【掌編小説】空の青さを知る人は
海が青いのは空が青いから、というのを聞いたことがある。
細かい原理は忘れてしまったけど、妙に納得したのを覚えている。
「黒々とした海」と聞くと大体曇天を想像するように、僕は無意識に空の青と海の青を結び付けていたのかもしれない。
1961年にガガーリンもそのことに気付いたのだ。
「地球は青かった」
その言葉と同時に、きっと空の青さも頭の中に滲み出したことだろう。
想像の範囲を超えないが。
地上から見ても、宇宙から見ても、海は青い。
空というフィルターを通して、僕たちは海の青さを受信する。
それは海の青さだけなのだろうか。
建物、自然、モノ、人、全てが空を介して存在するものなのだとしたら、現実とはどんなに朧げなものなのか。
誰にも知る由はない。
どこにいても、空は僕たちを見ているのだから。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?