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「フランスのパリで黒人に差別されたこと」

 少し話はそれる。
 
 本来は、フランスで重度の肝臓病になり困った話を書くつもりでいたのだが、留学中のことを思い出すと結構、興味深い余計なことが多いのだが、

 昔はこうだったんだよ、ということで書いておく。

 パリで大学の宿舎へ入るまで安宿に泊まっていた。
 
 みな、部屋は狭いので部屋へ行くときは寝るときぐらいで、一階のリビングで話をしていた。
 
 地方から来たフランスの白人が多く、一人だけアフリカのコートジボワールから来たアフリカ人がいた。差別的な意味ではなく、色は本当にコールタールの様に黒いアフリカ人であった。
 
 わたしは、非常にフランクなので、空港の免税店で購入した高級ウイスキーをもっていき、みなさんにいかがですか?と言った。
 
 ヨーロッパ人は、アメリカ人と違いオープンではない。さらに徹底した個人主義思想の国なので、猜疑心が強く、打ち解け合うのに非常に時間がかかる。

 フランス人たちは、ワインだったら頂いたが、アルコール度数が強いお酒は健康に悪いといって、笑みを浮かべながら断った。
 
 アフリカ人のエメという男性は、アルコール好きらしく、一緒に朝方の2時ごろまで、お互いの文化の違いを論じながら飲んだ。
 
 彼は、多分、酩酊していて、日頃、自分がフランス社会から受ける差別に嫌悪感を感じていたのだろう。
 その差別のうっぷんを晴らすがごとく、アジア人であるわたしを差別し始めた。差別と言ってもアジア人は、どう頑張っても独特なアジア系の目をしており白人にはなれない、白人とは違うということを強調していた。
 
 わたしは、感情的にはならず、アジア人だから当然、独特なアジア系の目をしていて当然であると穏やかに言った。
 
 さらに、わたしは、アジア系なので皮膚は白人の様に白くなく、黄色いといって腕を見せた。
 そこで、彼が切れそうになったのである。
 アフリカ人からして見れば、北東アジア系の皮膚の色は白人と同じく白いとと感じていたのだ。
 
 その瞬間、わたしは、彼が切れわたしに殴りかかってくるかもと、とっさに感じた。殺気のようなものである。
 
 そこで、わたしは、わたしはバナナだよ、と言った。日本人は西洋化されたアジア人という意味でいったのである。

 彼は、笑い出し、俺はカフェだ、といいだした。何とか無事に事件にならずに済んだのである。
 
 彼とは今も仲の良い友人であり、フランスに行くとよく飲みに行く。
 彼は、フランス国籍を取り、法律関係の仕事をしているそうだ。

セーヌ川


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