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日記:完璧な人

(今日の日記にはお客様の話が含まれますが、職務規定があるため、ぼかして書いています。)

物腰が柔らかくて、
こちらが何かミスしてもわざとらしくなく許してくれて
なんならこちらの日常のしんどさを労わってくれて
自分の辛さを話す時は少しコミカルに、
こちらの負担にならないように話してくれる。
押し付ける笑顔ではなく和ませる笑顔を向けてくれて、
こちらが緊張しすぎないよう配慮をしてくれる。

そんなお客さんがいた。
女性で少し年下の方だった。
何度かリピートしてくれた。

上半身がカチコチに固くて、
今までのどのお客さんより、カチコチだったので、
とても印象に残っている。

もっと強く、と言われて、
ものすごく強くしても「何も感じない」
とおっしゃって、
施術の終わりの方になって

「いま、ちょっとだけ感覚戻ってきたー!」

と微笑まれていた。

自分の至らなさもちゃんと認められていて、
私の至らなさも許してくれる人。

私から見たら完璧な人。

そんな人がなんで、あんなに体がカチコチなんだろう...

自分に厳しく周りに優しい人だから?

少し思った。

普段から背負うものがたくさんあるからなのかな、
とか。

きっとあんなに素敵な人だから人望があって、
いろんな人たちの心情を汲み取って、バランスを保ちながら生活しておられるのかな、とか。

天秤は、両方の秤に乗る重石が重ければ重いほど、
重心に負担がかかり、支える重心はきっと、カチコチになると思う。カチコチに固くないと、重いものを支えられないのかもしれない。


マッサージの仕事を始めて数年経ったけれど、
いま、あらためて新しい種類のマッサージの研修に通っている。

そこでの研修を含め、
マッサージの研修でよく言われるのは

「足腰に力を入れること」
「下腹に力を入れること」
「体幹を鍛えること」
「腕だけの力で押さないこと」
「全身で施術すること」

今の研修で先生がよくおっしゃるのは
「頭の中だけでこねくり回して考えないこと」

さきほどの彼女が頭でこねくり回して考えるからカチコチだった、ということを匂わせたいのではなくて。

もし、彼女がとても自分に厳しく、
だからこそ自分に思考の刃を向けていて、
自分をたくさん傷つけて、
それで、身体が「ぎゅっ」と固まっていたのだとしたら...

私たちセラピストだったら、
先生の指導を聞いて足腰を鍛えたり、
腹筋を鍛えたり、体幹を鍛えたりなどの方法がある。

彼女が少しでも楽になるには、
私は何ができたんだろうか?

お客さんにも足腰鍛えてくださいって、言えばいいのか?もし聞かれたら、そう答えてみてもいいかもしれないけれど。うーん。

以前鍼灸師の友達に

「私たちのゴールは痛みをとることなのでしょうか?」

と聞いたら、彼は深く考えるそぶりをした。

癒すってなんなんだろうとその後もよく考える。
一つ出た答えは、癒やされるとは緩むことだということ。

先日アップした「笑顔研究」にも通じるところがあるように思うけれど、
強張った笑顔は多分怖いんだと思う。
ゆるんだ笑顔は、周りもゆるませるのかもしれない。

ゆるむ/ゆるませる研究も、
引き続きコツコツやっていくつもりだ。

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