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思索と創作

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言いたいことは、物語にする。
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#小説

だから僕は他人の為に書くのをやめた。

だから僕は他人の為に書くのをやめた。

新幹線に乗っている。
明日開催される文学フリマ京都の遠征のためだ。

小田原駅を出てしばらく経ち、北の峰に新東名と東名の高架が見え、雲に隠れた(大抵この付近を訪ねると隠れている)富士山が主張をし始めたので、まあ静岡のそこらへんなのだろう。





今、僕は小説を書いている。
このたった一行を記すことができたことに、僕は僕の感じる以上の嬉しさを抱いている。
とても、とても。

昨年の今頃は、

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産声をあげる日-ある文芸評論家から作品の感想をいただいた話と、恩師の話

産声をあげる日-ある文芸評論家から作品の感想をいただいた話と、恩師の話

先日、ある文芸評論家と文通する機会があった。
自身の作品を読んでもらい、感想をいただくことを前提とした文通である。

ことの発端は、1本の電話からだった。

先週土曜日の朝、電話が鳴った。電話帳未登録の番号であった。
その日は仕事で、ちょうど出勤準備に追われていたこともあり、応えることができなかったがしかし、ひっきりなしにスマホは揺れつづけるのだった。
仕事の休憩時間に入るまで、2時間おきに不在着

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【目次とまえがき】書きつづけるには、書きつづけるしかない【ユーメと命がけの夢想家】

【目次とまえがき】書きつづけるには、書きつづけるしかない【ユーメと命がけの夢想家】

毎週金曜日22時頃更新!

【ユーメと命がけの夢想家】
目次

000:雨の日の朝食
001:黄昏時
幕間001:加虐と被虐
002:秘密の恋
幕間002:適切な努め
003:トキメキ二重奏
幕間003:焦燥と設計
004:きらめく星空
幕間004:三幕構成と本を読むということ
005:帰宅したら、何だかものすごいことになっているのですが
幕間005:構造と理屈なき展開

↓2月4日(金)22時

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海の見える図書室 夏(仮)第一楽章

海の見える図書室 夏(仮)第一楽章

第一楽章、非遮光性のカーテン
 涼しい風が吹いている。
 右腕をかすかに撫でるカーテンの所作で、僕は夢から醒めた。いい風だった。夏とは思えないからりとした風だ。
 昼下がりのチャイムが鳴る。夏休みは八月に入ったばかりだが、ここからあっという間に過ぎてしまうことは経験則から知っている。
 誰もいない図書室の窓際、腰丈ほどの小さな本棚の上で、僕はひとり昼寝をしている。どの窓も全開、これは風を全身で感じ

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備忘録としての「僕は小説をこう書く」

備忘録としての「僕は小説をこう書く」

初めましてこんにちはお久しぶりです、今田ずんばあらずです。
今回は備忘録なので、前置きとかカットして進めていきます。
自分はこういう風に小説を書いてるんだ、って感じの話です。自分向けです。よく書き方を忘れてどうしようもなくなるので。
もちろん、スタイルなんて年月とともに変化していくものだと思うので、今現在書きやすいと感じる内容をざっくりやっていきたいですね。

構想はテーマが先か、物語が先か、人物

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SHOW

SHOW

 ショウという男がいる。

 高校で、一度か二度同じクラスになった。背が高くて、鼻の脇に大きなほくろがあって、もじゃもじゃの髪が妙に似合う男だ。奴はバレーボール部で、僕は文芸部、大学も別々。休み時間に二言三言声をかけたことはあったろうが、一対一で話した記憶はない。

 奴と僕の関係をどう書けばいいのかといえば、おそらく「知り合い」という言葉が最もしっくりと来るだろう。事細かくいえば「高校時代に同級

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僕は風景を誤読する。

僕は風景を誤読する。

算数が苦手な子どもでした。

これを自覚したのはいつだったかは覚えてないけど、まず引き算でつまづいたのは覚えています。
数字が引かれていくといくつになるのか。
13の地点から6歩下がるとどの地点になるのか。
うーん、今でも若干計算に手間取ります。

そんなわけで初めましての方は初めまして。そうでない方も初めましての感覚で読んでいただければと思います。
旅する小説家の今田ずんばあらずです。半年間くら

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