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髪型の話

髪型にはその人がその時、一番優先させているものが表れるのではないかと思う。

美容院へ行った時の事。私のつむじに出現した1本の白髪。そこから近藤サトの話になった。

私は近藤サトのグレイヘアはとても素敵だと思う。似合っているし、なによりその姿勢が素敵だ。周りに流されない、ネガティブな反応さえ楽しんでしまう。そのヘアスタイルから「自由」と「好奇心」を感じる。



若い頃の最優先事項は私の場合「仕事」だった。

観光関係の接客業を6年ほどしていた。お客さんはまさに老若男女。その頃はショートの期間もあったが、髪を伸ばす事の方が圧倒的に多かった。なぜかと言うとロングヘアの方が仕事がしやすかったからだ。

髪型は第一印象を左右する。ロングの方が分かりやすく「女性」という印象を与える。特に老若男女でいう「老若男」と「若男女」はロングヘアの時の方が反応が良くなる事を実感していた。

一方で私自身はショートヘアが好きだった。私服もいわゆるコンサバなものは好きではなかったし、ギャル風でもなく、女性らしさを強調するような格好は苦手だった。

仕事中、コンサバな制服に身を包み、ストッキングにヒールを履く私と、休日のカジュアルな服を身にまとった私はまるで別物だった。

私服の仕事ならずっとショートだったと思う。あるいは接客業でなければ。でも私はお客さんの反応が怖かった。私が前に出て話し始めた時の空気。「つかみ」が良ければその後の仕事は順調に進められたが、反応が悪ければその後逆転させるのは大変だった。

つまり自信がなかったのだ。

本当に仕事のできる人ならロングだろうがショートだろうが、お客さんに満足してもらえるだろう。

あるいはお客さん全員を満足させるのは難しいから、反応が悪い日があっても仕方がないと割りきる事もできただろう。

私にはそれができなかった。

結局女である事を利用して、媚びていたという事だ。

ちなみに私の場合、髪が長いと変な男に引っ掛かりやすくなった。自信の無さからくる隙があったのだろう。

ロングヘアを悪く言っているのではない。ショートが好きなのに、他人の評価を気にしてできなかった自分に不信感があった。



最近はずっとショートだ。自分でも気に入っているし、夫も「ショートの方が良い」と言ってくれる。身近な人が肯定してくれると安心感から自由になれる。

私が今一番優先しているのは「自分の好み」であり、子供がいるので「扱いやすさ」だ。シャンプー、ドライヤーがすぐ終わる!これ大事!



近藤サトの話に戻るが、美容師さんいわく「白髪は個性的すぎる」そうだ。良くも悪くも目立ってしまう。老化の象徴でもあるので他をきちんと綺麗にしていないと本当におばあさんになってしまうと。

なるほど。

夫は40代だが、白髪染めをする気がなく真っ白になっても良いと思っているらしい。渋さが出てそれもまたいいかもしれない。

私は還暦くらいまでは無理だなと思っている。まだつむじに1本だけど。

近藤サトくらい「自由」と「好奇心」と「とらわれない気持ち」を持つ事ができたら、その時はグレイヘアもいいかもしれないなーと、遠いような近いような未来を想像してみる。うーん、あんなに美人じゃないしなー。

近藤サトレベルのメンタルには程遠い。


とりあえず美容師さんに「白髪は抜かずに切ろう」と言われたのでそれを守ろうと思った。











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