見出し画像

rakugaki_34「美術館へ行こう!【東京編】国立新美術館(後編)」

国立新美術館

私の現存する記録の中で、現在まで「国立新美術館」の企画展に出かけたのは14回です。
これは今まで鑑賞してきた「国立新美術館」の感想ブログ(後編)となります。

8)2013年8/7-10/21「アメリカン・ポップ・アート展」

アメリカン・ポップ・アート展

1960年代におけるアメリカン・ポップ・アートの最盛期の名作をまとまった形で紹介する展覧会は、今までほとんど開催されたことがないそうです。
私は随分頭が固く、アートとはこうあるべきだ!みたいな偏見がずっと頭の片隅にはびこっていました。
アートと、漫画やイラストの境目。
村上隆さんのオタクフィギュア・アートみたいな、アートと漫画やアニメの境目がよく分からない現代美術。
理解出来ないというか、自分の中で理解しようという前に、線引きしてしまっている。
でも、そうじゃないよって意識が最近ようやく芽生えてきました。
そういう意味では今回、現代アートの先駆け、アンディ・ウォーホルのポップ・アートの「モナ・リザ」とも言われる作品に触れるのは良かったのかも。
誰かがアートとはここからここまでというものではなく、人がいいと思うもの全てなのだなと。
心のヒダに届けば、それがアートなのだなと。
万人に通じなくても、誰かに通じる芸術があっていいのかも知れませんよね。
と言うか、その想いの強さが現代アートなんでしょうか?
アンディ・ウォーホルの「200個のキャンベル・スープ缶」をはじめ、「マリリン」やロイ・リキテンスタインの「鏡の中の少女」など、有名なアメリカン・ポップ・アートが勢揃い。
1960年代の約200点によるアメリカン・ポップ・アートのコレクションの紹介は、本国アメリカでも実現していないらしいです。
結構貴重な現代美術を体感させて頂きました。


9)2013年10/4-12/23「クレラー=ミュラー美術館所蔵作品を中心に 印象派を超えて点描の画家たち」

クレラー=ミュラー美術館所蔵作品を中心に 印象派を超えて点描の画家たち

こちら、土曜日に観に行きました。
19世紀末から20世紀前半のヨーロッパ絵画に、新しい色彩の表現が誕生しました。
色彩を純色の小さな点に分解して描く分割主義は、フランスを超えてヨーロッパ各地に瞬く間に広がりました。
本展はオランダのクレラー=ミュラー美術館の特別協力のもと、スーラ、ゴッホ、モンドリアンを中心にした、フランス、オランダ、ベルギーの画家たちによる、色彩を探求したアートの足跡を追うものです。
国内の所蔵機関の協力も得て一堂に展示される、油彩画、水彩画、素描、約90点にも及ぶ珠玉の作品を通じ、絵画の真髄ともいえる色彩の輝きが観られるとのこと。
これは期待大ですね!国立新美術館って先月末にも「アメリカン・ポップ・アート展」を観に行ってきましたが、それが終わっての本展です。
私は、点描画はあまり好きではありませんでした。

光りを科学的に分析した結果、あの技法が生まれたんですよね。油絵の具を混ぜ合わせないから、濁らないという効果もありますし。

でも、私にはどうしても、粒子の荒いテレビ画面を見ているかのような気がしてしまうんですよね。
しかしスーラやシニャックの作品は、そういう科学的な光りを追い求めた作品を超えて、それはそれで素晴らしい作品であることに間違いはありません。
フィンセント・ファン・ゴッホの「種まく人」が一番の目玉作品だと思いますが、スーラやシニャックのこだわった点描画というのも見応えがありました。


