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「千房(CHIBO)は愛(I)が中心です。」後編 対談者:千房 代表取締役 中井 政嗣様

皆さまこんにちは!ヒューマングループnote編集担当 朝永です(^o^)/

今回のヒューマントークは先週お送りした千房の中井政嗣様との対談の後編です♪

前編では、中井様の波乱万丈な体験談から経営をしていく上で心がけていることなどをお話していただきました。

後編ではどんなお話が聞けるのでしょうか?ぜひご覧ください!

まだ前編を読んでいない!後編の前に読み返したい!という方は下のリンクから前編をご覧ください(^^)

※対談の本文は、2009年8月にヒューマンニュースレターに掲載したトークを当時の文章で掲載いたします。


「千房(CHIBO)は愛(I)が中心です。」

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<ヒューマンニュースレターVOL.35(2009年8月発行)より転載>

千房 代表取締役 中井 政嗣 様
ヒューマングループ 代表取締役 内海 和憲

内海:講演は何年ぐらい続けていらっしゃるんですか?

中井:講演を始めてもう30年くらいになります。去年1年間で講演したのは100回。僕の講演は、創業当時の方が、本当は面白かったんです。ところが今も不思議と大反響なんですね。講演を始めたころは毎回しゃべりながら泣いていましたね。この頃も泣きますけど。ただ、講演を始めたころの涙と、今の涙とはちょっと違います。最初話していたときの涙というのは、辛い思いを思い出したみたいなものだったんですけれども、今の涙というのは、「おまえ若いときによう頑張ったやないか、えらかったな」とそんな思いがでてきよるんですね。
今の自分じゃないんですね。そのときの自分がでてきよるんです。講演やテレビの取材では、ピンチでハラハラドキドキした事がネタになります。「これ今一番おいしいとこだからこれはちょっとドラマチックにいっとかなあかんで~」というのが計算できるようになりました(笑)。だから一層、ピンチがきたら、「よっしゃ!やった、よう来てくれた。ちょうどネタ切れやったから。次のネタにええなあ」って。そのときに周りが拍手できるような、そういう生き方をしなくてはいけないですね。

内海:そういうふうに考えられるのはすごいですね。

中井:40いくつか位の時に徳川家康の話を聞いたんですが、徳川家康が、大事に大事にツガイのうぐいすを飼っていたそうです。あるとき召使いが餌をあげようとして鳥かごをあけたら、その二羽のうぐいすが、かごから飛んでいったんです。これはえらいことになったとおそるおそる徳川家康のところにいって「申し上げます。実はこういうわけでえさをあげようと思ったらうぐいすが鳥かごからとんでいきました」と報告するんですね。そしたら徳川家康は血相を変えるんです。「どっちに飛んで行った?」「西の空に向かって飛んでいきました」と言ったときに、徳川家康が一変に穏やか顔になって「苦しゅうない、あれも俺の庭じゃ」と言ったそうです。

この徳川家康の話をきいて、物欲とか、店の数が増えるとか、そんなことはあんまり関係なくなりましたね。自分のものにするから大変なんですね。自分が管理できる範囲内でやってることでええやんかって気づいたんです。そういうふうに思えるようになってから、経営っておもしろいな、人生っておもしろいやんか。いろいろ波瀾万丈がある。だからいっそうおもしろい。メリハリがあってええやんか。そんな平坦なアスファルトの道歩いたかておもろいことはなんもない。

千房の35周年のキャッチコピーは「千房(CHIBO)は愛(I)が中心です」なのですが、愛の反対は何かわかりますか?愛の反対は憎しみですか、いやもっときついです。愛の反対は無関心です。関心をもつということは愛なのですが、もうちょっといえば、愛=関心をもつこと。興味をもつことなんです。持つだけじゃあかんのです、それに関わるんです。
詩人「塔和子」の「胸の泉に」という詩があるのですが・・・

「かかわらなければこの愛しさは知るすべはなかった。この親しさは湧かなかった。このおおらかな依存のやすらいは得られなかった。この甘い思いやさびしい思いも知らなかった。人は関わることからさまざまな思いを知る。
子は親とかかわり、親は子とかかわることによって、恋も友情もかかわることから始まって、かかわったが故に起こる幸や不幸を積み重ねて大きくなり、繰り返すことで磨かれ、そして人は人の間で思いを削り、思いをふくらませ生を綴る。ああ何億のひとがいようともかかわらなければ、路傍の人、私の胸の泉に枯れ葉一枚も落としてはくれない。」

子供たちは、今大変愛に飢えています。大人が子供に無関心。大人も愛に飢えています。子供が大人に無関心。お互いにもっと関心をもっていこうよ。関わっていこうよ。それがいわゆる愛です。心が豊かになるというのはそういうことなんです。だから「今どきの若い子は・・・!」とかいいますけど、今どきの子供もとてもいい子たちばかりなんです。ただ子供たちにとってちょっと不幸なのは、憧れる人、目指すような人、そういう人が身近にいてない。見つけようともしないし、また大人も接しようとしないし。だからもうちょっと関わっていったらもっともっとお互いに学ぶことがあるのになぁと思いますね。

内海:昨年テレビ東京で放送されたカンブリア宮殿の撮影はいかがでしたか?

