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#小説
産声をあげる日-ある文芸評論家から作品の感想をいただいた話と、恩師の話
先日、ある文芸評論家と文通する機会があった。
自身の作品を読んでもらい、感想をいただくことを前提とした文通である。
ことの発端は、1本の電話からだった。
先週土曜日の朝、電話が鳴った。電話帳未登録の番号であった。
その日は仕事で、ちょうど出勤準備に追われていたこともあり、応えることができなかったがしかし、ひっきりなしにスマホは揺れつづけるのだった。
仕事の休憩時間に入るまで、2時間おきに不在着
海の見える図書室 夏(仮)第一楽章
第一楽章、非遮光性のカーテン
涼しい風が吹いている。
右腕をかすかに撫でるカーテンの所作で、僕は夢から醒めた。いい風だった。夏とは思えないからりとした風だ。
昼下がりのチャイムが鳴る。夏休みは八月に入ったばかりだが、ここからあっという間に過ぎてしまうことは経験則から知っている。
誰もいない図書室の窓際、腰丈ほどの小さな本棚の上で、僕はひとり昼寝をしている。どの窓も全開、これは風を全身で感じ