ひきこもりの問題8 カテゴリー

ひきこもりというのは、
カテゴリー名ではなく、
「自殺」のような状況を表す名詞だと思います。

自殺する理由には、
人それぞれ様々な要因があるように、
「ひきこもり」になる理由も、
人それぞれ様々な要因があります。

この点について、
不登校、ひきこもり、発達障害、
のような並びで使われる場合は、
カテゴリー名として使われている印象があります。

しかし、
個人的には「ひきこもり」という名詞は、
「自殺」のような状況を表す名詞であり、
概念として捉えた方が適切で、
可能性があると思います。

ひきこもりUX会議、
という団体がありますが、
UXというのはunique experience、
固有の経験という意味です。

つまり、
病気があるか、
障害があるか、
男か女か、
白人か黒人か黄色人か、
どんな社会的な地位にあるか、
などの属性で人を見るのでなく、
その人の固有の経験を尊重しよう、
という発想が、UXや「ひきこもり」という言葉には込められていると思います。

いずれにしても、
「ひきこもり」はカテゴリー名ではなく、
状況を表す言葉で、
その人の属性で見るのではなく、
その人の固有の経験を尊重しよう、
という発想は重要だと思います。

そしてその発想は、
世の中の要請でもあり、
福祉総合相談窓口、何でも相談窓口のような、
その人の属性で分けず、
その人の固有の経験を尊重しよう、
(という想いがあるかは分かりませんが)、
また、
ひきこもりなど、
複合的に様々な困難を抱えている人に対応しようという理念のもと運営されている窓口が生まれました。

しかし、
個人的には、
福祉総合相談窓口でも「対応できない」
と言われ、
支援を断られた経験があるため、
どのくらい機能しているのかは疑問があります。

また、
「ひきこもり」はカテゴリー名ではないことに意義があり、
少なくとも、病気ではない、ということが前提の状態(状況)名のはずなのに
ある困難さを抱えた人たちに発達障害という病名付けられていく動きもあります。

元々「ひきこもり」は病気ではないと言われたところに、
別の病名をあてがうことで医療化を進める。

医療化によって、
問題の原因が具体的な状況にあるにも関わらず、「発達障害だから...」という理由で、
具体的な状況が問われづらくなってしまう。

「ひきこもり」というカテゴリーで区切らない名詞をつくることで、
主に困難を抱えている人同士が連帯したり、カテゴリーに当てはまらないという理由で支援の対象外になることを防ぐ効果がある。

それらの可能性は充分に語られておらず、
活かされていない。

そのため、
「ひきこもり」という言葉や概念の可能性について、もっと検討する機会が必要だと思います。

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