文乃つき

書くことをライフワークにしたいと思っています。書くことで自分の心と読む人の心に良い香り…

文乃つき

書くことをライフワークにしたいと思っています。書くことで自分の心と読む人の心に良い香りが広がるといいなと思っています。

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きっとまた、今日のこともこんな風に思い出すだろう

 28歳で地元の本屋を退職して、何度も面接に落ちたのち、私を拾ってくれた喫茶店チェーンで3年ほどアルバイトで働いた。飲食店のスタッフの仕事は初めてでなにもかもが新鮮だった。  仕事を始めてから最初は、フロアの掃除や片付けや洗い物を担当し、慣れてくるとドリンクを作ったり、サンドイッチを作れるようになったり、最後はその喫茶店でメインの売り物であるパンを焼く係になれた。  時間がある時は、店の外に出て、道の端でパンのセットを売る売り子もした。  当時は、地元から繁華街の中にあるそ

    • 相談するけど解決されたくない

      以下には占い鑑定の経験談が含まれますが、個人を特定しないためと、職務規定から、 内容は濁して書いている。 50代の経営者の男性を占いで鑑定したときのこと。 「○○の件について、どういう方向になっていきますか?」 という相談だった。 「鑑定では〜と出ておりまして、そこから考えると〜で、こういうことが起こる可能性はありえます。」 と私が回答すると、 「いや、行政ではこういうことはこういう流れになるということになっていてね?」 とそのお客さんは私に行政システムの説明を

      • お花見

        4月なのにまだ寒い日がけっこうある。 けれど無事?桜は満開になり、すでに葉桜になっているところもある。 当時、結婚をしようと約束した相手と京都の鴨川に花見に行った。 彼のお母さんと3人で、鴨川沿いでマックのてりやきマックバーガーを食べた。 私は普段エビフィレオが好きでよく食べていたけれど、彼のイチオシはてりやきマックバーガーだった。写真の日付を見てみたら、もう8年も前らしい。結局親同士の顔合わせも済んでいたのに、結婚はせずに別れてしまった。 桜の柄の便箋が店頭に並ぶと綺麗

        • 本音 リスクマネジメント 孫悟空

          不安は人間に備わったリスクマネジメントのための能力らしい。 辛辣な言葉や行動には常に意識を向けるのに、 温かい言葉や振る舞いのことは華麗にスルーしてしまうのはなぜか。 自己啓発などでは真逆のことが推奨されていると思う。私の認識が間違っていなければ。 良かったことにフォーカスすることがよいこととされているはずだ。 嫌なことは華麗にスルーして、良いことを探すことがいいことだと。 温かい言葉や振る舞いは、相手の本心から出たものではなく、 気を遣って負担をかけてしてくれていると

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        きっとまた、今日のこともこんな風に思い出すだろう

          属性と偏見にまつわる小話

          私が大卒だということをどこかで知った女性が 「学歴なんて関係ないですよね」 と、私に笑顔を向ける時、その目に宿る強いエネルギーは鋭い。 大卒への根深い敵意だと感じる。 私がFラン大卒だということを知っている友人(当時)が 自身は国公立大卒で、私と一緒に本屋で散策しているときに言った。 「あなたのレベルだとこの手は読めないと思うけど」と。 Fラン大卒への侮蔑のエネルギーはどす黒かった。 仕事中に英語話者のお客様とのやり取りで困っている同僚に 私がつたない英語で助け舟を出した

          属性と偏見にまつわる小話

          読書日記:『「私」を生きるための言葉–日本語と個人主義』泉谷閑示著

           精神科医をされている著者が、ご自身の臨床経験から得られた知見を入れて、患者たちが回復していく中で「自分の言葉」を得ていく過程で起こる煩悶について夏目漱石の思想を辿って書いておられた。  夏目漱石は苦悩した人であったようだが、彼の論じた「自己本位」「個人主義」「則天去私」のお話がふんだんに紹介されておりとてもおもしろい。  世間に流され、自分で考えるということをしない人間のことを0人称の人間と呼ぶ。  0人称の人たちは拠り所とする規範が「空気」「思想もどき」であるため、都

          読書日記:『「私」を生きるための言葉–日本語と個人主義』泉谷閑示著

          温かさ

           本屋で働いていた時に、担当する文房具の商品を運ぶ台車を、店内に出したまま帰ってしまったことがあった。  職場でそれが噂になるというか非難の声が上がっていたようで、私は「やってしまったなあ」と思っていた。噂になろうがなるまいが置きっ放しはしてはいけない。またミスが続いていたこともあり結構落ち込みもしていた。  何日か後に、職場のみんなが見る連絡ノートにこんなことが書いてあった。(記憶を頼りに書いているから正確ではないけれど。) 「台車が出しっぱなしとか色々他人事みたいに

          日記:叱らない、拗ねない

          心理系の資格講座で印象に残っているのは、特に交流分析の中の心理ゲームのタームだ。  習いたてであり、まだ深めていないので仮にはなるが記しておく。 人間には三つの自我があるとされている。 一つは 親(P)、もう一つは 大人(A)、三つ目は 子供(C) 2人の人間がいて、同じ自我状態、親同士、大人同士、子供同士のコミュニケーションはスムーズにいくとされている。一方が同じ自我同士の交流を求めているにもかかわらず相手は違う性格で交流してきた場合、交差交流となり交流が止まってしまう

