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【洋楽雑考#8】マジで恋する4時25、6分前〜Chicago

皆元気? 洋楽聴いてる?


さて、今回は2018年4月25日にライヴ・コンピレーション「VI Decades Live ~This is What We Do」の国内盤をリリースしたChicagoをご紹介。


CD4枚、DVD1枚という大作なのだが、注目すべきはなんと言っても音源すべて初出という点だろう。

中でも1970年に開催されたイギリスはワイト島フェスでのライヴを完全収録してあるのが嬉しい。1968年から1970年にイギリス南部の小さな島ワイト島で開催された当イベント。


特に70年はなんと5日間(!!)もの長丁場だった。当時のフェスでもっとも有名なものといえば、1969年にNY郊外で行われたウッドストックだが、観客動員数では実はワイト島の方が多く、約70万人が訪れたという。

Chicagoの出演はフェス中日となった1970年8月28日(ジミ・ヘンドリクス、Free、The Doors、The Whoらが出演したのは土日)だった。

Chicago 結成は1967年2月15日(結成日が分かっているバンドって、珍しくないか?)。


テリー・キャス(G)、ロバート・ラム(Vo/Key)ら6名がオリジナル・メンバーで、The Big Thingを名乗る。その後、ヴォーカル/ベースとして、ピーター・セテラが加入。


アルバム・デビューは1969年だが、その時点でもバンドはThe Chicago Transit Authority名義であり、1970年の「Chicago」アルバム(表記こそないがセカンド)でようやくChicagoとなる。


驚きなのが、デビューから3作連続でアナログ2枚組リリースを行なっていた点。ファーストがある程度売れていたから(全米アルバムチャート17位)、この無謀とも呼べるプランが実現したのだろうが、ヘタすりゃA&Rとかその上司に至るまで、一族郎党爆死しかねない。


1971年のロック・バンド初となったカーネギー・ホールでのライヴ・アルバムに至っては、アナログ4枚組(これにはメンバーそれぞれ思いがあるようだが)で、所属レーベルから印税の減額を命じられている。


今回陽の目をみたワイト島でのライヴ、その後1980年代に入り、デヴィッド・フォスターという稀代の名プロデューサーに出逢う後の彼らの音源とはかなり距離がある。

あのジミ・ヘンドリクスもお気に入りだったという故テリー・キャスのギターを中心としたジャムっぽいロック、またホーンのメンバーがイニシアティヴを握るプログレっぽい展開の楽曲、映画音楽を想起させるようなおしゃれなナンバーなど、理論面でも相当なツワモノであることは容易に理解できるし、全員が一体化したような凄まじい熱量のパフォーマンスには驚かされる。

残念なことに1978年1月にテリーは拳銃の暴発で死去、皮肉なことに、前述のデヴィッド・フォスターと出会うのはその数年後で、トレードマークとも言える"Chicago Sound"はそこで完成する。


個人的な話で恐縮だが、1990年にワイト島を訪れたことがある。
目的はもちろん、彼の地に少しでも残っているであろうジミ・ヘンドリクスが吐き出した二酸化炭素を吸うため(大丈夫か、オレ)。

"襟裳の春は何もない春です"と歌ったのは森進一さんだが、正直"ワイトの冬はもっと何もない冬"だった。

記憶がおぼろげなのだが、確か2日間滞在して、その間出会ったのは、B&Bの主人、その可愛い娘(今何してるんだろう...)、通りにずっとタムロしてるチンピラ高校生3人組だけだった。

まぁ、2月に海水浴場行っても、誰もいないとは分かっていたが...それでも、イギリス海峡を臨む風景が実に美しかったことだけは今でも覚えている。


肝心のジミ・ヘンドリクスの二酸化炭素なのだが、今もこんな感じで生きているのだから少しは吸い込めたんじゃないだろうか? ちなみに、今年は第1回のフェスから50周年。

実は2002年にワイト島フェスは復活していて、今年も6月21日から4日間にわたり開催が決定している。

海外のフェスに行くと、いかに日本のそれが見事にオーガナイズされているか知ることも出来ると思うのだが、どなたか渡英する方はおられるだろうか?報告を待つ! 

では、また次回に!
追記:ちなみに日本盤ではオレの敬愛するフォトグラファー、長谷部弘さんが1971〜73年に撮影なさったフォト・ブックが付いているのが嬉しい。


※本コラムは、2018年4月27日の記事を転載しております。



■Chicago 海外オフィシャルサイト
■Chicago(ワーナーミュージック・ジャパン)
■ワイト島フェスティバル 2018


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▼フジパシフィックミュージックでも連載中▼


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