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70年代と80年代の音の違いについて。カーペンターズ、ビリー・ジョエルらを例にして。

70年代のアーチスト


カーペンターズ、ビリー・ジョエル、オリビア・ニュートン・ジョン、エルトン・ジョン、ポール・マッカートニー、デイヴィッド・ボウイ、クイーン、、、70年代に多くの足跡を残したアーチストたち。

彼らに共通しているのは時代と共に、ガラッとその音楽性を変化させていったことです。これには、あの楽器の出現が大きく影響しています。

それはキーボード(シンセサイザー)。

クイーンのアルバムのブックレット(CDのもの)にはNo Synthesizer!とこだわりを見せるかのように書かれていました。

あの時代、あらゆるアーチストがこの楽器を上手く取り入れるべく切磋琢磨していたのではないかと思います。

70年代後半~80年代前半にかけて、パンクに端を発したニューウェーブの面々(初期のU2、ザ・スミス、ダイアーストレイツ、ワム!など英国中心)や、ドイツ初のテクノ・テクノポップ(クラフトワーク、YMOなど)が、この楽器を上手く取り入れた例でしょう。

*こんな感じ

ただ、個人的にはキーボード以前の音の方により共感してしまいます。

なぜか。

キーボード、シンセサイザー以前まではバックの演奏は単にピアノでした。またはアコースティックギター、など生楽器。電子楽器もギターやベース程度。演奏のベースがとても生っぽかったと思うのです。それはどういうことかというと、アーチストの声が届きやすいということ。演奏がボーカルの声をサポートしている。そして、アーチストの思い、心がリスナーである我々にしっかり届いていた。彼の奏でる音と共に。

それが70年代音楽の肝だと考えています。

いくつかのアーチストを例にとってみると違いが良くわかると思います。

・カーペンターズ

全盛期の70年代初頭~中盤の音は演奏の良さが、カレン・カーペンターの声を引き立てています。彼女のボーカルが際立って印象的な楽曲が多いんです。

Yesterday Once More

I Need to Be in Love

それが80年代になると哀愁がちょっと消えている。


ビリー・ジョエル

Piano Man

Honesty

それが80年代になると、、

オリビア・ニュートン・ジョン

Have You Never Been Mellow

それが80年代になると、

デイヴィッド・ボウイ

Lady Stardust

80年代は、
Let’s Dance

来るべき80年代への承認

カーペンターズはカレン・カーペンターの不幸があり活動は80年代を迎えるころに終わりを迎えましたが、各アーチストはこぞってキーボードを受けいれていきます。それは、来るべき80年代への承認だったのでしょう。

80年代の音もまた時代の要請だったのかもしれないですが、個人的には70年代の音が持っていた純粋さ、哀愁が大好きです。

どこか懐かしく、聞いていると思い出があふれてきて、その中にひっとりとたたずむことができて、気が付いたら涙のしずくがそっと目じりに浮かんでいる。そんな純粋さが大好きでした。

繰り返しになりますが、これはつまり、アーチストの思いや心が、今以上に楽曲の音に詰まっていたからではなかったでしょうか?

彼らの思いを我々は音を通じて受け取ることができていた。そういう時代だったんだと思うんです。

そんな曲が、ラジオから流れてきていた。カーペンターズのYesterday Once MoreやSuperstarなどの楽曲がラジオから流れてきた音にまつわるエピソードをうたっていたのもそういうことなのかもしれません。

受け取り手である我々は、その曲を聞いて感動する。SNSもなく、ライブ会場や直接の反応で彼らに思いを返すことが困難な時代。受けとった我々はそれにより心を動かされた。そしてその揺らぎを身近な誰かに還して行っていたのでしょう。

誰かが誰かに影響し合い、そしてそれが大きな環になっていき、それが時代の声になり、表現者に伝わっていく。

きっとそういう循環が存在していたのだと思います。

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