奥津勝美

こんにちは。奥津勝美と申します。 学生時代はソクラテスに没頭し、卒業後、花の仕事を志し…

奥津勝美

こんにちは。奥津勝美と申します。 学生時代はソクラテスに没頭し、卒業後、花の仕事を志して独立し、38年間花一筋に働く。専門はオランダの花です。 noteでは、エピソードを交え、花を愛する方・お花をプレゼントとして使われたい方・花の仕事を志す方・生産者に向けて書かせていただきます。

最近の記事

休筆宣言

皆様!いつも有難うございます。 今まで約50回連載させていただきました。 今日を持ちまして、しばらくの間、充電期間を設けさせていただきたく存じます。 充電した文章は、下書き保存したいと思います。 また帰ってまいりますので、しばらくの間、お別れさせていただきます 。今まで本当にありがとうございました。

    • *ネアンデルタール人の遺言 ~ホモフロリエンス的な生き方を求めて~

      この地球上で「最初に花を使ったのは誰か?」花の仕事をしている者にはどうしても気にかかる問題です。現在、歴史的(人類学的)に最も信頼できる証拠が残った話としては、ネアンデルタール人が埋葬の時に花を飾ったという発見が現在の所、最古とされています。 「シャ二ダール遺跡:花を愛した人(The first flower people)」を著したコロンビア大学のソレツキ教授のグループは、イラクの山岳地帯の西ザクロ地方にある約5万年前のネアンデルタール人の遺跡を発掘し、9体の人骨を発見

      • オランダの花とは?

        *施設園芸の起源と発展と現代の問題点 約2000年前、ローマ時代の経済成長に起源を発すると考えられます。また、中世時代の僧侶や十字軍の兵士により外国産の野菜や果樹が伝えられました。中世の生活様式は農業と酪農を組み合わせたもので、野菜のクズを餌にし、家畜の排泄物を堆肥とした自然循環型農業でした。温室栽培は約150年前に始まり、作物を旬より早く作ることを可能にし、早期出荷することで、高値で販売することにつながりました。1950年代になって木組みの本格的な大型ガラス温室が建てられま

        • *オランダの花生産の理由

          1.地理的には山がなく、広々としていて基本的に農業に向いていると言えます。北緯50~52度に位置していますが、メキシコ湾流と偏西風の影響で気候は温暖で、ハリケーン・地震などの天災も少ないのです。また、北海に面した海岸が砂地で、チューリップ栽培に適していたことも重要です。 2.社会的要因として、オランダ農業の中で花に特化していこうという国の政策が基本に有ります。エネルギー的要因としては北海から発見された廉価な天然ガスの供給や、温室や温室栽培を支える、照明などの化学(工業)技術

        休筆宣言

          *オランダ国内の花の販売と花屋さん

          *オランダ国内の花の販売と花屋さんは業態が三つに分かれ、国内卸専門と国内外両方を扱う企業、注文によりせり市場で買い付けを専門に行う業者、せり市場で買い入れた花木類をそのまま車に積みドイツ、フランス、イギリス等の小売り店に卸すフライングダッチマンに大別されます。 小売り店は、卸売業者から仕入れたり、直接自分でせり市場で仕入れ販売します。 業態は三つに分かれ、いわゆる店舗を持つ花屋さん(店舗数約5000、従業員数約15000人)、路上売り(ストリートベンダー)での販売(店舗数

          *オランダ国内の花の販売と花屋さん

          *自分の花を持つ(カサブランカの思い出)

          家紋とか皇室のおしるしのお花とか、花はその家を象徴するものです。お客様のおひとりで海外の映画を紹介するお仕事をされている女性社長さんがいらっしゃいました。 数年前のお話です。私が朝出社すると、すでに電話が鳴っていたのです。あわただしく電話に出ると、彼女の秘書の方からの第一声は「出来るだけたくさんのカサブランカを明日までに用意してくれないか」というものでした。 その言葉で私はすべてを察しました。その会社の女性社長さんの危篤がここ数日伝えられていたからでした。その方は、開業当

          *自分の花を持つ(カサブランカの思い出)

          *ちょっと悲しいこと(花屋さん編)

          花の仕事をしている者は「花と緑で人の心を癒す」と言われていますし、当の花屋さんもそう自負している方が多いです。また、そうでなければいけないとも思います。最近特に、「環境問題」や「自然に優しい素材」などの話題が尽きないのですが、花屋さんの使っているものの中には、わけのわからないものが存在し、知らないうちに使われてしまっています。 プロの花屋さんが使っている「給水スポンジ(グリーンの四角いブロックで、花を挿すもの)」ですが、なかなか奥が深そうです。これは便利なところがあるのは分

          *ちょっと悲しいこと(花屋さん編)

          *家庭で飾る花(ホームユースフラワー)

          家庭で楽しむ生花の日本とオランダの違いは、年間消費本数にあります。一言でいえば、オランダは手軽な花をいつも飾っているということです。そして、花の消費額はオランダと並んで日本もトプクラスなのです。 しかし、生産本数や一人当たりの消費本数は、オランダにかなり負けているのが現状です。自国消費がほとんどの日本は、輸出やホームユース中心のオランダとはかなりタイプが違います。家のインテリアや文化、花の値段も違いますので、オランダのように花瓶にたくさん生けるやり方も一つですし、一輪挿しも

          *家庭で飾る花(ホームユースフラワー)

          *プリザーブドフラワーにもの申す!

