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エッセイ(思い出から)

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2020年5月の記事一覧

なりたいおばあちゃん、なりたくないおばあさん。

なりたいおばあちゃん、なりたくないおばあさん。

おばあさんになるまで、できれば健康で生きていたいと思う。

そして歳をとればとるほど謙虚でいたい。そう思うのは自分がまだまだ謙虚からは程遠いからだろう。

長年生きてきた経験から傲慢になってしまう事は避けたい。

そして「あの時のおばあさん」のようにはなりたくないなぁという思いがある。

小学校一年生くらいだったのだろうか。古い記憶だが、鮮明に覚えている。

近所に小さな商店があった。徒歩五分ほど

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「ばかばかしい事」にこそ輝きがある。

「ばかばかしい事」にこそ輝きがある。

ある日の夕方、夫婦で散歩に出かけた。本当は子供達と行こうと思ったが「じーじとこで待っとる!」と断られてしまった。

芝生の広場があり、小高い丘のある公園。丘に登ると街並みを見下ろせる。

気持ちの良い風が吹く。一番高い所では若い男女が楽しそうに話をしている。

「いいなぁ、私も若い頃に戻ってここでデートしたいなぁ。」

何気なくそんな事を言ってみる。

「いや、やっぱりもう若い頃に戻りたいとは思わ

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髪型の話

髪型の話

髪型にはその人がその時、一番優先させているものが表れるのではないかと思う。

美容院へ行った時の事。私のつむじに出現した1本の白髪。そこから近藤サトの話になった。

私は近藤サトのグレイヘアはとても素敵だと思う。似合っているし、なによりその姿勢が素敵だ。周りに流されない、ネガティブな反応さえ楽しんでしまう。そのヘアスタイルから「自由」と「好奇心」を感じる。

若い頃の最優先事項は私の場合「仕事」だ

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母と行ったスナックの思い出

あれは高校三年生の初夏の夜だった。

「お父さんには内緒やで。」といつもの文句で、母は私を連れ出してくれた。私はこの「お父さんに内緒」が好きだった。単純にとてもわくわくした。

内緒と言われているにも関わらず、私は大抵帰宅後の父に報告していた。「今日お母さんに内緒って言われたんやけどな…」と。母も、私がほぼ毎回父に報告する事を知っていたが、それでも毎回「内緒な。」と言ってくれた。母も私と同じように

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