地顔
いまここに刻むのは小説などのためではない。詩や論説などのためでもない。刻む言葉が液晶にしたたり滲んでいくのを地顔で見つめるのだ。
おれは去年の初夏から深く切り裂かれ血まみれだ。傲慢なほど血にまみれている。おれは、けれども一切の憐れみを拒絶する。
汝らが憐れむそぶりでもみせたなら、おれは用意済みの微笑みを地顔にたたえこの血まみれの両手でもってその眼を真っ赤に穢す。
そして汝らを徹底的に軽蔑し扉を後ろ手に閉め傲然と去る。
憐れみによる陶酔の一切を容赦なく拒絶する。まだ眠るわけにはいかない。
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