10)2016年1/20-4/4「はじまり、美の饗宴展 すばらしき大原美術館コレクション」

はじまり、美の饗宴展 すばらしき大原美術館コレクション

岡山の倉敷にある大原美術館は、美観地区の倉敷の土地と相まって、日本の美術館の中でもとても素敵な美術館だと伝え聞いていながら、未だ未訪問の美術館です。
国立新美術館は2013年10月に観に行った「クレラー=ミュラー美術館所蔵作品を中心に 印象派を超えて点描の画家たち」以来で2年半振り!
この美術展が来月の頭には終了するということで、何とか今月中に観に行くことが叶いました。
大原美術館は、岡山県倉敷市の大実業家であり社会貢献や福祉の分野にも多大な足跡を残した大原孫三郎が、西洋美術を紹介する日本初の本格的な美術館を1930年に倉敷に創設したそうです。
その後も大原美術館は、孫三郎の思想を引き継いでコレクションを拡充し、日本を代表する美術館として多くの美術愛好家の心を捉え続けてきたそうです。
大原美術館のコレクションは西洋近代美術のほかにも、日本近代洋画、民芸運動ゆかりの作家たちの作品、エジプトやオリエント、東洋の古代美術、そして戦後美術から、いま第一線で活躍している現代美術家の作品まで、多岐にわたる作品を所蔵しているそうです。
本展は、そのすべての部門から選ばれた数々の逸品が一堂に会するものということで、一度も大原美術館に訪れたことがない私にとっては、とっても有難い美術展かも!
乃木坂駅を降りて、臨時チケット売場が設けられているのに一抹の不安を覚えながらここで当日券を購入。
国内の美術館のコレクションですからそんなに混まないだろうとの予想通り、やはり混雑していないことにちょっと安堵します。
観回った感じ、西洋絵画より日本人画家による西洋絵画の方に力を入れている感じですね。
2014年10月に国立国際美術館で鑑賞したジャン・フォートリエの「人質」や、2015年の1月に兵庫県立美術館で鑑賞したフェルディナント・ホドラーの「木を伐る人」は、また鑑賞させて頂きました~って感じで、大原美術館から来たんだなぁと今更ながらへぇーって思いました。
で、勝手に私がイメージしていた大原美術館の古風なイメージより、ずっと近代美術、それも21世紀に入ってからのアートにも力を入れていることが分かりました。
今回、いいなと思った絵画は手堅いところで、ジョヴァンニ・セガンティーニの「アルプスの真昼」と小出楢重の「Nの家族」でしょうか。
今回の美術展で、大原美術館の一端を垣間観ることが出来て良かったです。


11)2016年4/27-8/22「オルセー美術館・オランジュリー美術館所蔵 ルノワール展」

オルセー美術館・オランジュリー美術館所蔵 ルノワール展

最近はまた忙しさに追われていて、休日はくた~~~としていました。
これじゃあいかんと3週間振りに美術鑑賞に出かけました。
国立新美術館で開催している「オルセー美術館・オランジュリー美術館所蔵 ルノワール展」です。
4月に京都市美術館で観た「光紡ぐ肌のルノワール展」の日記でも書いたのですが、これまでも人気のルノワールの絵にはたくさんの美術展で出会うことができました。
その反面、同じ絵に出会うことも多くなり、少々新鮮味には欠けてきたのかも。
ただし「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」は別物です。
この大作は初来日ですので、勿論まだお会いしていません。
最低でも、この1点狙いで楽しむ心構えで国立新美術館に向かいました。
そういえば国立新美術館では2010年2月に「ルノワール 伝統と革新」を鑑賞しているので、この美術館でのルノワール展としては2度目の鑑賞となります。
世界でも有数のルノワール・コレクションを誇る、オルセー美術館とオランジュリー美術館。
本展覧会は、両美術館が所蔵する、100点を超える絵画や彫刻、デッサン、パステル、貴重な資料の数々によって画家ピエール・ オーギュスト・ ルノワールの全貌に迫るものだそうです。
写実的な初期作品から、薔薇色の裸婦を描いた晩年の大作まで、多様な展開を見せたその画業。
全10章を通して、肖像や風景、風俗、花、子ども、裸婦といった画家が愛した主題を紹介するものです。
そして冒頭でもあげた、ルノワールの最高傑作「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」が初来日です。
さて、本展は4月27日~8月22日まで開催しているので今はちょうど中日あたり。
そんなに混んでいないだろうと高を括っていたら意外や意外!
結構な混み具合です。
国立新美術館がこんなに混んでいるイメージはなかったので、おいおい東京都美術館じゃないんだからってつい愚痴っちゃいました。
まあ、本気の東京都美術館の混み具合では全然ないんですが。
そんな意外な混み混み美術展で、これは「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」の1点狙いかと思っていたら、こちらも意外や意外。
かなり充実していて楽しめました。
印象派以前のルノワールの絵や、ルノワールの絵の時代に関わる他の画家の絵も含めて、作品数のボリュームもかなりありました。
流石に一番混み合っていたのは「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」。
想像していたより小さくて、いや、確かに大作ではあるのですが、もっと大きいと想像していたので絵の大きさはそこまで大きいものではありませんでした。
ま、大きさはともかく、やはり素敵な絵でした!
それよりも他の絵も素敵な絵が多く、中でもジブリっぽい 「草原の坂道」という絵や、これはルノワールの絵ではないのですがスタニスラス・レピーヌの「モンマルトル、サン=ヴァンサン通り」なんかも穏やかな風景の佇まいの中に、庶民の慎ましい暮らしが感じられてぐっと惹きつけられました。
また「田舎のダンス」は観たことがりますが、「都会のダンス」が揃って観られたのは45年振りらしいです。
同時に観られて幸いでした。
もうルノワール展はないかなって思っていましたが、まだまだ楽しませてくれそうですね。


