見出し画像

19.購入していたマンション問題

ひとめ惚れで購入した港区のマンションは東京湾沿いにありました。
2LDKの60平方メートルなので一人暮らしには十分な広さだったと思います。
変わった間取りでものすごく気に入っていたのですが、このマンションを持っていたために人生の決断を余儀なくされることもありまして……。


家具付き賃貸物件の需要

会社を辞めてイタリアへ行くことを決めたと同時に、イタリア在住コーディネーターの女性からアドバイスされたとおりマンションを賃貸に出すことにしました。
お気に入りの家具をそろえてあったのと、それらを移動させ保管しておく場所もないし捨てたくもなかったので、家具付き物件として賃貸に出せば良いのではないかと思いつきました。

イタリアではよくある家具付き物件。
むしろ家具が付いているほうがありがたいという感覚です。
きっとそれは、たとえば500年ぐらい昔の物件で家具の持ち出しが想定されていない、今のような組み立て式ではなくアンティークな作り付け家具が多い、などの理由から派生する感覚なのだと思います。

でも日本の一般的な賃貸物件としてそうしたものは皆無に等しく、家具は借りる人が自分で持ち込むもの。
よって、家具付き物件にはほとんど需要がありません。

実は借り手が付かない状態で3月末に部屋を明け渡し、4ヵ月ほど空き家のままローンを払い続けていました。
何とかしないといけないなぁと思い始めたころ、やっと借り手が見つかります。

それは今はもうない浜松町の貿易センタービルに支社を構えていたアメリカの石油会社でした。
本社から日本へ駐在員として来る社員のための社宅としての借り上げで、欧米スタイルの家具付き物件、しかも会社から徒歩圏内、というのが良かったようです。
不動産会社からのアドバイスに従い、その会社と4年の賃貸契約を結びました。

無収入なのに空き家のままローンを払い続けるという地獄のような状況から抜けられてひと安心です。

不動産会社からのメール

タオルミーナに留学していたとき、不動産会社から1本のメールを受け取ります。
それは、4年の契約満了を待たずその年の9月で入居者が出ていく、というものでした。

駐在員が本国へ帰ることになったということでしたが、それにしても急な話でショックが大きかったです。
自分の都合で需要のない家具付き物件にしたツケが回ってきたということでしょう。

不動産会社も新たな入居者を探すことについて消極的でした。
また別の不動産会社に改めて依頼しようかなとも思ったのですが、ちょうど自分の中で留学後の身の振り方を考え、いったん日本へ帰ると決めたところだったのです。

新しい入居者は探さず、帰国してまた自分が住むことにしようと思いました。

思うようには行かない

私の人生、ラッキーなこと続きですね、とよく言われますが、まったくもってそんなことはありません。
このマンションの件からしてそうです。

レインボーブリッジ、フジテレビ本社、今はもうない大観覧車の夜景がきれいでした

ただ、この時点で売却しようとは思えませんでした。
とにかく気に入っていたし、購入してからイタリアへ行くまでの3年ほどしか住んでいなかったからです。

こうして私は、無職で失業保険もすでに使い果たしてしまったのにローンを払い続けるという、人生においてとんでもない負債を抱えることになりました。

この記事が参加している募集

転職体験記

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?