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アイドルタイムいとぶろ

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いとうくんの楽しい日々2
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#日記

犬が鳴いた

犬が鳴いた

「おい、今日もだぞ」
 ロフトの上で、パンダがいつもの如く吠えた。
 だが、珍しく今日の怒りの矛先は僕ではない。僕はそのことに少なからずホッとしている。パンダは些細なことですぐ怒る。埃が溜まっている、味噌が切れている、部屋が暑い、iPadエアーの使い方がわからない、部屋が寒い、トイレが臭い……。その度、怒りは僕にぶつけられ、僕は嫌々、床を掃除したり、味噌を買いにサミットに行ったり、冷房をつけたり、

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みなさん、いかがお過ごしでしょうか。

みなさん、いかがお過ごしでしょうか。

 すべてのことは一転してしまった。家に居ることこそ凄い尊い行いであり、外に遊びに出るなんてのは自制心がなく自分勝手な振る舞いという評価が世に蔓延してしまったせいで、僕のような人間は逆に家にいることに、妙な居心地の悪さというか、喉の奥がムカムカするような感覚を覚えるようになった。大人になりたかった、わけじゃないんだ。ずっと、外に遊びに行く人間はアホ、ライブハウスやクラブに行く人間はカス、買い物をイン

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家の中ちょー楽しい、家の中が一番好き、でもみんなで桜見たかったよ

家の中ちょー楽しい、家の中が一番好き、でもみんなで桜見たかったよ

 老人ではないんだ。ただ、24歳を少し越してしまっただけであって。けどやっぱり老人だったと思う。新型コロナウイルスが猛威をふるっているけれど、しかし、世界の終わりを夢想するほど子どもでもなく、かといって政治を語るほど大人でもない僕は、相変わらずの宙ぶらりんな感じを抱えたまま、ただぼんやりとしていた。普通の人の一日が、僕にとっての一年だった。ついに1冊も本を出すことはなかったけど、1000にとどく数

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へやキャン△がおわっちゃったよ……

へやキャン△がおわっちゃったよ……

 大学に入学して、アイコンが必要になって、とりあえず近くにあったパンダの被り物をかぶっていらい、パンダは僕のアイデンティティのいちぶになった。
 パンダ≒僕≒いとうくん。
 とおからず、しかし、近すぎない関係に僕たちはある。
 パンダはかわいいものの代表としてよく駅やショッピングモールにアイコンとして消費されているが、そのじつ、うんこのあとはケツを拭かないし、笹よりも昆虫や爬虫類を好んで食す傾向に

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俺はたまに大阪に帰りたい

俺はたまに大阪に帰りたい

 3/12(木)
 滅入る。昼ごろに着信。退社後にかけ直す。やはり家賃の件だった。家賃+更新料が払えずに滞納していたのだ。まあ、なんとかなるだろうと高を括っていたが、電話に出たのが怖いお兄さんで怖かった(怖い)。電話の結果、月曜までにお金を振り込むことになる。
 電話の後すぐに、下のようなショートメッセージが届く。
『〇〇〇〇でございます。以下の口座へお振込みください。〇〇銀行 〇〇支店 普 xx

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俺はたまにひとりになりたい

俺はたまにひとりになりたい

3/6(金)
 くたくたになって退勤。死ぬ。死んだ、と思ったらぎりぎりのところで平日が終わって、なんとか生きていた。けど、そのうち死ぬ、と思う。僕のスペック以上のことを常に求められている気がする。そのプレッシャーがじりじり僕の精神を磨耗させていくのだ。しんど。無意識化でなんとか手だけ動かしてる感じ。これで本当に仕事になっているのか、毎度不思議になる。
 家に帰ってご飯を食べるつもりが、お腹が空いて

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晴れの日の日曜日(2019/12/02)

晴れの日の日曜日(2019/12/02)

 そのパンダはあるアパートの一室の、ロフトの上で暮らしている。元々の家主は死んだ。腐敗臭が下から漂ってきて不快だ、とパンダは思う。誰か早くあれを処理してくれ。しかし、死体が処理されるとこの部屋も同時に引き払われてしまうため、パンダは複雑な心境だった。パンダには、まだ耐えられないほどではない、と自分に言い聞かせ、家主の腐敗が少しでも遅れるよう祈ることしかできない。
 ロフトの上には、漫画本や、漫画本

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未来の出来事をリリックに書いていくように

未来の出来事をリリックに書いていくように

 例えば本を読み終わって、ちょっとトイレに行って、帰ってきて、ああ、面白かったなぁ、さて、どういう内容だったっけ、と思い出そうとして、何一つ記憶に残っていないことに気づいて、愕然とした経験が、みんなには、あるかな?
 僕はある。
 というか、そういう経験しかない。ずっとそうだ。
 僕は極端に物覚えが悪い、気がする。気がする、というだけで、本当はそこまでひどいことはなくて、実はみんなそういうものなの

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「神は細部に宿る」って君は遠くにいる僕に言う 僕は泣く

「神は細部に宿る」って君は遠くにいる僕に言う 僕は泣く

 ここ数ヶ月ほど、ずっと頭にモヤがかかって何一つまともに物事を考えられないような状況が続いている。モヤモヤモヤあ、モヤモヤモヤモヤモヤそういえば、モヤモヤモヤモヤモヤモヤお腹すいたかも、モヤモヤモヤモヤ何食べよう?モヤモヤモヤモヤモヤモヤうどん!モヤモヤモヤモヤモヤモヤ。ずっとこんな感じだ。今日の夕飯を決めるのに間違いなく30分は費やしている。苦しい。モヤモヤ。本当に何もわからない。キューーッと胸

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俺は子供の頃からずっと天才でいる

俺は子供の頃からずっと天才でいる

 小学生のときはプロフィール帳を友だちと交換しあって、中学生のときはmixiで日記つけて、高校生になってからはインスタとかにおしゃれな写真あげて。雑誌とかがプリズムショーだと騒げばとりあえずライブ行くし、ヒップホップだと言うならアップルミュージックに登録してみる。
 時代とともに私を取り巻く環境は一応動きはするけど、どうも私という人間はそう大きくは変わらないらしい。
「って、あー!またタイガ、プリ

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2020/2/3(月)_雨

2020/2/3(月)_雨

1/25(土)
 父親が出張で東京へ来ているので、昼前に高円寺で集合し、カレー屋へ。混む前に店に入れた。ビールも飲む。全部奢ってもらえた。
 ユニクロに行って、明日使う運動着を選んでいたらキンプリの映画観にいけなくなる。今週のインタビューは誰だったんだろうか。再放送してくれないと困る。
 『ショパンゾンビ・コンテスタント』を読む。町屋良平さんは、僕が大学生の時に出てきた作家さんなので、なんとなく嫌

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