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体重測定できるバスマット【スマートバスマット】ができるまで 前編/ハードウェア開発編

スマートバスマット開発者の程(テイ)です。

スマートバスマットの開発ストーリーについては以前に公開させていただきましたが、
より具体的な、開発に関する裏話を2回に分けて公開させていただきます。

今回は、ハードウェア編です。

社員と励んだダイエットに成功


2020年に、社員の中から数人のメンバーと一緒に、ダイエットに挑戦した経験があります。

一緒に何をしたかというと、ダイエットに繋がる行動をグループチャットで共有し合うことでした。
それぞれが食事に気をつけたり、自宅の最寄駅の1つ手前で降りて歩いたりと、互いに良い刺激となっていました。

仲間がいることでモチベーションを高く保つことができ、無事に7kgほどの減量に成功しました。

しかし、減量に成功した後は、すっかり体重への意識が薄れ、2021〜22年で毎年2〜3kgずつリバウンドしていました。

せっかく頑張ったダイエットの成果が元に戻ってしまい、非常にもったいない気持ちになりました。

リバウンド自体、よくある話ではありますが、その一番の理由は何なのでしょうか?

私は、「リバウンドに気づかなかったこと」だと思います。
リバウンドといっても、一気に体重が3kgも増える訳ではなく、数週間〜数ヶ月かけて、着々と増えていったはずです。

もしもダイエットの後もずっと体重を測定していれば、少し増えた時に気付き、何か対策が取れたのではないかと思います。

とは言っても、せっかくダイエットに成功したのに、その後も毎日体重を気にして生活するのは楽しくありません

ここに課題があると考えました。
ダイエットの時のようにモチベーションがなくても、体重を測り続ける仕組みが必要だと。

popIn Aladdinでの成長と、新製品の構想


1社目の起業で、ヒット商品「popIn Aladdin」が誕生し、当時の会社の事業は好調。

照明一体型3in1プロジェクター「popIn Aladdin」

仕事に没頭し、忙しい毎日を送っていました。
仕事に打ち込めば打ち込むほど、食事や運動は疎かになり、健康の成績は下がってしましました。

この状況に、違和感を感じていました。

自分と同じように、忙しい人でも健康を守れるような商品を作ってみたい。
そうした想いから、私は、健康に関するプロダクトを作りたいと思うようになったのです。

「popIn Aladdin」のコンセプトは、”家族みんなで楽しめること” でした。

新しい健康に関するプロダクトのコンセプトは、”家族みんなで健康になれること”

このことだけをまず決めて、プロダクト構想は始まりました。

健康管理の要は「体重管理」


みなさんが、自分の健康状態を可視化する指標はなんでしょうか?

「血圧」「血糖値」「コレステロール値」など、気になる数値もたくさんあると思いますが、日常生活の中で最も手軽で簡単に確認できる数値が「体重」です。

私自身、メタボ認定されていたこともあり、体重は気になっていました。
しかしメタボという結果だけを突き付けられ、何をどうしていいのかわからない自分がいました。

若いころは気にもしていなかった体重というものが、気づけばこんなに気になる存在となっている。

昔の自分が何キロだったかも覚えていない。
何kgが今の自分に妥当なのかもわからない。

知り合いの医療関係者に聞いてみたところ、体重というものは身近過ぎて軽視されがちだが、非常に重要な健康指標であることを知りました。

病気の時には体重が気づかないうちに減ったり、もちろん生活習慣が良くない場合は一気に増えたりと、わかりやすく健康状態が現れるのだと言います。

私の父への後悔、40代を迎え身体が思うようにコントロールできない自分、愛する妻と3人の子どもの将来。
さまざまなことを考え、まずは健康管理の要である「体重管理」にフォーカスしたプロダクトを開発しようと心に決めました。

体重計30台を購入して実験


プロダクト開発のアイデアには、popIn Aladdinの経験からも着想を得ました。
家の中にある1つのアイテムを置き換えることによって、付加価値を提供できるのではないかと考えたのです。

