名前と自己の境界線【僕とパーツの人生紀行】

こんにちは。亜麻ああさです。

人間だれしもがそうであるように、私たちも矛盾を抱えていると思います。

私たちが抱えている矛盾は主に「名前」に関するものです。

私たちは主さん(本名)ではなく、パーツ(人格)それぞれの名前を持っています。

でも滅多にその名前を声に出すことはありません。

思ったり、書いたりするだけ。

「ああ、今直也が昼寝しに行こうとしてるな」とか、「賢也(監理者くん)があれこれ計画してるところで……」とか。

誰が何をしているか、思っているかは分かるし、固有の感覚もあるけれど、信頼している人の前ですら、自分たちの名前を声に出して話すことに心理的抵抗があり続けているのです。

それはもしかしたら「特定の誰かひとりになること」への恐怖感かもしれません。

私たちはみんなで得意と苦手を補いながら集団生活しているようなもので、主さん含め、特定の誰かひとりだけが突然現実世界に取り残されたら、きっとうまく生きていけません。
今はみんなで協力し合うことで、なんとかサバイブしている状況なのです。

パーツの誰かの名前を口に出して話すことは、名前を呼ばれた特定の誰かを特に強く現実に結び付けてしまうのではないか……。
そういう潜在的な恐れがあって、私たちは自分たちのことをただ漠然と「パーツさん」と呼んで身近な人には説明しています。

だからよく解離の話をする知人にとっては、誰が誰だかよく分かっていないと思います。聞かれたら答えればいいかなって思っています。

この間の記事にも書いたけれど、解離という状態は確かに存在していながら、とても曖昧であると感じます。

「解離人格がいる」という存在認識も、人数も、個性も自己申告によるところが大きくて、自衛が必要と思ったら情報を隠匿したかったり、嘘をつきたかったりする人もいるでしょう。

創作の中で取り上げられることも多く、ちょっとズレた印象が広まっていたり、心ない人から「でも、嘘なんでしょ」と言われたり……。

傷ついてきたからこそ解離して自分たちを守っているのに、解離していることをオープンにしても傷つくリスクにさらされている。

そういういろいろを認識していまっているから、私たちは自分の名前を声に出しては名乗れないのかもしれません。

そうはいっても私たちは確かに存在しているわけで、Twitter上では気が向いた時に署名つきでツイートしたりもしています。
ツイートの末尾に「翔」とか「亜麻」とか「直也」とか。

自分のツイート一覧を見返して、時々「私たちって周りの人からどういう風に見られてるのかな」と考えたりすることがありました。

人格たちを一個人として見ているのか、それとも「ある時期から急にどうしたこいつ」と思われてるのか、どうなのか。
以前久々に会った親族には「Twitter見てるけど、全然分からない」とも言われました。いろんな見方、捉え方があるでしょうね～。

つい先日もそういうことを考えていたら、ちょうど嬉しいメッセージが。

「突然ながら、亜麻ちゃんと翔くんファンで……」

ま、まじっすか！！！

私と翔は比較的ちゃんとツイートに署名していたので、嬉しいメッセージをくれた方の印象に残りやすかったのでしょうか。

直也は長文ツイートが多い上に、字数いっぱいまで使いたくて署名を省略することが多いので。レアキャラだと思われているのかもしれませんね。
それすら直也は気にしていないのですけれど。

コメントをくれた方は私たちに親身で、私たちを「集合体としての個人」として扱ってくれている印象があります。

私たちも私たちをどう扱ってもらえば良いか考えあぐねていた時からそのようだったので、逆に私たちの方が面食らってしまったほど(笑)。
でもそうやって個人個人を尊重してくれる人と出会えたことで、「こうやって尊重してもらうこともできるんだ」と心が豊かになる体験ができました。

パーツとしても尊重してもらえ、さらには「ファンです」とも言ってもらえ。

今のちょっと曖昧なまま、ふわっとしたままでも存在を認めてくれる人はいるんだなと思えて、うれしい気持ちになりました。

同時に、私たちも私たちの存在を認めていけるように。信頼できる人の前ではパーツの名前を出して話ができるように、少しずつ練習してみようかな、とも思いはじめました。

余談：

「ファンです」と言ってくれた人は、私の「アンニュイなところ」が好きとも言ってくれました！　うれしい！
私の中では「アンニュイ」ってパリのイメージがあって、実は前々からパリジェンヌや、フランスのシャビ―・シックなインテリアに憧れがあったりします。

ちゃんとフランスっぽい雰囲気を纏えているのかしら……！　なんて有頂天になったりしていました。

他者から自分の予想もつかないうれしい言葉をもらうって、ありがたいし幸せなことですよね。
ジョハリの窓開いたな……！　なんて思ってました(*´ω｀*)

文責：亜麻ああさ

サムネイルの画像はPixabayからお借りしています。