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~母の日とカーネーション~

最近は、みんなが飽きているカーネーションですが、母の日になぜカーネーションを贈るようになったのでしょうか?

それは、1907年にアメリカで、アンナ・ジャービスという女性が亡き母を偲び、彼女の母が日曜学校の教師をしていた教会で記念会を開き、白いカーネーションを祭壇に飾ったことが起源となっています。1914年に当時の大統領が、5月の第二日曜日を母の日として制定し、アメリカの記念日となりました。


日本のお花の流通史的視点に立って考えてみますと、戦後しばらくして、いわゆる洋花が高級品だった時代がありました。今では100~500本単位でセリにかけられるバラやカーネーションも、当時は20本単位だったそうです。都内に出荷するためのカーネーションは多摩川近郊でも盛んに栽培されていて、結構良い儲けになったそうです。

そこで、高級品だったカーネーションを贈るというのは、当時としては、トレンディーだったかも知れません。そして、栽培が増えて徐々に普及品となり、母の日にカーネーションなどのお花を贈る人が徐々に増えて行きました。

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しかし、花屋業界は、ある意味、間違った方向に進んで行ってしまったのでした。カーネーションはもともと持ちの良い花なのです。でもそれは、11月から3月までの話で、母の日がある5月は持ちがそれほどでもありません。まして赤の大輪種は他のカーネーションの品種に比べて、持ちの悪い傾向が強いのです。それなのに、母の日は赤のカーネーションという印象を消費者に植え付けてしまったのが、後の祭り!母の日に赤のカーネーションが売れて、逆に普段は、カーネーション全体が売れにくいお花になってしまいました。そこで花屋業界は「お母さんの好きなお花を贈ろう!」と方向転換した訳です。


 オランダではカーネーションは家庭に飾るお花の代表です。それは持ちが良いからです。本来カーネーションは、そういう素晴らしいお花です。オランダの花屋さんに「母の日に、何のお花をアレンジしますか?」と尋ねると、バラ、フリージィア、スプレー菊、チューリップ、などと答えます。オランダでは、母の日にカーネーションを贈るということを聞いたことがありません。オランダでは、スプレータイプ(枝分かれ)のカーネーションを家庭用として頻繁に使います。オランダ人の花の輸出業者さんに聞きますと、カーネーションを母の日に使うのは日本とアメリカのみだそうです。

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