体重管理にフォーカスしたプロダクトに着手すると決めてから、私は早速家電量販店をハシゴし、ひとまず市販の体重計を片っ端から30種類ほど購入して、研究してみました。

そしてリビングや玄関、キッチン、ベッドルームなど家中に置いて、どうすれば毎日測定できるのかを実験しました。

結論、どの体重計も機能は優れているのですが、課題と感じていた、毎日体重を測るきっかけやモチベーションをコントロールできるものはありません。

どうしても、生活の中では体重測定の優先順位は高くないため、どんなに優れた体重計をどこに置いても、わざわざ体重計に乗るのを忘れてしまいます。

・・・ふと、バスマットが体重計だったら、意識しなくても、毎日同じような時間に、裸に近い状態で体重測定ができるのではないか、と気が付いたのです。

今のスマートバスマットの形になるまで

体重計としての機能

ここからは、どんどん具体的にイメージを膨らませていきます。
バスマットと体重計を、どう一体化させられるか。

現在の多くの体重計は、スマートフォンと連動する機能が主流で、この機能はマストだと考えました。

ただ、毎回電源を入れたり、スマホを取り出してBluetoothで接続するものが多いのですが、そうではなく、乗るだけでデータがクラウドに保存されて、後から自分のタイミングで見ることができる方がいい。
つまり、Wi-Fiでの接続機能が必要です。

次に、体重表示について考えてみました。

ご飯を多めに食べた時や、体重が増えた時、ショックやストレスを感じるので、体重計に乗りたくなくなります。
ならば、数字を非表示にしてストレスを与えずに、毎日自然に測定を続けられる方が課題の解決になるのではないかと考えました。

ここまでで、スマホへのWi-Fi接続・自動記録、数字の非表示というポイントは固まりました。

体重表示を無くした、斬新なデザイン

バスマットとしての性能

次に、バスマットとしての性能。
バスマットとして、一番大事なのは吸水性です。

当時自宅で使っていたのは、固い珪藻土マットでした。
現在も珪素土素材のバスマットは人気なので、そのままその素材を使おうかと考えたのですが、求める厚さには合わず、断念。

そんな中で探していたところ、新たなソフト珪藻土という素材に辿り着きました。

天然ゴムの中に珪藻土の成分が練り込まれていて、吸水性に関しては硬い珪藻土よりも少し劣りますが、タオル地等の繊維のものよりはかなり良い。
しかも、洗濯機でも洗濯可能な優れモノ

ちょうど硬い珪藻土と繊維タイプの良いところ取りのような性能です。
これがちょうど良い!と思いこの素材の採用を決めました。

ソフト珪藻土マット

他にも、お風呂上がりに乗るものなので、本体の防水性・滑りや転倒防止の対策など、考えることはたくさんありましたが、一つ一つクリアしていきます。

そうして、試作品を自分の家に置いてみたところ、無意識に毎日、体重測定することができるようになったのです。

これが、私の求めている体重計の形だ!

スマートバスマットの形(ハードウェア)の大枠が固まりました。

続けられる方法でやるのが大事

続けることが大事なのではなく「続けられる方法でやるのが大事」

これは、原口證さんという技術者の方による名言です。

残りの人生ずっと、体重管理をするためにモチベーションを保ち続けるのは難しいですよね。
仕事・子育て・趣味と、現代人は忙しいですから、1つのことをずっと意識し続けるのは、そう簡単ではないです。

ですが、体重計の置き場所と機能を変えると、体重測定が毎日継続できるようになります。

私は実際に、2022年11月の一般発売後、今現在(2023年6月)まで、約200日間も継続して測定ができています。これは人生で最長の記録です。
多くのユーザー様からも、同じような声をたくさん頂いています。

名言の通り、まさに私自身が課題に感じた、モチベーションがなくても「続けられる方法」を、スマートバスマットが体現していると考えています。


さて、まだスマートバスマットの開発は終わりません。
次に、ソフトウェア(アプリ)の開発に取り組みます。

続きは、次回のNoteで。

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