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【カミーノ番外編】熊野詣(中辺路)2日目 見えない力

👣 発心門王子 - 本宮大社

hongu-taisha 本宮大社、辿り着けてうれしい

※2022年10月にリウマチと診断され、2023年1月時点で書いたもの

熊野詣2日目は発心門王子~本宮大社まで歩く。昨日の歩きでバキバキなのと、リウマチ由来の痛みとこわばりとで、起き上がるのに時間がかかったけれど、予定より一本早いバスに乗って出発地点の発心門王子に向かった。発心門王子まで、私と外国人カップルだけ。あれ?みんなもっと早いのか?それとももっと遅いの?

発心門王子は、バスを降りてから本宮大社に向かうのとは逆走する方に200mくらい進んだところにある。地図を見ながらバックパックを背負うのとストック(片っぽ)の準備にモタモタしているうちにカップルは行ってしまった。うおー心細い!

・・・まあ早朝だし、明るいうちにたどり着けるし・・・仕切り直して出発する。

発心門王子につくと、ちょうどカップルが山道の中へ入っていくところだった。2人に挨拶してから参拝、熊野詣のスタンプを押した。そのあと目印を確認して気づいたのは、本宮大社はカップルの入っていった山のほうではないということ。あのカップルはほかに目的地があるのかな、それとも間違ってしまったのだろうか?気になったけど、どうにもしようがないので、本宮大社のほうへ歩き始めた。

途中、本当に誰にも遭わず(農作業している人など遠巻きに2、3人見かけたくらい)、オフシーズンなんだなあと思いながら歩いていたら、伏拝王子の先で獣のうなり声を聴いて縮み上がる。かなり近く、3mくらい先の草むらから聴こえたように思う。

「熊っているのかな?」ぼんやり疑問に感じていたものの、人が行き来する参道でそれはないか〜と思って勝手に安心していたので、突然の声に不意を突かれて恐怖全開。熊?猪?ウー(グルル?)って言ってるけど、野犬とかいるのか?

どうしていいかわからず、ストックを打ち鳴らして脇に避けながらジリジリ2、3歩進んだ後、超猛ダッシュ。あんなに痛くてぎこちなくカクカクいっていたのに、謎の身体の軽さ。飛んでるみたいな感覚で、たぶん200mくらい(次の三軒茶屋跡まで)全力疾走した。リウマチとか関係なく、もともとこんなに早くないよというスピードに、火事場の馬鹿力を体感した感じ。神様につままれて運ばれた、みたいな。

直前の伏拝王子で休憩したときに、なんとなく「この先下りだし、なおらないかな?」ってストックをぐりぐりやっていたら、なおったのも効いてたな。下りの段差(幅広で低かったのが救い)を猛ダッシュしながら、両手のストックさばきに我ながらクロスカントリーの選手みたいだな、と思ったりした。その余裕はどこから?

ちなみに。後で調べたら、熊や猪に遭遇したときに背中を向けたり急に走ってはいけないらしい。NG行動だらけだったと知って、無事切り抜けたことにホッ・・・神様に感謝した。

緊張状態のまま、残り、三軒茶屋跡~祓戸王子~本宮大社をできるだけ急ぎ足で歩く。だけど緊急事態を乗り切ったいま、猛ダッシュの再現は難しくて、「まあそれなりに」というペースで。できる限りスピードをあげたつもりだけど、それでも最後の最後、「帰りのバスにまにあうのか?」という時間ギリギリの状況に焦る。

「・・・!!!・・・あぎゃー!」

疲れMAXで、急ぎ砂利道?の階段を下りていたら、勢いよく転倒した。地面に右手をついて手首の激痛に身悶え・・・立ち上がろうとしても(リウマチ由来)膝と腿が痛くて立ち上がれないし、手が痛い(これもリウマチ由来)ので支えにすることもできず、途方に暮れる。

情けないような、悲しいような、怒りのような、叫びだしたい、なんだかもういろんな気持ちで空泣きした。うう~と思っても涙は出なかったし、誰もいないしで、「何やってんだ私?」妙にハッとして、お尻でズリズリ横に移動して柵につかまり(身体を押し付けて)立ち上がった。

その後無事本宮大社にたどり着いて参拝できたけれど、バスの時間ギリギリで、最後の1地点「大斎原」へ行けなかった。「とにかく何事もなく歩けてよかった・・・。」ホッとしつつも、バス乗り場手前にカミーノのサインを見つけたときは、今回最後の一つだけ残したその意味を考えた。

それにしてもこの7km、伏拝王子で10分くらい休憩をとっただけで、あとはひたすら黙々と歩いたのに、とにかく時間がかかったな。通常2~2時間半くらいのコースで、早い人だと1時間ちょっとということだったので、いまの私だと3時間半かな?と想定していたら、結果4時間半。

カミーノだと1km15~20分ペースで歩いていたから(山エリアではない部分だけど)、この結果にちょっとヒいた。そんなに時間がかかったにもかかわらず、下りが本当につらくて、景色を味わう余裕もなくて楽しめないし、これはいまは控えたほうがいいタイプの活動だな、と感じる。

だけどポルトガル人の道を歩きたい気持ちは変わらないし、いまの状態で海外は難しいだろうなという正直な感想とともに、必ず治るぞ!とあらためて思った。

やりたい!と思うと、スピードを出してしまいがちだから、焦らずいまできることをやることが大事って話。過去数か月やれることやってきてるし、気が滅入っちゃうと意味ないから、食事はちょっと緩めようかなあ。ここまでくると気持ちの部分が課題っぽいけど、これがなかなか・・・

hossinmon oji バスを降りて本宮方面を見た景色
hossinmon oji 進行方向に200m逆走して発心門王子へ
kumano kodo(nakahechi) 山深くなる古道感
kumano kodo(nakahechi) ほぼ無音、鳥の声もせず
kumano kodo(nakahechi) 柿?の赤がきれい
cha-ya(fushiogami oji) オフシーズンで?閉まってた
fushiogami oji ここで一息、靴を脱いで10分の休憩
i fell near the haraido oji 転んだ階段
stamps like a credencial 今回はここまで!
oyunohara 遠くに見える黒い鳥居、また次回!

※ 仕事をすべてやめ、カミーノ(スペイン・サンチャゴ巡礼)を歩いて心機一転したと思ったら間もなく、リウマチになりました。混乱極まって、自分の気持ちなど整理したくて、2023年2月からnoteを始めました。


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