中井:取材ロケが一ヶ月くらい続いていましたね。スタジオ収録、あれだけで2時間収録しています。スタジオだけでですよ。ロケの収録も長い時間かかりましたが、それを1時間にぼんと縮めているんですね。新入社員を3人追っかけていたのですが、その中の一人しか映っていなかったですね。だからそういう部分でテレビというのは怖いなって思いました。そういう方針にのっとった絵づらをもってきよりますから。決してあれは作り物ではないんですけれども、ええとこ撮りだけバーンと映していますからね。講演会のシーンでもそうでしたが、泣いている、笑っているそういう場面がババーンと映しだされてましたね。放送後、日経ビジネスで日本一笑える講演と泣かせる講演という特集記事にも出てましたね(笑)。

今度また新しい撮影が始まりまして、今度は3年間の追っかけ撮影です。これはおもろいですよ。国と一緒にやっているんです。法務省なのですが…。刑務所と提携したんですが、刑務所から採用するんです。山口県に美祢という刑務所があります。これは国と小学館、集英社、清水建設、セコムなどの民間企業と、官民一体となって作った自立支援センターです。
小学館の常務が今年、私に会いたいと言ってきまして、その刑務所を委託されて経営している関係者ですね。「刑務を終えた人たちが出ていくけどまた戻ってくる。ちゃんとした働き口がどうしてもいる。誰かうけてくれるとこないやろか」と吉野家の社長に相談しに行ったら、「そりゃ~千房の中井さんとこや!中井さんなら雇ってくれるやろ」と紹介されたそうです。それで今年2月、大阪からツアーを組んで10人ほどで視察にいったんです。手錠をはめているわけではなく、軽い方ばかりでしたので、募集を始めることにしました。うちで採用して、働いてもらって、その人が店長になり、また定期的に新しい人が入ってきて、そういう人たちが多い店ができあがっていく」そういう経過を撮影していくんですね。すでに十数人応募がありまして、今度面接に行くんですが、ここら辺から全部密着して撮影がスタートするんです。

内海:私も父が亡くなったあと保護司になりまして、職業補導協議会の事務局長をしていますので刑務所とか出入りをさせてもらってます。あの方たちの後の仕事を世話してくれとお願いしたりしますけど、なかなか難しいんですよね。

中井:それをうちで迎えようということです。今年から児童養護施設、親や家の事情で施設に入っている子供たちも迎えるようになりました。これから毎年毎年迎えていこうと思っています。児童保護施設や、刑務所から迎えるっていうことが、「社会に貢献する」というそういうことなんですね。


中井 政嗣氏 プロフィール
千房株式会社 代表取締役
株式会社ナカイコーポレーション 代表取締役
昭和20年奈良県生まれ。中学卒業と同時に乾物屋の丁稚奉公に出る。
昭和48年お好み焼き専門店「千房」開店。大阪のお好み焼きを全国展開、海外にも出店。昭和61年40歳にして高等学校卒業。自身の体験を踏まえた独特の持論で社会教育家として注目を集め、全国各地で講演を行う。平成20年6月、テレビ東京「カンブリア宮殿」にて「部下を必ずやる気にさせる人材育成術教えます」が放送され、大反響を得る。
著書:できるやんか!(潮出版)


朝永のつぶやき

最後まで読んでいただきありがとうございます!ここからは、編集担当が今回のトークを読んだ感想をまとめたプチコーナーです♪

先週に引き続き、今回はお好み焼きチェーン店「千房」の代表取締役 中井 政嗣様との対談をお送りしました。

後編では、今までの講演や千房35周年のキャッチコピーに込められた想い、社会貢献についてのお話をしていただきましたね!

私は今回のトークを読んでいて、相手に興味を持って関わっていくことが愛を持って人に接するということの第一歩なんだと中井様の言葉や詩「胸の泉に」から感じました。

道で困っている人に対して「どうしましたか?大丈夫ですか?」と声をかけるのも愛。いつも一緒にいる大切な誰かに思い切って「いつもありがとう」と伝えるのも愛ですね(*^-^*)

感想をまとめながら、これからは自分からアクションを起こしてどんどん愛の輪を広げて行きたいと思いました!

それでは今回はこの辺で!また次回お会いしましょう。


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