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独選「大人の必読マンガ」案内

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新潮社フォーサイトで連載中のコラム「独選『大人の必読マンガ』案内」を転載しています。名作・傑作をしつこく推薦し、皆さんがうっかり読む前に死んでしまうリスクを軽減するのが本コラムの…
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#大人の必読マンガ

人生に必要な知恵はすべて「マンガ」で学んでね

人生に必要な知恵はすべて「マンガ」で学んでね

高井家流マンガ「R指定」システム高井家には、今年の4月から大学1年、高校1年、中学1年になった3~4歳間隔の三姉妹がおります。この3人、特に下の2人は小さいころ、「早く5年生になりたい!」と高学年になるのを心待ちにしていました。
なぜなら、小学5年生から『HUNTER×HUNTER』(冨樫義博、集英社)が読めるようになるからです。
特に「最後尾」の三女は、父と姉たちが「メチャメチャ面白い!」と盛り

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「傑作」へのリスペクトが生んだ「傑作」 大西巨人・のぞゑのぶひさ・岩田和博『神聖喜劇』

「傑作」へのリスペクトが生んだ「傑作」 大西巨人・のぞゑのぶひさ・岩田和博『神聖喜劇』

「この門をくぐるものは一切の希望を捨てよ」。言わずと知れた、ダンテ・アリギエーリの『神曲』地獄篇の「地獄の門」に記された文句だ。大西巨人による戦後文学の金字塔『神聖喜劇』のタイトルは、『神曲』の原題『La Divina Commedia』の直訳から取られている。同作を、のぞゑのぶひさと岩田和博が10年かけてマンガ化したのが、同題の『神聖喜劇』(全6巻、幻冬舎)だ。

第1巻の巻末で大西は、マンガ化

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オウム「大量刑死」と時代の終わりの「空気」

オウム「大量刑死」と時代の終わりの「空気」

独選「大人の必読マンガ」案内(1)
関川夏央原作・谷口ジロー作画『『坊っちゃん』の時代』

オウム「大量刑死」と時代の終わりの「空気」7月6日、麻原彰晃こと松本智津夫を含む一連のオウム事件に関与した7人の死刑が執行され、同26日にはさらに6人が処刑された。ニュースを耳にして私の脳裏をよぎったのは、「大逆事件」だった。無論、凄惨なテロ事件と「主義者」一掃を狙ったフレームアップ(でっち上げ)はまったく

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