12)2016年7/13-10/10「アカデミア美術館所蔵 ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち」

アカデミア美術館所蔵 ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち

関東甲信越も一昨日に梅雨明けしましたね。
また昨日から暑い日々が戻って来ました。
更に日本も世界も、今はPokemon GOでもっと暑くなっているみたいですが(笑)
外も暑いのでゆっくり家で過ごそうかとも思ったのですが、先週もダラダラとした週末を過ごしたので、ちょっと頑張って今日は国立新美術館に向かいました。
アカデミア美術館は、ヴェネツィアの美術アカデミーが管理していた諸作品を礎として、1817年に開館しました。
14世紀から18世紀にかけてのヴェネツィア絵画を中心に、約2000点を数える充実したコレクションを有しているそうです。
日本とイタリアの国交樹立150周年を契機として、アカデミア美術館の所蔵品による本邦初の展覧会が実現しました。
本展のテーマは、ルネサンス期のヴェネツィア絵画。
かなりテーマが絞り込まれていますよね。
本展では、選りすぐられた約60点の名画によって、15世紀から17世紀初頭にいたるヴェネツィア・ルネサンス絵画の展開を一望するものだそうです。
いや、テーマも絞られていますし余り期待しないで行ったのですが、まず驚いたのが何これ!?
めちゃくちゃ空いてる!(笑)
同美術館で開催している、私も6月に鑑賞済みの「ルノワール展」にみなさん集中している為でしょうか。
「ルノワール展」のタイトルに対して、ちょっと「ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち」は地味なタイトルなのかも知れません。
国立新美術館自体は盛況なので、きっとそうなんでしょう。
更に今回の美術展、想像を裏切られたのがまるで国立西洋美術館が開催しそうな大作揃いだったことです。
これは良い意味で期待を裏切られました。
ティツィアーノ・ヴェチェッリオの「受胎告知」なんて絵の高さが4m以上あります。
もう迫力満点ですね。
他に私が素晴らしいと思えたのは、パルマ・イル・ジョーヴァネの「聖母子と聖ドミニクス、聖ヒュアキントゥス、聖フランチェスコ」。
聖母子を見上げる年老いた聖人がびっくりしている様と、その構図のダイナミックさが見応えがありました。
こちらも高さが3m以上ある大作です。
流石ルネサンス期。
ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロのような誰もが知る3大巨匠でなくても、とても素晴らしい絵を残した巨匠たちがぞろぞろといたんだと、妙に感心してしまいました。
俄然、アカデミア美術館への興味が高まって、美術展内にある2カ所の紹介ムービー(別内容)を食いついて観ました。


13)2017年2/22-5/22「国立新美術館10周年 草間彌生 我が永遠の魂」

国立新美術館10周年 草間彌生 我が永遠の魂

草間彌生さんの作品は、広く現代美術展の中の一作品としては鑑賞したことはあるのですが、草間彌生さんがタイトルとなった個展に出向くのは今回が初めてです。
あの水玉アートにどう心が動くか楽しみです。
草間彌生さんは1950年代後半に単身ニューヨークに渡って以来、現代アートの第一線としてずっと活躍してきています。
最近だと、オープンしたてのギンザシックスの演出にも関われています。
誰もがご本人を見たら「ああこの人」って思うぐらいインパクトがある、有名アーティストさんですよね。
本展は、2009年から草間さんが精力的に取り組んでいる大型の絵画シリーズ「わが永遠の魂」を中心に据え、一挙約130点を日本初公開。
さらに、初期から現在に至る創作活動の全貌を総合的に紹介するものだそうです。
初期の作品にも出会えるのは、どういう変遷を経てあのようなアートになっていったのかが分かるようで楽しみですね。
国立新美術館の周りの木々は、草間彌生さんの作品の水玉イメージで彩られています。
展示会場に入ってみると盛況です!
結構な人混み。
国立新美術館って結構広々としているのに展示会場全体が人・人・人で埋まっている感じ。
草間さんって人気ありますね~。
特に目立つのは、白人系の海外の方々が多いこと。
海外人気が高いということでしょうか?
入って直ぐの部屋は、オブジェや壁一面に配置されている作品などが撮影可ということもあって、多くの方々がスマホで撮影をされていました。

