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《最終回》渋沢栄一に浸る10日間 Vol.10📖「溌剌たれ!」

インソースではこの春から、“偉人の金言” を基にした研修 を開発しております。 その開発過程で心に残った偉人の金言を特選し、こちらのnoteで配信中です。

第1周目として取り上げている人物は「渋沢栄一」。日本古代史に詳しい弊社の “小林さん👓” が綴る本シリーズも、いよいよ今回が最終回となりました。

本日は特別に、小林さんのメッセージつきです。ぜひ最後までお楽しみください。

渋沢栄一に浸る10日間 Vol.10📖「溌剌たれ!」

「元より細心周到なる努力は必要であるが、一方大胆なる気力を発揮して、細心大胆両者相俟(ま)ち、溌剌(はつらつ)たる活動をなし、初めて大事業を完成し得るものである」(渋沢栄一『論語と算盤』角川文庫p310) 

この言葉は、「もとより細心の注意をはかり周到なる準備をするという努力は必要であるが、大胆さを発揮することも重要で、この細心でありなおかつ大胆という両者が相まって、溌剌とした活動となり、大事業を完成することができるものである」という意味です。

この言葉の前に渋沢は、

「溌剌(はつらつ)たる進取の気力を養い、且つ発揮するには、真に独立独歩の人とならねばならぬ。人に依頼するに過ぐる時は(過度に人に頼ってしまうときは)、甚だしく自分の実力を退嬰(たいえい、小さく後退)せしめ、最も大切な自信というものが容易に生ぜず、遂には因循(いんじゅん、昔のことなどのしがらみにとらわれ)卑屈の性をなしてしまうものなれば、深く自己を鞭撻(べんたつ)して、弱い気の生ずるを防がねばならぬ。また、あまりにか堅苦しく物事に拘泥(こうでい、こだわり)し、細事に没頭する時は、自然に溌剌たる気力を銷磨(しょうま、摩耗してしまい)、進取の勇気を挫(くじ)くことになるのであるから、この点も深く注意せねばならぬ」(『論語と算盤』p310)

としています。

渋沢は、自分が溌剌として物事を行うためには、人に頼り過ぎず、過去にもとらわれ過ぎず、細かいことにもこだわり過ぎず、独立独歩で新しいことを切り開いていく勇気が必要だと述べています。

幕府が倒れ維新政府に変わりましたが、民間の実業の世界ではまだまだ新旧の価値観が混乱している中で、非難されたり、「大丈夫か」「やめておいた方がよい」という忠告をされることも多かったと思います。

渋沢は当時、それらのノイズを振り切り、勇気を持って新しい決断を数多く人生の中で行ってきたのだろうと思いました。――

連載を終えてみて

10回の配信を終えてみて、渋沢は様々なことを成し遂げましたが、その形を次々に変えています。

まず最初は志士として、そして幕臣、官僚、実業家・起業家、慈善活動家と変遷しますが、そのいずれでも「国を良くしたい」「国が良くなれば、みんなが幸せになる」という思いが根底にあり、ブレずに90年余の人生を全うされました。

また、「衣食足りて礼節を知る」ではないですが、国を強くし豊かにすれば、みんなが良い志を持ち、良い行いをするようになるだろうという思いがあったように思います。

渋沢は様々な面で有能な方であったと思いますが、その中でも行動力、実践力が飛び抜けて高いと感じました。相談されると断れない、そんな義や人情を重んじる方でもあった気がします。

変革期には画期となる「役割」「機会」が方々に転がっていますが(それに気付ける、関われる人間も限られていると思いますが)、それらを余すところなく掬い上げ、偉人3人分ぐらいの行動と実践で、様々な変革や創造を成し遂げたのが渋沢栄一という方だったのではと連載を終えて感じました。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。

在宅勤務社員イシハラの感想

日本古代史の研究を14年経験され、現在はメディア事業部の責任者である小林さんが綴る「渋沢栄一に浸る10日間」 。最終回でございました。

今年はテレビなどでも取り上げられている渋沢栄一ですが、本シリーズを通して、彼の ”偉人ぶり“ を再確認できたように思えます。

偉人というと歴史上の様々な人物が思い浮かびますが、「みんなを幸せにする」というブレない軸を持ち、本当に国を豊かにした渋沢は、私にとって “温かい” 印象が強い偉人です。

私もビジネスパーソンとして、また1人の人間として、本シリーズで得た感動や発見、学びを体現していきたいものです。

以上、本日も最後までご覧いただき、誠にありがとうございました。


▼渋沢栄一の他にも「偉人に学ぶ研修シリーズ」を拡充しております。どんな研修内容なのか? ぜひお気軽に覗いてみてください📚

▼「渋沢栄一に浸る10日間」他の回はこちら

📖Vol.1 「争いを恐れるな?」

📖Vol.2 「大きな仕事は細かい仕事の積み上げ」

📖Vol.3 「目先のことばかりにこだわらないで」

📖Vol.4 「智恵・情愛・意思」

📖Vol.5 「趣味をもって仕事をする」

📖Vol.6 「完全な成功とは」

📖Vol.7 「目の前の成功や失敗に囚われるな」

📖Vol.8 「親が子に孝行をさせる」

📖Vol.9 「立志の要」