          日記:叱らない、拗ねない

          日記:多様性

          心理系の民間資格が複数取れる講座を受けはじめて半年が経とうとしている。 半年間は講師に質問し放題なので思いついた疑問質問はどんどんするようにしている。 占い講座も開催しているスクールで、講師は占いの知識もある。 知識を詰め込む講座というより、いかに副業に結びつけるかに重きを置いている講座だと思うし、実際このスクールもそれを謳っている。 講師とのオンラインの面談が週に一度。 最初は知識面での質問をしていたのが、 時間が経つにつれ雑談もしつつ自分の経験を踏まえてケーススタディ

          日記:多様性

          愛するのは長所だけか

          自分の愛情のコップを満タンにして、 コップからこぼれ落ちた愛情を 相手に差し出したらいい。 シャンパンタワーは1番上のグラスにシャンパンが溢れなければ、 下のグラスにシャンパンが注がれない。 まずは自分のグラスを満たさないと相手を満たせない。 こういう例え話を何度か聞いたことがある。 私たちは小さい頃から「相手の立場に立って考えなさい」と言われてきた。 苦しんでいる人や、弱っている人の立場に立って考える。 喧嘩した時、相手の立場や気持ちを想像してみる。 それは実際大

          愛するのは長所だけか

          不良

          タバコを吸う知人がいた。 外で立ち話をしているとき、彼がふと言ったのだ。 「あ、ごめん。そっち風下だから、こっちきなよ。」 と、ジェスチャーで風上に来るように合図した。 煙が来ない場所に私を移動させようとしてくれていた。 私はタバコを吸わないので、そいういうマナーを知らなかったから、 その人の気遣いに思わずキュンとなったことがある。 祖父がタバコを吸う人だった。 亡くなる数年前には、「もう俺は禁煙する」と周りに宣言したものの こっそり自分のアトリエでタバコを吸っているのを

          晴天

           去年のクリスマスは仕事帰りにファミリーマートでファミチキと赤ワインを買った。ささやかでも、何かクリスマスらしいことをしたかったのだ。クリスマスイブに一緒に働く先輩がその日出勤のメンバーにドーナツを配ってくれたことも思い出す。  去年は、友人たちと難波から本町まで、御堂筋沿いを歩いて、クリスマスイルミネーションを眺めて歩いたりもした。  ハレの日に、何か強度のあることを、祝祭を楽しめることをしたい。  文房具担当者として仕事をしていた時期があって。普段の仕事も好きだった

           夜更けに窓を開けると、救急車の音と、サイレンの音と、暴走族のバイクの音がする。部屋が信号の近くにあるので信号が赤になっていると、音がしばらく鳴り響いて動かない。  少し前、出張マッサージの仕事をしていた。予約統括のビルで待機し、予約が入ればドライバーの車に乗り、客の部屋へ行きマッサージをする。施術が終わるタイミングを見計らいドライバーはその部屋の前で待機している。帰り時間はほとんど深夜のため、終電がないセラピストは必ずドライバーに自宅まで送迎してもらえた。  施術の終わ

          癒しを仕事にすること

           占いを受けるのも、鑑定するのも好きだ。正確には、まだ占い鑑定をする側の時は緊張しているので、手放しに好きだとは言えないかもしれない。けれど、占い師のお仕事自体は好きだ。  占いを受ける時は占い師さんに身を任せてアドバイスやタロットカードからの読み解きを聞くのを楽しむ。  鑑定する時は、相手の気持ちを想像して気配りしながらも、鑑定後に少しでも前向きな気持ちになれるような言葉選びをするようにする。  占いが好きになったのは多分大学在学中だったと思う。  当時はまだスマホはほ

          癒しを仕事にすること

          アンパンマンの気持ち

          世の中にはギバー(与える人=利他の人)と、マッチャー(与えられた分だけ与える人=ギブアンドテイクの人)、テイカー(奪う人=利己の人)がいるというのは、何度か聞いたことがある。成功者は皆、ギバーであり、また自己犠牲しすぎて最も失敗するのもギバーらしい。 いつも絶対ギバー、絶対マッチャー、絶対テイカーである、と固定されているわけでもなく、人はその時々で使い分けているようだ。 ここ二日、アンパンマンを比喩で使いツイッターを投稿した。ほとんど消したので残っていないのですが。 ア

          アンパンマンの気持ち

          「抑圧」と「投影」

          先日も、カウンセラーの方にたくさんお話を聞いてもらった。 もう会うことはほとんどありえない相手が、舐めた態度だったことが、いつまでも気になる苦しさ、怒り、その根っこにある悲しさ。 悲しいのを我慢しているのが理解されない寂しさなど。 言いたい放題、心の中身を聞いてもらった。 最近の私の中の流行りで、「私にとってどうなったら幸せな結末なんだろう?」「このモヤモヤはどうなったら解決なんだろう?」と自分に問いかけるということがある。 それをカウンセリングでも話したり、1人きりの時

          「抑圧」と「投影」