好きなものだけが神様で、唯一で、失えば死ぬだけ。

いつもそうだけど、最近は特に不安定だった。まあ、いろいろとあった。私にとって大事に思っているものを壊されたと感じたりとか、誰かに何かを言われて、それが私の柔らかい部分をもろに突き刺してしまったりだとか。

自分でも最近の不安定さはひどいと思うし、ここまで壊れてしまうとは思わなかった。

とても、苦しい。とても、怖い。

自分を安定した形に保っていられなくなって、バラバラになってしまうような、自分がここにいるって感じられないような。強い不安を感じる。

「私は今安全な場所にいる」って感覚が得られなかった。身の危険を感じるし、一歩でも動いたら落ちて死ぬ、足場の狭い崖に立っているような感じだった。とにかく味方がいなくて、たくさんの敵から攻撃されているような感覚があった。

自分の大事なものが壊されて、奪われて、私には最後の砦さえ、私を繋ぎ止めていた細い蜘蛛の糸さえなくなってしまうような気がして。

そしたら何の希望もなくなってしまった。私も壊れた。

部屋の中で何かないかと探し回り、その辺にあった服を手に取り、首に巻き付けて絞めた。別に死ぬつもりだったわけではない。こんなので死ねるとは思っていない。

ただ、感情があまりにもぐちゃぐちゃになった時に自分を攻撃する以外にどうしたらいいか分からなかった。苦しさに耐えられなくて、これならもう意識でも飛んでしまえばいいと思った。こんなことを普段からやってるわけではない。ほんとによっぽどの時だけだ。

いわゆるリスカだとかODだとか、そういう経験はないけど、これも自傷行為にあたるのだろうか。別に血の出るようなことじゃないし、痕も付かないし、大したことじゃないからノーカウントだろうとどこか言い訳している。

今は少し落ち着いてきたけど、ちょっと前まで抜け殻だったし、寝込んだし、歯磨きも着替えも何もしなくていいやと思った。希望のなくなった人間は自分を生きさせようという気力がまるでなくなる。

朝に寝て夕方近くに起きるような生活になってしまっているから、自律神経の乱れとかもあって不安定なんだろうか。でも、それだけではないとは思う。

基本的に、何かに大して強い興味を持つことはあまりできないけど、その中でも私にとって大事なことだと思ってることに関してはどうしても重たい感情を持ってしまうし、それだけが世界の全てになってしまう。依存的なんだと思う。

何かが大事になるということは、私にとってそれが唯一の命綱になってしまうということだから、それが切れそうになるってことは私には死なんだ。だから心が乱れる。極端すぎるとは思うけど……。

いくつもに分散させるなんてことができない。ひとつだけだ。心の中に、大事なものを入れておけるスロットがひとつしかない。そこそこ好きなものはいくつも持っておけても、本当に大事なものなんて、ひとつしか持っておけない。

あなたはどうやって自分の心を繋ぎ止めて生きていますか?

仕事? 友達? 恋愛? 趣味? 運動? 信仰?

私は自分にはなんにもないって思ってしまう。誰もいないってよく思ってしまう。自分が空っぽで幽霊のように感じることがある。胸の所に穴が空いている。消えてしまわないようで不安になる。

だから私を繋ぎ止めてくれるものが欲しいってすごく思うし、何かを好きになればそれに狂ってしまう。

しがみつかずにいられない気がするからなのか、人のことはかえって遠ざける癖があるし、距離を縮めることがうまくできない。普通にしてるつもりでも人との間が勝手に変な感じになる。

人当たりがいいと言われたり、きつくて冷たいと言われたり、人から得られる自己イメージには一貫性がなく、私自身にも私がどういう人間なのか分からない。

ただ人からおかしく思われないよう、怒られないよう、取り繕っていればいいんだろう。そんな考えがこびりついていて、自分が何かを言ったり、こうして書いたりしても、これが自分の心からの本心なのかどうかよく分からない。

どうして世の人は安定した関係をほどよい距離感で誰かと築けるんだろう。

べったり依存的になっても構わない、私がどんな風になっても全て受け入れてくれる聖母のような人がいてくれたらいいのにという子供じみた望みがある。

そしてそれは醜い、馬鹿げている、くだらないとも思っている。そんなことはとてもできないと思っているし、人から面倒に思われるのは何より怖い。

私は人と関わりを持とうとすると、不安だとか、恐怖だとか、疑念だとか、いろいろ余計な感情が湧き出してしまう。だからとても回避的になってしまうし、人からもこいつはダメだなと思われてしまう気がする。

でもそれでいて、離れて行かれたら悲しいし、私はこんな拒絶的なことをしていても心底あなたを嫌っているわけではないのだとテレパシーを送るなどという、無駄なことをすることもある。

こんなだけど、本当は普通に人と関われる状態というものに憧れてはいる。遠ざけすぎるでもなく、依存して自分を全て相手に預けてしまうでもなく、普通になれたらいいのに。

たまに、人の優しさの欠片を感じることもある。でもそれを拾い上げようとしても、次の瞬間には溶けてしまって、どこにあったかも分からなくなって、また暗闇に落ちて、私は誰かの気持ちを大事にすることができないし、誠実であれないと思う。

私の望みはとにかく、安心したいということだ。苦しくなければそれでいい。本当にそれだけでいいのに、それを叶えることはとても難しいと思う。

自分が何をしたいのかはよく分からない。幸せになりたいけど、何をもってそれが私の幸せということになるのか分からない。

よく、想像の中にいる人のことを思う。イマジナリーフレンドのようなものだけど、私が触れ合えるのも、心を開けるのもそういった存在だけで、そういう存在を愛するか、抱き締めるかくらいでしか救いがない。

物理的幸せって分からないかもしれない。もしも何か持っていたとしても、誰かがいたとしてもきっと私はどこか空虚だし、一人に感じるのだから。何がどうなったら幸せになれるんだろう。ねえ、君。

それは幻みたいなものかもしれないけど、私はなんだか、体温のない君だけを温かく感じていた。

でも、それでも不安だった。やっぱり自分も、自分の好きなものも、私の見ている世界全てが遠くて、儚くて消えてしまいそうだと感じた。

君のことが好きなのかどうかも分からなくなるし、そうしたら私はただ吹き飛んでしまって、何も残らないだけだった。あとは廃墟だった。

こんな文章さえ、ただ整えてるだけみたいで、ここに私の気持ちが本当に入っているのかどうか分からないよ。

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