          最近、デパートや大手のお花屋さんで、プリザーブドフラワーが売られています。消費者の需要もあるようで、私の想定をはるかに超えた高い価格で販売されています。 プリザーブドフラワーは、生花の色素と水分を抜き取り、着色液に浸して加工した、生花から作った花?と言いますか、私に言わせれば、「生花もどき」です。なぜなら、生花は水分と色素が命だからです。 プリザーブドフラワーは、アートフラワーやドライフラワーとは本質を異にしています。アートフラワーやドライフラワーはそれなりの善さを認める

          *プリザーブドフラワーにもの申す!

          *化学兵器が農薬に!

          令和2年1月20日の朝日新聞によれば、野菜・果物・花などの栽培に使われている農薬クロルピクリンによる健康被害が後を絶たない。注入した土壌で、ガス化して広がる性質がある。 クロルピクリンは作付け前に、病原菌や害虫などを駆除するため、土壌に注入する燻蒸剤でクロルピクリンを含有する農薬は混合剤も含めて現在17製剤。適用作物は野菜65種類、果樹3種類、花19種類、穀類6種類。混合剤も含めた年間出荷量は約8000トン。頭痛やめまいを引き起こし呼吸困難や肺水腫で死に至る事もあるという。

          *化学兵器が農薬に!

          「環境問題」は「心の問題」です!!

          農薬関係の会社の方には申し訳ないのですが、最近、皆さんは肩身の狭い思いをされていることが多いようですね。今までの人口増加を支え、日本人を飢えから救い、中流意識の達成にも貢献したのは皆さんでした。そういう歴史的な貢献を無視して、一方的にあたかも「金に魂を売った人間」のように環境関係の色々な所から酷評されるのは不本意なことだと思います。 バブルの頃、東大工学部の卒業生が、本来工学部の卒業生が必要とされる研究機関やモノづくり系の会社に就職せず、金融機関に就職する卒業生のほうが上回

          「環境問題」は「心の問題」です!!

          *環境を破壊した奴はヒョウ柄のパンツをはけ!!

          今更ではありますが、…人間は生物の一員でしかないという自分の立場を忘れ、身分不相応にふるまって、森林や土地を荒廃させ水を汚し、地球の生態系を台無しにしてしまいました。さらに、戦争という最大の環境汚染まで引き起こしてしまいました。 世界は「生きとし生けるもの」の幸せを基準とすべきなのに、人間は今まで上辺の損得勘定で、社会を動かしてしまいました。人間のエゴの罪は重いです。 一方、産業革命で小金を貯めたヨーロッパの人々はその余力で園芸を楽しみ、園芸を発展させました。産業革命で失

          *環境を破壊した奴はヒョウ柄のパンツをはけ!!

          *敬老の日の裏事情と花

          お子様やお孫さんが贈るとばかり思っている「敬老の日」ですが、最近の敬老の日は、普通に考えると「老人」と言われる年代の方から、お花を贈られることが結構あるのです。 一番驚いたのは、92歳の男性のお客様が先輩の方に「敬老の日おめでとう」とお花を贈られたことです。いったい、お届け先の方は何歳だったのでしょうか?70歳、80歳は鼻たれ小僧なのでしょうか? また、お友達に敬老の日のお花を贈られる場合もありますが、どこかで知り合ったらしい異性(同年代のご老人)にお花を贈られた方もあり

          *敬老の日の裏事情と花

          *花とホワイトデーの裏事情(奥様は試される)

          ホワイトデーの起源は、某お菓子屋さんが3月14日をマシュマロデーと名付けたのが発端でした。しかし、マシュマロが白であったため、ホワイトデーに名称変更されました。以前は、ホワイトデーと言えばマシュマロでしたが、最近は、スィーツかお花です。欧米では、バレンタインに、お花を贈る習慣がありますが、ホワイトデーは日本独自のものなのです。 1:義理チョコをもらった場合   私がお薦めするのは「バラ一輪」です。手ごろでセンスも抜群です。価格は300円から1000円です。会社で渡されるので

          *花とホワイトデーの裏事情(奥様は試される)

          *花の人「シーボルト」(教科書で教えない話)

          プラントハンティングは日本と関係があり、日本植物の園芸化とヨーロッパへの紹介の多大な功績を残したのは、オランダ東インド会社の医師シーボルトでした。日本にとってのシーボルトは、伊能忠敬が創った日本地図を持ち出そうとして追放になった「シーボルト事件」で有名ですが、実は、ヨーロッパの園芸や花の生産を今日のように盛んにしたのはシーボルトの功績に負う所が大と言っても過言ではありません。 彼は医者であり、日本にとっては鳴滝塾を開き、医学の発展に尽くしたような印象がありますが、オランダに

          *花の人「シーボルト」(教科書で教えない話)

          ~母の日とカーネーション~

          最近は、みんなが飽きているカーネーションですが、母の日になぜカーネーションを贈るようになったのでしょうか? それは、1907年にアメリカで、アンナ・ジャービスという女性が亡き母を偲び、彼女の母が日曜学校の教師をしていた教会で記念会を開き、白いカーネーションを祭壇に飾ったことが起源となっています。1914年に当時の大統領が、5月の第二日曜日を母の日として制定し、アメリカの記念日となりました。 日本のお花の流通史的視点に立って考えてみますと、戦後しばらくして、いわゆる洋花が高

          ~母の日とカーネーション~