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皇室典範を読んで

現行の「皇室典範」(同朋舎編集部・編)を初めて読んだが、いくつか発見があった。

「女王」は「にょおう」とも読む。

一般の国民の成年は最近20歳から18歳に変わったが、天皇、皇太子、皇太孫は18歳で成人だと1946年に皇室典範第二十二条で決められていた。

第四条には「天皇が崩じたときは」とあり、条文の中で敬語が使われている。

旧皇室典範でも、第十条で「天皇崩スルトキハ」と書かれていて、これを継承しているようだ。


江藤淳は『閉ざされた言語空間』の第二部第十章で、皇族への敬語について扱っている。

皇族に対し戦前使われていた敬語を、今のメディアが検閲・自粛していることへの批判だ。

メディアが避けたがる敬語の例として江藤は、「崩御」を挙げていた。

そこで夏目漱石の『こゝろ』を引き、「明治天皇が崩御になりました」という表現がいかに自然なものかを説く。


『閉ざされた言語空間』の第二部の初出は昭和57年から61年の間なので、発表当時、昭和天皇はご存命だった。

その数年後、昭和天皇の最期を伝える新聞各紙は「崩御」という言葉を選択した。

これは江藤の主張の影響なのだろうか。

いや、むしろ皇室典範が「天皇が崩じたときは」と表現していることが大きかったのかもしれない。

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