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腱障害を見る上でこれだけは知っておきたい病態と回復過程

病態モデル

 腱損傷は、スポーツ外傷のほか筋の退行性変性、リウマチ、変形性関節症、骨折などによって生じる。腱障害の本質は炎症やコラーゲン断裂ではなく、力学ストレスに対する腱細胞の反応によるホメオスタシスの破壊にあるとされる。また、腱障害の病態には「反応性変化」「修復不全」「変性」の三つの段階が連続的に存在する。

・反応性変化
 急激な力学ストレスの付与に伴って起こる非炎症性反応のことを指す。腱細胞は活性化されて増殖し、プロテオグリカンなどの非コラーゲン基質を産生し、圧迫ストレスに対応したり、断面積を増やすことでストレスを減じたりする。しかし、反応性変化は腱の力学的または構造特性の変化が起こるまでの一過性の適応にすぎない。従って、過度のストレスが除かれるか次の負荷が加わるまでに十分な時間が空いていれば、腱は正常な状態へと戻ることができる。

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