹波さんの語り口を完全に再現しているので、目の前でワンマンショーが繰り広げられてるのかと錯覚するくらいだった。

直前に読んだ「丹波哲郎 見事な生涯」が、丹波哲郎評伝の傑作だとすれば、

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読書録124 野村進著「丹波哲郎 見事な生涯」

読書録124 野村進著「丹波哲郎 見事な生涯」

圧巻の取材力と読ませる文章で、結構ぶ厚い本なのにあっという間に読み切ってしまった。

取材対象である「丹波哲郎」自体が、おそろしく魅力的である事に加えて、あまり深掘りされてこなかった「霊界研究」を含めた私生活への洞察も含めた内容が新鮮で、とても面白かった。

貞子夫人と長男義隆氏の家庭に、江畑絢子氏と正樹氏との別宅の関係は、「真田太平記」に於ける昌幸の家族関係に酷似していて、丹波さんが自ら池波正太

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ゴールデンウィークに観た映画達

ゴールデンウィークに観た映画達

とはいえ、家で配信で観たんだけれど、観た順に感想なぞ。

①柳生一族の陰謀

ただただ萬屋の錦ちゃんが素晴らしすぎるし、千葉ちゃん率いるJACのアクションも圧巻!

②必殺3 裏か表か

昔は楽しく観たのだけれど、前期必殺を知った後だと、マンガチックで物足りないかな。

③拝啓天皇陛下様

個人的に渥美清のハマり役は、「車寅次郎」よりも本作の「山田正助」だと思う位に好きな作品。笑って泣ける活劇であ

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読書録123 鈴木理生著 「江戸の都市計画」

読書録123 鈴木理生著 「江戸の都市計画」

タイトルは「都市計画」とは言うものの、水運を中心にした「港湾史」と言った方が正確かなと思う。

予想とはちょっと趣きが違う内容ではあったが、港湾系の短大を出て、港湾企業で30年近く働いてきた自分的にも、なるほどと思う事が多く面白く読めた。

北日本から太平洋沿いに、東京湾に向かう航路の場合、現在運行しているような10,000トンクラスの貨物船でも荒天時に犬吠埼を越えるのは結構難しいのだけれど、当然

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読書録122 喜瀬雅則著「中日ドラゴンズが優勝できなくても愛される理由」

読書録122 喜瀬雅則著「中日ドラゴンズが優勝できなくても愛される理由」

待ちに待った本作なのである。

https://note.com/jrc43z/n/n1e859f34c495

https://note.com/jrc43z/n/nbad207cdcb77

阪神タイガース、オリックスバファローズ、福岡ソフトバンクホークスと、著者の本は踏み込んだ取材でタブーにも斬り込むところが面白い上に、書かれたチームは必ず優勝するという縁起の良さもあって、次はドラゴンズを書

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読書録121 井端弘和・西尾典文著「日本野球の現在地、そして未来」

読書録121 井端弘和・西尾典文著「日本野球の現在地、そして未来」

落合博満さんの講演会に行くと必ず名前が挙がるのが「井端、荒木、森野」の3選手で、彼等は「地獄の落合ノック」をクリアし、ドラゴンズ黄金期を象徴する選手達なのである。

中でも本作の共著者である井端氏は、年長者でもあり、野球頭脳に優れ、万事に抜かりの無いスマートなプレーをする名ショートだったし、引退後もアマチュア球界に食い込みつつ、指導経験を積んでいるのは知っていたけれど、まさかここまで深くアマチュア

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読書録120 高鳥都著「必殺シリーズ始末 最後の大仕事」

読書録120 高鳥都著「必殺シリーズ始末 最後の大仕事」

大好きな「必殺シリーズ」を深掘りする素晴らしいシリーズの3作目(別出版社の仕置人大全も入れたら4作目)なのである。

「最後の大仕事」とサブタイトルにあるのが寂しくて、読むまでに時間がかかってしまった。

今回は「仕事人」以降、いわゆる「後期必殺」の話がメインとなる。

リアルタイムで視聴していた頃の話が多く楽しかった。

演者の村上弘明さんは、デビュー作の仮面ライダーが直撃する世代だった事もあり

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読書録119 森功著「鬼才 伝説の編集人 齋藤十一」

読書録119 森功著「鬼才 伝説の編集人 齋藤十一」

生来の活字中毒だから、廉価かつ種類が豊富で持ち運びの楽な文庫本には随分と世話になってきた。

中でも新潮文庫のレトロなデザインと、栞のいらない紐付きの仕様はとても好きだ。

本書の主役である齋藤十一は、雑誌編集の「鬼才」なのだけれど、新潮社の創業から丁寧に描かれているので、文庫への親しみもあって興味深く読めた。

やっぱり、イデオロギーや主義主張に囚われすぎない、白でも黒でもない巨大なグレーの存在

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読書録118 三浦英之著「涙にも国籍はあるのでしょうか」

読書録118 三浦英之著「涙にも国籍はあるのでしょうか」

東日本大震災が起こる2年前に亡くなった父は、生前いつか関東にも大きい地震がくるからと、地震の際に気をつけるべき事について俺や弟にうるさく言っていたのだけれど、そういえば「高い所に逃げろ」ってよく言ってたな…と、あの日が訪れるたびに思い出したりする。

父自身は、横浜で生まれて戦中に祖父の故郷である千葉県木更津の金田村(今、アウトレットとかすごいあたり)に疎開しただけで、東北に所縁はないし、大きい地

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読書録117 TAJIRI著「真・プロレスラーは観客に何を見せているのか」

読書録117 TAJIRI著「真・プロレスラーは観客に何を見せているのか」

令和のプロレスファンに、「ガチヤオ論争」とか「ミスター高橋本」とか「ケーフェイ」とか言ってみても、きっと通じないだろう。

「怪しく」て「卑猥」で「曖昧模糊」とした、「巨大なグレーゾーン」であった「プロレス」も、長い低迷期を経て、白黒はっきりした「スポーツエンターテイメント」として再認識されたんじゃないかと思う。

だけれど、「日本プロレス界の父」力道山先生の出自である「相撲界」同様に、閉鎖的な「

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