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Cultural Adjustment(環境適合)という考え方

誰でも、新しい環境に飛び込むことには勇気が必要だったり、不安があったりする。初めて小学校の門をくぐったあの日、中学・高校・大学の入学式、なんとなくのワクワク感とドキドキ感があったことを今でも思い出す。社会人になっても、新しい環境に飛び込むと言う点においては一緒だ。初めての場所、初めての人、初めて吸う空気、場に流れる雰囲気、全てが初めての体験となる。

自分がアメリカに来て、およそ10ヶ月が過ぎようとしている。空港のゲートをくぐったあの瞬間は、写真をとり、この瞬間を忘れまいと考えていた頃を思い出す。「ああ、やっとこれたんだ」と思う気持ちと「やっていけるだろうか」という不安が共存する不思議な気持ちがあり、「楽しんでやろう!」という暗示が頭の中に到来する。

今回は、そんな「Culture Adjustment」について、少しばかり勉強した内容について書いていきたい。新しい環境や文化に飛び込んだ時に、人はどんな状態に陥るのか、ということだ。

1. "Cultural Adjustment Curve"という考え方

こちらで学んだ一つのセオリーがある。"Cultural Adjustment Curve"と言われるものだ。人が「心地よい」と感じることや「来て良かった」と感じることには、時系列とともに段階があるという理論だ。

出所元:The U-curve of cross-cultural adjustment Black & Mendenhall, 1991

Step1: Honeymoon(何もかもが新鮮でポジティブ)
Step2: Culture Shock(”違い”に気づき、価値観が崩される)
Step3: Surface Adjustment(”表面的”に環境に馴染もうとする)
Step4: Confronting Deeper Cultural/Personal Issues(”深いレベル”での価値観や文化的な違いに直面する)
Step5: Adaptation or Mastery(その違いに対して適応する)

従って、この理論に基づけば、人が新しい環境に馴染むために、少なくとも10ヶ月以上を要するということになる。状況を変えて、会社人生を考えれば入社1年以内は、何かしらと衝突しながら新しい環境で活躍しようとしているということが考えられる。

2. 新しい会社に飛び込む私たちは?

個人的に、友人知人を介して収集したアンケートでは以下のような結果となった。

このアンケートでは、それぞれの時期別に「どの程度不安や心地よさを感じながら仕事をしていたか」というアンケートだ。ご覧の通り、同じような傾向が見える。Meanは平均値、Medianは中央値、Modeは最頻値だ。特に、平均値と中央値においては圧倒的に同じような傾向が見える。最頻値は、もっともポイントの数が多かったものを指しており、こちらにおいても時期に多少ズレがあるものの「最初は高くて」、「一度下がって」、「また上がる」という事が見える。

さらに、「いつ頃慣れたと感じたか?」という問いにおいては、以下のような傾向が見られた。

平均すると、16.2ヶ月経った頃に「慣れた」と感じているのだ。個人差はあろうが、6ヶ月未満で慣れたと感じる人は、全体の30%に満たない。

では、どんな取り組みが、その高低を左右するのか探してみたい。出元が不明なため、学術的に証明されたものではないかもしれないが、以下のようなグラフを発見した。おそらく留学生が良い留学生活を送るためにどのようなプログラムを組むべきかを考えたものだろうと思う。

上記のグラフによると、こんな事が一つにやり方というふうに書いてある。

Step1: Honeymoon
 ・生き残り術
 ・連絡先
 ・情報へのアクセス
 ・よく訪れられる場所
Step2: Culture Shock期
 ・歴史的背景の解釈
 ・文化
 ・伝統や価値観の仕組み
 ・原語
Step3: Surface Adjustment

Step4: Confronting Deeper Cultural/Personal Issues

Step5: Adaptation or Mastery

 ・自分をサポートしてくれるグループへの加入
 ・既存(ローカル)コミュニティとの統合融合
 ・原語の改善習得

仕事においても、誰に聞けばいいの、なぜこんなプロセスになっているの、なぜこの会社ではこれが禁止または許可されているのか、そしてそもそも何を話しているのか、という事にギャップを感じる事があるだろう。そういった意味では、この理論は必ずその人のパフォーマンスや会社に対する満足度を高めるヒントになるはずだ。

3. 何がその要因になっているのだろうか?

では、何がそのカルチャーギャップや不安を感じさせるのかについてもアンケートを取ってみた。

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