巨大オブジェ

次に進むと初期の頃の作品で、今のビビットな色とは違い、暗く重い色彩なんですね。
でもやっぱり抽象画で、今に至る作品の痕跡がしっかりと残っています。
初めから目指す表現の方向性が、ある程度定まっていたのかも知れませんね。
またインスタレーション的な空間が用意されていたり、平面、立体、光などで飽きさせない展示をしていました。
映像で見たのですが、若い頃から自身が奇抜な格好や演出をされていて、そういう部分はちょっとダリみたいだなぁと思ったりしました。
鑑賞を終えて、深い感動を受けたというより、あれいい感じだなとかこれ好きな感じだなとか、ちょっとカジュアルな美術鑑賞だったなという感じです。
グッズコーナーは更に人混みで、ちょっと記念に何か買おうかなって思ったのですが、この人混みで断念いたしました。
ま、何が何でもこれが欲しいというのもなかったのと、草間彌生さんのキャラクターグッズとかでもちょっと高過ぎな気がしました。


14)2017年3/8-6/5「ミュシャ展」

ミュシャ展

さあ、いよいよ今年大本命のミュシャ展です。
今までのミュシャとは一味や二味も、いや、百味ぐらい違う。
ミュシャというと今までの美術展では商業用のポスタービジュアルが多かったと思いますが、今回は全く違います。
アール・ヌーヴォーを代表する芸術家の一人、アルフォンス・ミュシャは華やかで洗練されたポスターや装飾パネルを手がける一方で、故郷チェコや自身のルーツであるスラヴ民族のアイデンティティをテーマにした作品を数多く描いてきたそうです。
その集大成が、50歳で故郷に戻り、晩年の約16年間を捧げた画家渾身の作品《スラヴ叙事詩》です。
およそ縦6メートル、横8メートルに及ぶ巨大なカンヴァスに描かれた20点の油彩画は、古代から近代に至るスラヴ民族の苦難と栄光の歴史を映し出す壮大なスペクタクルです。
縦6メートルに横8メートルですよ!?
もうそれだけで圧倒されるのに、それが20点も!!
本展はこの《スラヴ叙事詩》をチェコ国外では世界で初めて、全20点まとめて公開するものです。
そしてパリで活躍したミュシャが《スラヴ叙事詩》を描くに至るまでの足跡を約100点の作品を通じて辿りつつ、これら幻の最高傑作の全貌を一挙、紹介されることになりました。
国立新美術館です。
もう概要を読んでいるだけで凄いことが分かります。
問題は混み具合が気になるところですが、ここまで大きな作品だと、人混みで隠したくても隠しようがないのではと、ちょっと楽観的にもなったりして。
同じ国立新美術館で2013年6月に観た、「フランス国立クリュニー中世美術館所蔵 貴婦人と一角獣」も巨大な6点のタピスリーをゆったり鑑賞することができました。
願わくば、あの時のようなゆったりした鑑賞をしたいものです。
・・・と、思っていたら、やっぱり甘かったです。
しかし、これは初めて!
国立新美術館で並ぶことになるなんて!
40分待ちのプラカードと凄い行列が待ち構えていました。
来月の5日には終わってしまう終了間際の休日というのと、天気が快晴というのも相俟ってか凄い人混みです。
さらに凄いのが、こんな人混みが気にならない(こともない(笑))ぐらい巨大な絵画!
しかし、やっぱりこの人上手いですよねー。
何だか、現代のアニメに通じるものがありますよね。
ポスター画家として名声を得ただけあって、劇的で魅せ方が上手い!
一流の巨匠を上手いって褒めるのって、バッカじゃないのって感じですが、それほど考えつくされた構図、洗練された描写に思えます。
巨大絵画のコーナーを観終わったところで、巨大絵画以外はこの人混みでは絵を観る環境じゃないなぁと、図録でも買って家でゆっくり見ようと思ってグッズ売場に出たら、それこそテーマパークのようなレジ待ち行列と混み具合!
図録を買うのに2時間近くは並んだと思います。
もう行列が長すぎて、展示会場の外にまで出て折り返しているぐらいですから。
レジが見えたときは、もう嬉しくて嬉しくて(笑)
しかし、まさかミュシャを観るより図録を買う方が並ぶとは思いませんでした。


以上、今まで観てきた国立新美術館の14回の企画展でした。
国立新美術館は大規模な企画力が高い美術展を開催することで、何度も足を運びたくなる美術館でした。
東京メトロ乃木坂駅直結ですのでアクセスも抜群。
是非、足を運んでみてください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?