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嫌いな夏の、特別な日。


夏なんて嫌いだ。
暑いし、休みで誰にも会えない。
今年の夏は特に嫌い。


僕は、ばあちゃんの家にいた。
父ちゃんが遠くで働いていて、僕を1人にできないからだ。
かあちゃんは今入院中。もうすぐ赤ちゃんが生まれる。


山と川しかない田舎の町。
遊ぶところも全然ないし、公園に行っても子どももいない。
座るとこが木でできたボロボロのブランコと錆びた鉄棒、ペンキが剥がれた滑り台。

じいちゃんとばあちゃんはずっと畑にいるし、持ってきたゲームもやり飽きた。この家にはWi-Fiも飛んでない。
飛んでるのは変な声で鳴く鳥か、遠くに見える飛行機くらい。

最悪だ。
こんななら夏休みなんていらなかった。


「すいか、食べるかい?」

縁側にぼーっと座っている僕にばあちゃんが聞く。

ほんとは食べたかったけど、僕はなぜかイライラしていて「いらない」と言ってそのままサンダルを履いて外に出た。

ばあちゃんとじいちゃんだって僕を預けられてきっとめんどくさいに決まってる。
いつも「なんか食べる?」ばっかり聞いてきて、よくわかんないけどそれにも僕はイライラしていた。


あーぁ。

ため息をついて、砂利だらけの知らない道を歩く。
しばらくすると、土手が見えてきた。
少し坂になった草っぱらに座って、遠くの川を眺める。


誰もいない。
なんにもない。
もう、全部つまんないし、全部嫌だ。
夏休みなんていらないし、妹だっていらない。
全部、いらないのに。


僕は再び「あーぁ」と言いながら寝転んだ。
その時、急に視界が暗くなって後ろからぬっと影が現れた。


「何があーぁなの?」


うわっ!と声を上げながら、跳ね起きる僕。
そこには知らない制服を着た女の子が立っていた。

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