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天才の陳腐さ

アメリカの連続爆弾犯「ユナボマー(Unabomber)」の半生を知ると、彼の数学の才能は誰か他の人に与えられるべきだったのではないかと思う。

1996年の逮捕直後に出版された『ユナボマー 爆弾魔の狂気』(原題は‘Mad Genius’)を読むと、事件以前の彼の「天才性」がかなり強調されている。

やはり才能が有効に使われなかったのは惜しいことだし、自らの不遇を社会への攻撃に転化するという陳腐な道へ走ったのは実に愚かしい。

しかしながら、持っている能力は活かさねばならない、という呪縛についても考えてみる必要がある。

とりわけ「天才」と呼ばれて育ってきた人は、自分の才能を活かしたいと思うだろう。

こうした呪縛は、挫折したときには焦燥感の元となる。

ならば、いっそ才能を活かすなどという陳腐な発想を捨てることだ。

他人を攻撃するくらいなら、そのほうがいい。

 

写真は、ユナボマーの母校・ハーヴァード大学

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