体内時計② 驚くほど一日が変わる!「朝日+朝ごはん」は美の基本!
体内時計のお話。
続いては、美と健康に最も大切な「体内時計のリセット」のお話です。
ヒトの体内時計は、地球より少し長い
ヒトの体内時計は、地球の「一日24時間」より少し長くできています。最新の研究では、日本人の体内時計は一日24時間10分。そう聞くと、「なんだ。たった10分!」なんて思いがちですが、甘く見てはいけません。このままでは、地球と毎日10分ずつずれていってしまうからです。
では体内時計が地球とずれてしまうと、どうなるのでしょう?
わかりやすく、半日ずれたパターンで考えてみます。
地球の時計(日本時間)が22時を指しているとき、自分の体内時計は朝10時。本来なら眠くなるはずの時間ですが、体内時計は活動モード。脳が冴えた状態では眠くないし、眠ったとしても熟睡できません。すると成長ホルモンはしっかり分泌されず、肌や体のメンテナンスができないまま朝を迎えることになります。
ようやく朝になる頃、今度は自分の体内時計が休息モード。体が休もうとする時間に、一日をスタートさせなくてはなりません。この状態では、どんなに気力で乗り切ろうとしても、パフォーマンスは低下。ミスが増えたりイライラしたり、集中できなくなってしまうのです。
逆に言うと、体内時計のリセットさえできれば、あとは勝手に絶好調!
社会時間と体内時計が合致するので、勉強や仕事をする日中にはしっかりと脳が働き、夜にはメラトニンが分泌されて眠くなるなど、一日を通して最適なコンディションでいられるのです。ね?体内時計のリセットって大切でしょう?
体内時計のリセットは、とっても簡単。「朝日」と「朝ごはん」で完了します。これだけで、驚くほど一日が変わりますよ!
体内時計リセット①カーテンを開けて、朝日を浴びる!
朝の美容で一番大切なのが、カーテンを開けて朝日を浴びること。
「そんなこと?」と思うかもしれませんが、すごく大事!たったこれだけで一日が大きく変わります。
というのも朝日にはブルーライトがたっぷりと含まれていて、これが目に入ると脳は「地球に朝がやってきたんだ!」と理解して、体内時計をリセットするのです。
朝、脳をしっかり起こしてあげると、体温調整やホルモン分泌などを最高のタイミングで調整してくれるので、その日一日がベストコンディション!学校や職場で頭は冴え、心も体も軽いですよ!
また、朝日を見てから14〜16時間後にメラトニン(睡眠ホルモン)が分泌されます。つまり毎日同じ時間にカーテンを開けるだけで、同じ時間に眠くなってくれるので、規則正しい生活につながります。実は、規則正しい生活には、「同じ時間に寝る」よりも「同じ時間に朝日を見る」方が効果的。夜うまく寝られない時は、朝起きる時間を意識してみてくださいね。
私も同じ時間にカーテンを開けるようになってから、夜の寝つきがとても良くなりました。ぐっすり眠れるということは、成長ホルモンが分泌されて、しっかり細胞修復が行われるということ。美と健康の基本は、朝日です!
体内時計リセット②朝ごはんを食べる!
実は近年の研究で、脳以外にも体内時計があることがわかりました。なんと胃や腸、肝臓、血管、皮膚など、全身の至るところに存在していたのです!つまり私たちの体には「脳」と「全身」、2種類の体内時計があります。
脳の体内時計は「朝日」でリセットされますが、全身をリセットするのは「朝ごはん」。食べ物が体に入ることで、「地球に朝が来たんだ!」と理解します。
カーテンを開けて朝日を見たら、1時間以内に朝ごはんを食べましょう!
二つの体内時計がピタッと合うので、脳と全身の連携がスムーズになります。
心も、体も、肌も、絶好調に過ごすことができますよ!
朝ごはんを抜くと、体内時差ボケが起きる!!!
では朝ごはんを抜くと、どうなるでしょうか?
例えば朝7時に起きて、朝ごはん食べずに過ごしたとしましょう。お昼になってごはんを食べるとき、自分では「朝ごはんを抜いて、昼ごはんを食べた」という認識かもしれませんが、体は違います。
朝ごはんは、英語で「breakfast」。「fast(絶食)」を「break(破る)」ことが本来の意味。前夜からの長い絶食明けに食べ物が入ってくることで、全身の体内時計は地球に朝が来たことを知ります。つまり朝ごはんを抜いた場合、
・朝7時に朝日を見てリセットした脳
・昼12時にごはんを食べてリセットした全身
自分の中にある2つの時計が、時差ボケを起こしてしまいます。この体内時差ボケが、「寝たのにだるい」「イライラする」「やる気が起きない」のような不定愁訴だけでなく、がんなどの生活習慣病につながることがわかっています。逆に体内時計を整えてあげることで、これらの症状が改善されることもわかってきているのです。
私はこのことを知って、衝撃を受けました。人は「なんとなく良い」と聞いているだけでは、適当にしちゃうものですよね。「なぜ大事なのか」をきちんと知った今は、毎日欠かさず朝ごはんを食べています。
しっかり体内時計がリセットできると、日中もパフォーマンスもアップしますよ。
炭水化物+たんぱく質=最強の朝ごはん
朝ごはんのメニューは、「炭水化物+たんぱく質」の組み合わせが、最もリセット効果が高いことが早稲田大学の研究でわかっています。忙しい朝も、「納豆ごはん」や「トーストと目玉焼き」など簡単メニューで、しっかりリセットできますよ。
私の場合、朝ごはんはしっかり食べます。雑穀米、おかず、納豆、味噌汁など、一日の中で一番多く食べるのが朝ごはんですが、特に意識しているのがたんぱく質。実は、たんぱく質は昼や夜よりも、朝に重点的に摂ると筋肉量が増えることがわかっています。
筋肉量が多いと、体が引き締まるのはもちろん、食べた栄養が筋肉維持に多く使われるので、太りにくい体質になります。時間のある朝は、ゆで卵やソーセージを加えたり、コーヒーに牛乳や豆乳を入れてラテにするなど、たんぱく質をプラスしてくださいね。
毎朝起きたら、朝日と朝食で体内時計のリセット。これだけで、一日が大きく変わりますよ!ぜひ、続けてくださいね〜!
**プチ美容講座 朝ごはんを抜くと太る!!!**
「朝食べると太るんじゃ・・・」と思う人もいるかもしれませんが、その逆です。朝ごはんを抜くと、体内時計が狂って体重は増加、さらに筋肉量も低下することが解明されました。朝ごはんの欠食は、百害あって一利なし。
またスムージーや野菜ジュースだけで済ませている人は、それだけでは体内時計をリセットできません。健康で美しくなりたいなら、「炭水化物+たんぱく質」も食べるようにしてくださいね。
そして咀嚼も大切です。「飲んで済ます朝ごはん」ではなく、「しっかり咀嚼する朝ごはん」にすると、頭がしっかりと働くことがわかっています。私の仕事は、とにかく頭の回転が大切なので、毎朝しっかり噛んで食べていますよ。
≪参考文献≫
National Geographic Webナショジオ 研究室に行ってみた 国立精神・神経医療研究センター 睡眠学 三島和夫 『第2回 体内時計25時間はウソだった!』 https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20121203/332679/?P=3 2020.3.24.アクセス
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