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ヒトシ
2021年4月23日 17:27
畑仕事の帰り道 小高い丘の上から見下ろす小さなまち西に傾いた太陽キラキラと照る川面山山の緑とあかねの空小鳥の囀りとキジのひと鳴き汚れた軍手に今日の余韻心地よい疲れと喉の渇き風呂に入ってさっぱりしたら美味しいビールが待っているああ、今日も一日頑張った明日もきっといい日だろうよ
2021年4月20日 10:44
富士山を見ると何故か敬語になってしまう強い風のおかげで霞が晴れてくっきりとあらわれた稜線のなんともお美しいそのお姿にぽっかりと浮かぶ綿雲さえも優雅に見えてまだ山裾までたっぷりと湛えた純白の雪が麓の山々が織りなすとりどりの緑をひとつひとつ取り上げて褒め称えるようであなたが今日もそこにいてくれてよかったとただそれだけで本当によかったと心の底から思える今日の幸せ
2021年4月13日 16:13
三国にまたがる 軍神の社奥の院に向かう 険し参道楚々と咲いた ニリンソウ親指の先ほどの 小さな花真白な花びら 黄色のしべ詣でる人の こころを癒す見上げる 萌色のトンネル響く囀りと 沢水の冴え音薫風が 若い葉をくすぐる歩を緩めて 手足を伸ばす生まれたての 緑が放った生まれたての 冷たい空気細胞の隅々に 沁みわたる下界に降れば あれこれとやんごと
2021年4月10日 10:46
春はなんだか弱っちい。ぐいぐい引っ張られて季節をひとつ飛び越えちゃったかと思えば、ちょっとした北風ですぐに後ろに下がったりするし、そうかと思うとまたすぐもとに戻る。夏とか冬みたいに確固たる自分を持てよ、と叱咤激励したくなる。みんながそんな気持でいるから、春は花がいっぱいなのかも。
2021年4月8日 11:56
一度葉っぱを落として春に芽吹く落葉樹と違って一年中緑の針葉樹は風情がないとお思いですか?それは誤解というものです。ご覧ください、このモミの木の若葉の美しさ。深緑の枝の先端が、こぞって新しい芽を吹いてまるでメッシュを入れたよう。触ってみると、柔らかく、まるでぷにゅぷにゅのゴム細工。遠くから見る春山の萌え色はいろんな若葉の集合体。それぞれの色、それぞれの芽吹き。
2021年4月5日 15:01
先走った暖かさが続いていつもより早く深さを増した紅葉の新緑半月前まで見えた萌黄越しの遠景は今はもうすっかりと緑陰に隠れて枝先に遊ぶ小鳥の声を響かせる華やいだ空気も今日はひとやすみ朝からしとと降る静かな雨が清らかで明るい木々の若葉を寿ぐように降り注ぐ春の日は雨もまたよし
2021年4月3日 10:56
カラスノエンドウはわたしの春のお気に入りはびこり過ぎると困るけど畦道に咲く赤むらさきの小花は美しくまだ緑が少ない畑でも目を楽しませ虫たちを呼んで野菜のみのりを助ける実らせた小さなえんどうまめは熟して地に落ち豊かな土に帰る畑は人と自然の境界域キリキリとツノ付き合わさずにゆるゆるとともにはぐくむが吉
2021年3月30日 11:04
川沿いの散歩道頭上では桜の花びらが溢れて足元にはタンポポの黄色これでもかと花びらを大きく開いて甘いかおりでミツバチを誘惑思惑どおりに飛んできて身体いっぱいに花粉をつけて一心不乱の蜜あつめ春爛漫の陽だまりは長閑に見えてせわしない花も木も虫も鳥もみんなみんな大忙し
2021年3月24日 13:35
見た目はほとんど変わらないけど、西洋タンポポは外来種。在来種の強力なライバル。花びらを支えるガクがそりかえっていないこの子は在来種。西洋タンポポは自家受粉でどんどん増える。在来種は昆虫に花粉を運んでもらって受粉しないと綿毛になれない。西洋タンポポはそりかえったガクでこれまた外来種のナメクジの攻撃を防御できるけど、在来種はガードが甘くてやられちゃう。なんだか、あれこれ
2021年3月23日 11:28
旧街道沿いの鄙びたまちの愚痴聞地蔵がおわしますその寺の裏手の墓地を見下ろす小高い丘咲き誇る大きなヒガンザクラ華やかにして荘厳 優美にして豪快300余年の時世を超えて聳えるその木はたくさんの生き死にを黙って見てきた行き交う人々の美しい営みを戦地に赴き帰らなかった若者を流行り病に苦しんだ村村を孤独に苛まれる老人の呟きをこの地に生きる人々の暮らしがたとえど
2021年3月17日 11:01
さあさ、桜も見れたんだから、もう少しなんて言ってないで、早く北に飛び立ってください。そろそろ燕尾服の皆さんが南周りで到着してここらあたりの空も渋滞するんだから。ツバメと相性の悪いジョウビタキを急かすように、今日もヒバリは高い空から甲高い警笛を鳴らしている。
2021年3月15日 16:08
春の嵐が呼び込んだ暖かな南西の風は霞がかかったようなぼんやりした空を澄み渡る深い青いろに染めかえて弾けんばかりに膨らんだつぼみを一気に主役の笑顔にメイクアップ舞台装置もすっかり整い看板役者も堂々登場さあ、春本番の始まりです
2021年3月9日 13:36
すずらんに似た純白のスノーフレークは花びらの先に黄緑色のワンポイント住む人のいなくなった住宅のその軒先の花壇の跡地に愛でて世話する人がなくとも己が根にちからをスンと蓄えて厳冬に耐えて花を咲かせる早春に開く花はみなどれも行きつ戻りつする季節をしっかり一歩進ませる楚々として麗しくそしてたくましく
2021年3月6日 12:00
部屋の音を全部消してガラス戸を開け放って目を閉じて耳を澄ませてみる遠くに聞こえるさざめきは雪解け水を運ぶ早瀬の音冬枯れの木に巻きついた蔦の緑に忙しなくコガラの地鳴きが動き回り遥か高い空からはふわり浮かんだトンビの口笛そよと吹く風が笹の葉擦れを誘う春はくる目を閉じていても春はくる