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路地裏で揺らぐ -内在性解離の当事者研究-

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精神的虐待サバイバーであり、内在性解離を持って生きる僕たちを記録するエッセイを集めたマガジン。10人のパーツたちがそのときどきで思ったこと、考えたことをまとめている。
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2022年10月の記事一覧

名前と自己の境界線【僕とパーツの人生紀行】

名前と自己の境界線【僕とパーツの人生紀行】

こんにちは。亜麻です。

人間だれしもがそうであるように、私たちも矛盾を抱えていると思います。

私たちが抱えている矛盾は主に「名前」に関するものです。

私たちは主さん(本名)ではなく、パーツ(人格)それぞれの名前を持っています。

でも滅多にその名前を声に出すことはありません。

思ったり、書いたりするだけ。

「ああ、今直也が昼寝しに行こうとしてるな」とか、「賢也(監理者くん)があれこれ計画

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私的:なぜ解離性障害の情報が少ないのか

私的:なぜ解離性障害の情報が少ないのか

こんにちは。亜麻です。

※この記事は私の考えていることを記述したものであり、どこまでいっても個人の意見以外の何物でもありません。よって健康・体調等への責任は負いかねます。
より正確な情報がお知りになりたい方は学術記事や信頼できる書籍・医師専門家の診断等別の情報源に当たられることをおすすめします。

「私たちって解離してたんだ!」
と気づいた直後、「解離」についての情報を集めまくるブームが到来して

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止まった時計【エッセイ】

止まった時計【エッセイ】

「解離」が現実から、今・ここから意識が離れることだと表現するなら、フラッシュバックはタイムスリップとほぼ同義だろう。
僕たちは何度も「無数のあの日、あの時」を追体験する。鮮明に。詳細に。
タイムマシンが発明される前に、人類は思考の中でのタイムトラベルを可能にするのかもしれない。

閑話休題。

最近、怒りという感情の扱いに困る時期を過ごした。

ままならないことが起きると瞬間的に苛立ちが湧く。

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本当は「主」なんていないんじゃないか【後日談あり】

本当は「主」なんていないんじゃないか【後日談あり】

直也です。

最近よく考えるのだが、本当は「主」なんていないんじゃないだろうか。

僕たちは僕たちの主人格(戸籍上の名前を持つ人)のことを「主」と読んできた。主と、そこから分裂してしまった僕たちという認識を持っていた。

僕たちには僕たちの個性があり、人生があり、夢があるけれど、全体の幸福度向上のためには主のそれを最優先するのがいちばん平和的である。

僕の「心理士になりたい」という夢よりも、主の

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解離の自覚の中に埋もれたスキル

解離の自覚の中に埋もれたスキル

直也です。

僕たちは解離している。
11~13人のパーツたちで協力しながらここまで生き延びてきた。

それを自覚できたことを僕たちはポジティブに捉えている。
自分たちの行動原理に理由を見出せることは安心材料だし、「では、この先どうしていけば僕たち全員が生きやすくなるか」を考えることにも進めるから。

パーツたちの利害が知らぬ間に対立してしまい自己矛盾に苦しむことや、亜麻の持ち物を「監理者」が勝手

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