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新人セラピストがおさえておくべき組織ごとの病態把握と治癒過程

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医療・スポーツ現場を一年経験し各病態把握の大切さと同時に、それに反比例する知識不足に悩まされていました。そんな、悩みや不安を抱えている治療家は多いはずです。  このマガジンを読む…
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記事一覧

これだけは知っておきたい皮膚障害の病態と回復過程

これだけは知っておきたい皮膚障害の病態と回復過程

損傷メカニズム①損傷メカニズム

・病態 皮膚は、表皮、真皮、皮下組織の3層からなる。皮膚の機能としては、感覚器としての作用、体表の保護、排泄作用(汗)、体温調節、栄養分の貯蔵などがある。 皮膚・皮下組織の損傷は、創傷と言われる。「創」と「傷」は異なる損傷のタイプの総称として使用される。「創」は、皮膚の連続性が破綻した状態を指し、「傷」は、皮膚の連続性は保たれた損傷で皮膚の破綻を伴わない状態と定義

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半月板・関節唇障害を見るうえでこれだけは知っておきたい病態と回復過程

半月板・関節唇障害を見るうえでこれだけは知っておきたい病態と回復過程

損傷タイプと重症度

半月板損傷
 半月板は、大腿骨顆部と脛骨プラトーの間にあるC型をした線維軟骨である。荷重負荷に対する緩衝機能の他に、関節の安定性保持、回旋運動の許容、潤滑などの役割がある。
 半月板損傷は単独で損傷する場合もあるが、靭帯(特にACL)損傷に合併する場合もある。受傷機転は、外傷、先天的な形状に起因するもの、加齢による変性に起因するものがある。外傷性の場合、繰り返される軽微な外傷

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滑液包障害を見るうえでこれだけは知っておきたい病態と回復過程

滑液包障害を見るうえでこれだけは知っておきたい病態と回復過程

障害メカニズム障害メカニズム
・病態
 滑液包は関節周囲の組織間に存在し、滑膜細胞と類似の間葉系細胞で内面を被覆された袋様構造である。筋肉、腱、靭帯、関節包などの組織間にあって、関節運動に伴う組織間の摩擦を軽減する。滑液包炎は外傷や感染、他の炎症症状から生じる滑液包の炎症である。炎症が生じるとしばしば液が貯留し腫大する。しかし、滑液包の膨張は炎症によるものではなく、隣接する他の組織の異常により膨張

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骨障害を見る上でこれだけは知っておきたい病態と治癒過程

骨障害を見る上でこれだけは知っておきたい病態と治癒過程

損傷メカニズム①損傷メカニズム
 骨折とは、骨が持つ強度以上の外力が加わることで、ひびが入ったり、折れたり、砕けたりした状態のこと。


②病態
・種類
外傷性骨折
 一時的かつ局所的に骨に強い衝撃が加わって生じる骨折
疲労骨折
 過度の運動などにより、繰り返し同部位に圧力が加わり、小さなヒビが徐々に大きくなっていく骨折
病的骨折
 病気のために、通常では折れないような弱い外力により骨折が生じる

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靭帯・関節包障害を見る上でこれだけは知っておきたい病態と回復過程

靭帯・関節包障害を見る上でこれだけは知っておきたい病態と回復過程

捻挫を早く治すには

足の怪我の対処はこちら

損傷メカニズム

 靭帯は主として、水、I型コラーゲン、Ⅱ型コラーゲンからなり、強大な外力に抵抗できるよになっている。靭帯や関節包の損傷は、長軸方向への伸張ストレスによる組織の損傷を指す。組織によりばらつきがあるものの歪みが10〜30%を超えると完全な断裂に至る。一方、一度の伸張ストレスで断裂に至らないものの、反復して伸張ストレスが加わることで断裂に

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腱障害を見る上でこれだけは知っておきたい病態と回復過程

腱障害を見る上でこれだけは知っておきたい病態と回復過程

病態モデル

 腱損傷は、スポーツ外傷のほか筋の退行性変性、リウマチ、変形性関節症、骨折などによって生じる。腱障害の本質は炎症やコラーゲン断裂ではなく、力学ストレスに対する腱細胞の反応によるホメオスタシスの破壊にあるとされる。また、腱障害の病態には「反応性変化」「修復不全」「変性」の三つの段階が連続的に存在する。

・反応性変化
 急激な力学ストレスの付与に伴って起こる非炎症性反応のことを指す。腱

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筋・筋膜障害を見る上でこれだけは知っておきたい病態と回復過程

筋・筋膜障害を見る上でこれだけは知っておきたい病態と回復過程

筋損傷のメカニズム 筋の機能は骨格筋を動かすことのほかに、姿勢を保つ、収縮により熱を産生する、内臓の保護の役割がある。
 筋損傷は挫傷、肉離れ、裂傷によって引き起こされる。挫傷は筋が直接打撲のような急激な圧迫力を受ける時に発症する。これは、コンタクトスポーツに好発する。一方、ジャンプやスプリントでは肉離れが主である。柔軟性不足やウォーミングアップ不足、水分不足などにより、運動時に筋に過剰な張力がか

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運動負荷と体の耐用能から見る障害発生原因と軟部組織障害のリハビリテーション

運動負荷と体の耐用能から見る障害発生原因と軟部組織障害のリハビリテーション

Load&capacity modelどの組織にも、日常生活やスポーツを通じてかかる負荷に痛みや障害が耐えられる範囲がある。
→負荷耐容能
・負荷の増減
柔軟性、筋力、運動強度、動作、アライメントなど
・負荷耐容能を左右する要因
年齢、栄養、既往歴、睡眠、心理的ストレスなど
 運動器疾患の発生は、組織にかかった負荷と組織の負荷耐容能のインバランスが原因であるといえる。

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施術・リハビリ前の問診の進め方と組織の鑑別             。治療対象となる組織を見分けるには?

施術・リハビリ前の問診の進め方と組織の鑑別 。治療対象となる組織を見分けるには?

問診①性・年齢・職業
②主訴及び初発症状の内容とその時期
③発病の様式
 特発性、急性、徐々、発作性あるいは周期性、患者の気付く誘因もしくは原因、全身症状
④症状発現の順序
⑤経過
 悪化、停滞性、改善、寛解または増悪、反復
⑥家族性、遺伝性の有無
⑦既往歴
 必要があれば以下も
利き手、頭痛、嘔吐、めまい、耳鳴り、難聴、視力障害、痙攣、意識障害、言語及び嚥下障害性格変化、膀胱・直腸障害、疼痛、異

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