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『帝国主義論』レーニン

はじめに:資本主義の発展段階としての帝国主義

本日は、レーニンの著書、帝国主義論についての記事を書く。本書は、レーニンが、資本主義の発展段階について述べ、いかに帝国主義の誕生に寄与したかを論じている。

結論、レーニンは、資本主義の発達で生じた国際的独占状態により、帝国主義が誕生したと主張している。

本書は、当時の検閲を掻い潜った上で出版された本であるため、基本的にはデータに基づいた科学論文的な要素が強い。故に、学術論文として、気軽(?)に読むことができる点が特徴である。

もちろん、現在の経済学理論や経済規制を考えると、時代にそぐわない記載も出てくる。しかし、本質的には現代にも通用する内容であると女史は考える。

異郷から来た女史が何者か知りたい人はこれを読んでくれ。

そして、女史のnoteをどう読むか、こちらを参考にしてくれ。

帝国主義:資本主義の独占段階

レーニンは、帝国主義とは資本主義の独占段階であると定義した。資本主義が発達する過程の中で、自由競争が独占へとうって変わる段階が来る。その段階こそが、帝国主義であるという。

資本主義が、帝国主義を引き起こすまでの段階は、5つに分けられる。この5つが達成されてしまった時、帝国主義による世界支配が行われるとレーニンは主張する。

下記章で、それぞれのプロセスを説明していく。

プロセス1:国内市場独占

資本主義とは、自由競争のできるよう、あらゆる市場を開放する。自由競争市場で成功した企業は、どんどん力をつけて、大企業となっていく。そうなったとき、市場での生産、資本(労働者も含む)は大企業に集中していく。国内市場独占の始まりである。

大企業たちは、互いにカルテルやトラストで相互協定を結び、より独占を加速させる。

さらに、大企業はコングロマリット化し、一つの大企業が複数産業にまたがって独占している状態などが出来上がる。GEやAEGがそのよい例である。これにより、大企業は、より広範囲に市場を独占する力を増幅させていく。

プロセス2:金融寡占制

前章のように大企業による独占を陰で進めているのは、銀行の力である。銀行は、資本主義の発達に伴い、独占企業化していく。

大銀行は、資本家と小規模事業家から成る集団全体の貨幣資本を掌握し、貨幣の集中化を強める。金融市場における寡占状態が起こるのである。

大銀行は、株の買い占めは保有により、小規模の企業や銀行を吸収し、支配してく。市場への資本参加である。

機械が重要な生産資本として幅を利かせていた時代は終わり、金融資本が市場を支配する時代がやってきたのである。

プロセス3:資本輸出

独占状態を達成した資本主義の特徴として、国外への資本輸出が挙げられる。資本には、製品のみならず、労働者の輸出も含まれる。独占企業は、国内において独占的立場を確保したことにより、過剰資本を抱えることになったためである。

結果t系に、資本主義の独占状態を達成した富める国つまり先進国が、発展途上国に対する輸出によって利益を拡大するようになる。

輸出先となったのは大抵植民地であった。市場内でのやり取りにおいても、搾取と抑圧が浮き彫りとなった。

プロセス4:国際的独占体

独占企業が国外輸出を始めたことで起きたことは、国際的カルテルの結成である。国内のみならず、国外の企業ともカルテルを結成することで、自分たちの利益を最大限にしようという自然の原理がここでも働く。

結果的に登場したのが、GEのような国際的巨大コングロマリット企業である。

これらの企業は、国内のみならず、国外の市場においてもその支配力を強めていった。

プロセス5:列強による領土分割

こうした結果、何が起こるかというと、資本主義列強による植民地領土分割の試みである。

列強諸国は、自国の資本を植民地に輸出し、国際カルテルも結成した。次に考えることは、列挙諸国間での自国利益の比率をどれだけ増加させるか、である。

自国利益をさらに増加させるためには、他国の支配地にも資本を輸出し、利権を拡大させる必要がある。故に、植民地の分割を見直し、奪い合うという現象が起きるのである。

帝国主義とは、列強諸国によって、世界の全ての領土の分割が完了した段階の資本主義の状態を指す。

おわりに:資本主義による支配

帝国主義発展の歴史は、読者の皆様も中学・高校の歴史の授業でいやというほど学んできたであろう。いざ、レーニンの本を読んで回顧してみると、やはり資本主義がそれに寄与したと言えるであろう。

列強諸国の利権拡大によって分割支配される植民地。そして、資本主義の暴走により、列強諸国による領土支配の主権は戦争によって解決されることとなる。第一次世界大戦や第二次世界大戦の勃発要因を考えると、やはり資本主義の発達による弊害が要因の一つであると言える。

もちろん、資本主義の発展だけでなく、それと同時に学問世界でも帝国主義を助長する動きもあった。骨相学をはじめとする、社会学者による人種差別的科学理論の主張。キリスト教を中心とする宗教内の覇権の争い。

これらの要因が帝国主義発達の歯車となったことは間違いない。

我々は、レーニンの考える帝国主義が終わった時代にいると考えられている。果たしてそうだろうか。女史は、帝国主義という言葉こそ使われなくなったものの、結局我々はあの時から何も変わっていないと思う。

国際的大企業による、発展途上国の労働者からの搾取。対外投資による発展途上国の政府の掌握。国名を挙げるときりがないが、先進国企業による被害は留まることを知らない。

一方で、CSV、BOP等の、脱資本主義的理念に基づいたビジネスを行う企業も存在する。

資本主義は、放っておけば暴走をし続け、事態を悪化させる。いきなり斬って捨てることもできないので厄介である。そうして出てきた脱資本主義的理念や試みを、支援していく必要がある。

女史たちの多くは、消費者としての側面、供給者(供給企業に属している)としての側面を市場で持っている。資本主義市場において、我々が日々他国市民や自国市民に及ぼす弊害を考えながら、常に責任を持った行動を行わねばならない。


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