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読書録128 清武英利著「アトムの心臓」

著者の清武氏といえば、読売巨人軍のGMとかフロントの人という印象が最初にくる。

キレ者のGMで、革新的なチーム改革を情熱的にしようとする姿には他チームファンから見ていても好感が持てたのだけれど、「寝業師」とか「仕事師」タイプが暗躍するのを良しとする世界においては、あまりにもピュアに過ぎるかなと思ったりした。

案の定というか何というか、惜しくも志半ばにして球界を去った清武氏を再び目にしたのは「サラリーマン球団社長」という作品で、自身の球界体験も活かした素晴らしい作品で、書き手としてもやり手じゃんか!と、うれしくなった。

本作は、大泉洋氏出演の映画「ディア・ファミリー」の原作である。

先天的に心臓が悪く余命宣告を受けた娘さんのために、町工場を営む両親が自ら人工心臓を開発しようとするストーリーなのだけれど、プロジェクトX的な内容ではなく、主人公である筒井さん家族とそこに関わる「人間」達を、著者のピュアさが愛おしく魅力的に描いていて、あっという間に読み切ってしまった。

とにかく面白い作品でした。

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