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グローブ・トロッター:格好よく汚れ、傷ついていく。そんなエイジングを楽しめる高級人工物。 (CASE: 65/100)

▲「グローブ・トロッター」とサステナビリティ

私が勝手に考える「かっこいい大人」が持っているマストアイテム、それが今回ご紹介したい「グローブ・トロッター」のスーツケースです。
皆さんも、写真を見ると、「あぁ、この製品か」と既視感を持っていただけるくらいのスーツケースの定番品かと思います。

グローブ・トロッター(GLOBE-TROTTER)は1897年、イギリスでデイビット・ネルケン(David Nelkin)により創業されました。
グローブ・トロッターのスーツケースの素材は、「ヴァルカン・ファイバー」と呼ばれる特殊な紙を何層にも重ねた上、樹脂をコーティングしたもので、この素材はアルミのような軽さで皮のように頑丈です。ヴァルカン・ファイバーは、見た目や触った時の質感としては、自然のものというよりは、人工的な印象を与える素材感です。さらには、なかなかいいお値段がするので、あまり傷ついたり、汚れたりして欲しくない気もします…。

しかしながら、私がファッション雑誌や空港で目を引かれる「かっこいい大人」のグローブ・トロッターは、歴戦の記録として(?)、たくさんのシールや汚れ、傷がついています。いわゆるエイジングのような効果として、かっこよさや愛着をも感じさせられます。

一方で、私の持ち物で他にエイジングを感じさせるものとしては、インディゴの色落ちを楽しめるジーンズやコードバン素材の革靴、ウォールナットの無垢材で出来たダイニングテーブルなど、どちらかというと自然素材としての印象が強いものです。

ところがグローブ・トロッターの素材は、ヴァルカン・ファイバーで、どちらかというと人工物的な質感と印象が強いにもかかわらず、なぜかエイジングの魅力を感じてしまいます。人が感じるエイジング効果を人工物にも発現させることが出来ている稀有な事例ではないでしょうか。

「旅」は多くの人が憧れ、休暇の時には是非やりたいこと、人生でたくさん体験したいこと、そんな存在です。グローブ・トロッターのシールや汚れ、傷が、「これまでの旅の痕跡」を感じさせているところが要点なのではと思います。その旅の痕跡が、他のエイジング製品と同じように、持ち主の玄人感を高めてくれ、成熟したイメージ像を自分自身にもてたり、はたまた周囲にもそうした印象を感じさせたりするのかもしれません。

アパレル分野に限定されず、古くなっても肯定的な意味合いとしての「エイジング」を自他共に楽しみ尊ぶ社会は、私にとっては持続可能な未来像のように思います。人工的な素材や構造、印象を持つ製品にも、グローブ・トロッターからの学びを適用することで、エイジングの価値を付加することが可能かもしれません。

▲参照資料

▲キュレーション企画について

イノベーション事例についてi.labがテーマにそって優れた事例のキュレーションを行い、紹介と解説を行います。

2022年のテーマは「サステナビリティ」です。

▲今回のキュレーション担当者

i.lab マネージング・ディレクター 横田幸信

▲i.labについて

i.labは、東京大学i.school ディレクター陣によって2011年に創業されたイノベーショ ン創出・実現のためのイノベーション ・デザインファームです。東京大学i.school(2017年4 月 より一般社団法人i.school)が世界中のイノベーション教育機関や専門機関の知見を研究しながら独自進化させてきた理論知と、i.labが産業界で磨いてきた実践知の両輪で、企業向けにイノベーションのためのプロジェクトを企画·運営しています。

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