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*オランダの花生産の理由

1.地理的には山がなく、広々としていて基本的に農業に向いていると言えます。北緯50~52度に位置していますが、メキシコ湾流と偏西風の影響で気候は温暖で、ハリケーン・地震などの天災も少ないのです。また、北海に面した海岸が砂地で、チューリップ栽培に適していたことも重要です。

2.社会的要因として、オランダ農業の中で花に特化していこうという国の政策が基本に有ります。エネルギー的要因としては北海から発見された廉価な天然ガスの供給や、温室や温室栽培を支える、照明などの化学(工業)技術、花そのものに対する研究機関の優秀さや、花関連の育種業者や生産者の努力がすべて花産業を支える礎になっていると考えられます。また、輸出ということの視点に立てば、ヨーロッパの玄関としてのスキポール空港の発展が大きな影響を与えています。

3.国民性的には、大航海時代からの伝統の「商人的気質」があり、いわゆる「農民」(生産するだけの人)ではなく、システマティックに商売に発展させる素地が元々あったと考えられます。また、市場は生産者の共同体であり、国全体として産業を伸ばす努力をしています。売上の0.2%を広告宣伝に振り向け、花卉園芸協会の駐在員事務所を世界の数カ所に置き、宣伝活動を行っています。また、生産技術などの国内的競争はもちろんありますが、対世界という視点に立った、オランダ内での情報の共有化は素晴らしいといえます。これは良いものは互いに取り入れようとする農家の人々の共有化という意味です。このように、種苗業者から販売に関し、トータルにシステマティックに行われ、各部署に於いてそれぞれが徹底した合理化努力を行い、生産性を伸ばす努力をしています。

4.別の視点としては、基本的に「なぜ花が人間にとって必要か」を考えずに避けて通ることは出来ません。いま、良く言われている「癒し」効果が大ですが、基本的にヨーロッパでオランダの花が受け入れられたのは、暗い冬を過ごすヨーロッパの人々に、家庭での明るさを助長するもので、インテリアなどを重要視するヨーロッパ人気質にあったものだからではないかと考えられます。つまり、「生活を楽しむ」という生活習慣に根ざしたものだったので、現代のような発展に結びついたと思われます。


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