見出し画像

*ちょっと悲しいこと(花屋さん編)

花の仕事をしている者は「花と緑で人の心を癒す」と言われていますし、当の花屋さんもそう自負している方が多いです。また、そうでなければいけないとも思います。最近特に、「環境問題」や「自然に優しい素材」などの話題が尽きないのですが、花屋さんの使っているものの中には、わけのわからないものが存在し、知らないうちに使われてしまっています。


プロの花屋さんが使っている「給水スポンジ(グリーンの四角いブロックで、花を挿すもの)」ですが、なかなか奥が深そうです。これは便利なところがあるのは分かりますが、エコロジー的には問題がありそうです。本当のところはどうなのだと製造会社に聞きたいのです。


給水スポンジを製造する某メーカーさんに聞きましたところ「フェノール樹脂でできているので、800度以上の焼却炉なら環境的には問題が無いが、捨てる時に水を含んでいるので、とりあえず燃えないゴミに出してください」との説明でした。結局、産業廃棄物です。


そこでフェノール樹脂を製造する某大手化学メーカーさんに尋ねましたところ、ブロックは石や岩のようなものが混ざっているので、燃えないゴミに出してください。」との見解でした。


次に「フェノール樹脂」って何だろう?という疑問が湧いてきました。そこで調べてみると、それはフェノールとホルムアルデヒドから作られた合成樹脂で、合成樹脂の中でも最も古くから知られているものだと分かりました。調べてみるとフェノールは化学式C₆H₅OHの劇薬で、強力な消毒・殺菌剤にも用いられているではありませんか。根っからの文科系の私にはきつい洗礼でした。ホルムアルデヒドは化学式HCHOで、刺激臭があり粘膜を強く刺激するもので、殺菌・防腐剤として用いられ、水溶液はホルマリンと呼ばれていると書いてありました。

ホルムアルデヒドって、以前テレビで、新築マンションを買い、体調を崩したので、その部屋のホルムアルデヒドを計ってみると、基準値の何倍にもなっていて、とても住めなくて、住宅ローンだけ払い続け、別の賃貸住宅に住んでいるという人の話を思い出しました。

生産原価の安いものを追い求め、接着剤で簡単に作って、人件費をセーブする生き方から生まれたあの「シックハウス症候群」という現代病の神髄ではありませんか。ホルマリンと言えば、中学時代の理科の授業でやらされたカエルの解剖や生物の標本を思い出して、気分が悪くなってしまいました。

さらに調べてみると、これらのブロックは建築用の断熱材と同じようなものだそうで、800度の高熱焼却炉で燃やしたとしても、本来燃えにくいものだろうし、燃焼と同時に出る毒物はどうなるのだろうと、心配になってしまいました。勿論、燃やしてしまえば、ダイオキシンが出るのは間違いないので、やはり、その意味でも燃やさないほうが良いに決まっています。ダイオキシンと言えば、ベトナム戦争でジャングルに大量にまかれたあの「枯葉剤」の仲間のことですね。花屋たるもの、枯葉剤をまき散らしては、あまりにも悲しいです。

メーカーさんが原材料の説明をきちんとして、使いづらいものなら代用品、または、再利用を考えるという必要があります。今の機能で代用品を作れば、開発費を含め、現在の価格と同じ価格ではできないと想像されます。それでも、メーカーさんは開発すべきです。


全国の花屋は1万軒ほどと言われます。1日1個使うとして、1万本のスポンジはどれだけ日本の空を汚すのでしょうか?花は自然を汚してまで、消費者の皆さんに買っていただくものではないと考えます。花を志す者は空を汚してはいけないのだと、私は思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?